人が動く四つの要素 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
心に響く!

■「お世話になりました。」

 今日もご訪問いただきありがとうございます。

 

 毎週水曜日に6時間の教育研修を行っていることは既にお伝えしました。新しい学童教育を目指し、子どもたちのアフタースクールの充実のために、毎回学習の指導法やその理論、実践の研修を行っているのですが、学習面以上に重視しているのが非認知能力の指導です。最終的には、子どもたちの自立を目指し、自分で考え行動し、自ら学ぶ姿勢を築き上げる、そんな子どもたちの姿を想像し熱い研修が続いています。

 

 この研修で「Do three good things a day!」という言葉が出てきました。「一日に3つ良いことをしよう!」、子どもたちが自発的に、自分で考えた「Good Things」を実行する。もともとわが国では「一日一善」という言葉があり、私自身、小学校高学年時代に、先生からの申し出でで、クラス全員で取り組んだことがあります。初めのころは帰りのホームルームで、自分の行った「一膳」を報告していました。それは、次第に日常化、習慣化し、敢えて報告しなくても、という空気になり、誰がどのような「一膳」をしているかわからなくなっていました。

 

 人が見ていなくても、人に報告をしなくても行っていた「一膳」、ある日、教室の掃除道具を置いてある場所のカーテンが破けているのを見つけました。けして上手ではありませんが、家庭科で使う裁縫道具から針と糸を出し繕うことにしました。次の日のホームルームで、担任の先生から、「昨日、掃除道具を置いてある所のカーテンにあまり上手ではありませんが、繕ってありました。誰かはわかりませんが、ありがとう!」という報告がありました。今思えば、この時感じた満足感は、私の自己報酬機能が最も機能した時ではないでしょうか。

 

 先生からの言葉は、こうして長い年月忘れることなく心に残っています。「ありがとう」という言葉だけでなく、自分の行為や行動が「認められた」ことの証なのでしょう。人が動くとき、それも自発的に動くとき、そこには四つの要因があります。その一つは今申し上げた「人から、認められていること」です。そして、自分自身が「人の役に立っている」ということです。人から、「助かるよ!」というような、言葉をかけてもらった時、自分でも人の役に立っていることを実感でき、自分自身に勇気を与えることになります。

 

 私自身、それなりの歳を重ね、いつリタイアしてもおかしくない年齢になりましたが、「人から必要とされている」場面や場所があり、それだけで幸せな気分になります。三男が、昨日転勤のため住み慣れた我が家を後にし、アパート住まいを始めました。家族は、こうした3つの要素をそれぞれが持った存在なのだと思います。以前、次男が独立したとき、「我が家は驚くほどまともな家庭だよ!」と言って独立していきました。「次男の周囲では、家庭が複雑で大変な所が多いよ!」と。

 

 家庭内で、こうした「役に立っている」「認められている」「必要とされている」という関係が成り立つとき、そこには、最後の四番目のピース「愛されている」が加わります。すると、こうした家族観では、互いを互いが「リスペクト」する環境が芽生えていきます。子どもであってもリスペクトの対象となる。この考え方は新しい学童教育の柱になる、そう確信しました。

 三男からの「お世話になりました」の言葉、親として胸に染みるものでした。