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想像と防衛
■大人がつかせてしまう嘘もある
今日もご訪問頂きありがとうございます。
立春も過ぎたというのに、今日は雪マークがついています。気温も下がり、冬の寒さですが、こうした、これまでは当たり前だった、冬という季節の厳しさがあるから感じた春の到来、気候変動は間違いなく人の心にも影響を与えますね。
子供の成長の中に、子供らしい言葉の使い方があります。大人の使う言葉を覚え、その覚えたての言葉を使う光景が面白く、大人は笑い転げるのですが、本人は「何がおかしいんだ?」ときょとんとしている仕草がまた可愛く、周囲を笑顔にしてくれます。
3歳を過ぎるころから、それまで、言葉としては出てこなかった表現活動が始まります。何となく思っていても、それを表す言葉を知らなかったからです。内言という、心の中での言葉の活動が、語彙数を高めることで表に出てくることがあります。それが「独り言」です。この「独り言」は、子供の内言活動が順調に育ってきている証です。
この過程を経てくると、親子間の会話もスムーズになります。ただ、子供の脳内では、しっかりした言葉の交通整理がされておらず、「きょうね、ゾウさんを見たよ。」などと、まるで夢を見ているかのようなことを話すことがあります。そして、これを真に受け、子供が嘘をついているように錯覚してしまう親御さんがいます。
これは、子供の中で、見聞きしたことが想像の世界で現れ、内言で思っていたことが言葉として発せられてしまいます。この時期、まだまだ知恵のついていない幼児は、嘘をつくという高度な思考回路は形成されていません。まだ想像の中の内容の言語化で、この時期しか覗けない、子供の心の中の言葉です。ですので、これは大人の言う「嘘」ではないのです。
その後、幼児も知恵がつき、同時に、様々な本能が見え隠れしてきます。その中でも、叱られる行為から生まれるのが「自己防衛本能」です。これが強く表れると、自分自身を守るために「嘘」をつくようになります。まさに、最近の政治家の嘘のように、自己防衛本能によってつく嘘は、どこかで、その対応次第で「嘘をつく訓練」と化してしまう場合もあります。
学習現場でよくみられる嘘が「宿題はやったのですが、家に忘れてきました。」という定番の嘘です。概ね、「家まで取りに行ってきなさい!」と先生は言わない、もしくは言えないことを前提としてこうした嘘をつきます。これが、度重なると、その嘘も次第に巧妙化し、よく見られる、教育現場での「嘘の学習」となってしまいます。
もちろん、こうした「嘘の学習」は家庭でも行っている可能性があります。嘘をつく場面はほぼ決まっています。その都度、叱られるのですが、こうした誤魔化しの数が多くなるだけ、自己防衛本能が過剰になり、さらに巧妙化した嘘へとなってしまいます。
人に対する嘘、親に対する嘘は、自分自身に返ってくることになることを早く知らせてあげてください。嘘をついたことなどない大人はいません。ある時、生徒が「大人も嘘をつくのに、何故、私たちに嘘をついてはいけないと言うのですか?」という質問を受けました。子供も、大人でも嘘をつくことを当然のことながら見抜いています。「嘘には、人につく嘘と、自分につく嘘がある。どちらもいけないことだけど、自分に対する嘘は一番いけない。何故、自分に対する嘘がいけないのか、よく考えてみて下さい。自分自身に嘘をつくと、辛さが半端なく、だんだん、人を信用、信頼できない自分になって行きます。」と伝えます。
嘘をつくことは、どこか成長の一部、ここで、「嘘」に向き合うことはとても大切なことです。自戒を込めて、子供と向き合える大人でいたいものです。