今回の依頼の現場はここ、荒廃した街だ。
民家は倒壊し、ビルは崩れ足元は瓦礫で埋まっている。凸凹した足元を気にしながらホムラは3人の先頭を走っていた。
きりりとした目には一瞬、黒い影写った。赤髪を後ろで束ねた少年ははそれを逃すまいと追いかけた。影の正体は盗賊…ではなく異形だった。赤い皮膚の塊にぎょろりとした巨大な目が印象的で羽もないのに宙を浮いている。重力を完全に無視した異形…デーモンアイだ。デーモンアンクルと同種族なのだからか、赤い皮膚と大きな目玉がとても印象深いモンスターだ。
ホムラは腰に取り付けた緋色の胴体ほどある大きさの金属の塊を両腕に装着した。
最近接武器ー剛拳だ。
「目標討伐外だが、他のデーモン属と融合したら迷惑だ、狩っちまうぞ!。」さもリーダーのような口ぶりで2人に指示を出し、ホムラはお得意のラッシュステップで一気に零距離まで間合いを詰め、浮いている赤い鬼の目玉を叩き落とし、拳を下に落下した。そのまま落ちて身動きが取れない赤い肉塊が地面と赤い巨大な拳に挟まれた直後に断末魔が響き、モンスターは霧散した。
「おっしゃぁ!まず1匹だ!…いだぁ!」突然の鈍痛で振り向くと華がにこやかに、そして深い怒りを向けているのは鈍いホムラでもすぐに理解した。
「ホムラがどんどん進んで戦闘始めちゃうから、アーサー君がどっか行っちゃったじゃないの!」赤い束ねた髪を左右に振りな
がら見回すと…華以外誰もいなかった。
「あーあ、迷子だ迷子」
「ホムラがすぐに進むからだよ!…まったく、アーサーは私達と一緒に戦いたくないからどこか行っちゃったよぉ…」
「まったく、仕方のない新入りだな!」
「絶対反省してないでしょ!」
そんな会話をしていると突然ー
『…!』2人はほぼ同時に西側から途轍もないほど大きく、黒い気配を感じた。
華はアーサーの事が心配になり自分の胸ぐらを握りしめた。