積極的な学習 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

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変化する学習

■付け焼刃の勉強では対応できない今の学習

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 ある塾からの要請で、生徒の語彙数を増やす為の学習指導の見直しを始めました。予想以上に、言葉を知らない生徒が多く、読書離れ、活字離れという言葉を、授業を通して実感されたそうです。語彙数不足の影響は、国語だけでなく、算数や数学、そして、今重視されている英語指導にも暗く大きな影を落としていると言います。

 

 先生方を集め、積極的な語彙数獲得の為の分析から始めました。これまで深く考えてこなかった基礎教育から始まりました。まずは、数字のマジックです。五十音表に出てくる平仮名は、助詞の「を」と撥音の「ん」を入れて46文字になります。そこに、カタカナが加わります。カタカナでは長音の「ー」が加わるので、平仮名とカタカナ併せて93文字、そして、1年では配当漢字の80文字を合わせて173文字を覚えることになります。

 

 ただ、平仮名、カタカナ共に、清音・濁音・半濁音・促音・長音・拗音・拗長音・拗促音などの表記を覚えなければなりません。基本的な言葉だけで平仮名、カタカナ併せて240単語ほどあります。漢字も、音読み、訓読み、送り仮名、筆順、画数、熟語などなどがあり、1年生でもそれらを合わせると200近くの数になります。そこに、算数の学習用語や、その他教科の学習用語が加わると、子どもたちが小学1年生ですら1年間で覚えておく必要のある言葉は軽く1000を超えます。

 

 これらの積み残しが、子どもたちの基礎知識の低下と語彙数の低下を招きます。英語指導においても、基本的に母国語の語彙数を外国語が上回ることがないので、英単語の理解にも大きな影響を及ぼしています。時代は、こうした基礎知識、豊富な語彙数を基にした思考力への学習の傾向が強くなり、既に、思考において語彙数の少なさは致命的となっています。

 

 情報化社会でありながら、子どもたちの手にする情報の質の低下は、子どもたちにとって必要とする情報の質の低下を意味しています。学校でも、塾でも、学習情報の積極的なかかわりが求められているのです。そこで、短時間ででき、繰り返し学習が可能な「フラッシュカード」が注目されてきました。

 

 その理由は、一つのカードが子どもの集中時間以内でできること、声を出すことで発した言葉がブーメランのように自分の耳から脳に返ってくる、この集中とブーメラン効果で記憶力が増すという、学習効果が十分に期待できるからです。簡単そうに見えるカード授業ですが、その理論的背景と指導技術の研修で2時間以上かかりました。幼児と小学生でも指導法に違いがあるので、その違いにも触れることにしました。

 

 国語系のカードを作成し、その種類は国語系だけで20種類を超え、そこに算数系のカード、理科社会科系のカードなどを作成、そして、音読と素読、そして書写と聴写を加えた、積極的語彙獲得授業が始まりました。その効果は、直ぐに出てきました。この学習法は、この春の講習の目玉になるほど、先生方も自信を持ったようです。

 

 詰め込み教育が否定されると直ぐに、これに関わる学習をすべて否定してしまいがちです。でも、基礎知識がなければその先の思考重視の教育はできません。思考力・論理的思考は多くの基礎知識と語彙で賄われます。フタコブラクダの形態を示す学力の状況は、こうした、民間教育の積極的学習でのみ対応では追い付かないのではないでしょうか。以前のような、一夜漬けでは歯が立たない学習状況になっています。