いわゆる普通の人生や生活に対しての憧れや郷愁というものが僕にはまだ色濃く残っており、もしかしたら普通に結婚して普通に子供が出来て普通に死んでいけるのではないかと未練たらしく思っていると感じるときがある。

 

 そのためには僕は人生において多くの致命的なミスを犯してきたし、人格的にも足りない部分があり、経済的にも足りない部分があり、何よりも僕の生活の一部を僕以外の人間に捧げたくないという意固地で致命的なマイペースさがある。否、マイペースというと他人を気にしないゴーイング・マイ・ウェイな穏やかさと大らかさが感じられるが僕はそうではない。単純に自分中心の考え方に凝り固まっているだけだ。

 

 僕は何処を目指しているのか。

 

 仕事はそれなりに一生懸命やっているし社内の中でも中堅的立場のポジションの中では割と期待されている位置にいる。まだまだ仕事に埋没するくらい本気は出さず、常に多少の余力を残しながらこの位置にいるのだからサラリーマンとしての僕はそんなに能力的に低い部類には入らず、まあ仕事が出来るとか、頭が切れるとか、そういう感じではないけれど良くやっているねというポジションにはつけていると思う。とりあえず言われたことは一生懸命やっているし、言われないことも気を利かせてそれなりにやっている。生来の頑固さと気性の荒さとこらえ性のなさで多少周りと衝突することがあるが、熱い一本の筋の通った体育会系の男みたいな見られ方はしていると思う。実情は本と音楽をこよなく愛し、こんな風毎日文章を書いて憂さ晴らしをする典型的な文系の気性なんだけど。僕がこんな文章を書くなんて知ったら周りの人はびっくりするだろう。

 

 僕は何処を目指しているのか。

 

 仕事に入れ込むのでも、レジャーに勤しむでも、休日に飲みに行くでも、女遊びをするでもない。ただひたすら本を読んで音楽を聞いて休日は必ず銭湯に二時間以上入る。今日は三時間半も銭湯にいた。こんあ侘しい休日があって良いのかと思うが、僕にとっては一人の時間はとても大切でサウナでもじっと一人で考え事をしている。

 

 僕は何処を目指してるのか。

 

 人並みの幸せを得ることは32歳だしもう難しい。彼女もいない。貯金は少しある。免許も車もない。あるのはたくさんの本とCDと最近買った高額のヘッドフォンとポータブルアンプと乗らなくなったロードレーサーだ。そういえばあれだけ運動が好きだったのに最近はめっきり運動をしなくなった。自転車にも半年以上乗っていない。

 

 僕は何処に向かうべきなのだろうか。

 

 僕は今のマイペースな生活を死守したい。一人で一人の時間を堪能したい。自分の内的世界を拡大したい。

 

 本当にそうか。

 

 実を言うと寂しい。