学習も科学の時代 効果的な学習へ | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

「衣食住育学」石川幸夫のブログ

教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

予習と復習の効果

■学習情報の活かし方

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 卓球の平野美宇選手が、次のオリンピック卓球個人の種目の代表をほぼ確定しました。その後のインタビューを聴き、目標設定の置き方に注目しました。オリンピックの個人種目でメダルを獲得することが目標で、代表権を貰いオリンピックに参加することが目標ではないと断言しました。この言葉が全てだと思います。つまり、平野選手のモチベーションのピークはオリンピックでポディウムに乗りガッツポーズをする場面なのです。これが、モチベーションを保つ最大の秘訣でしょう。

 

 あともう少しでゴール、優勝と考えてしまうと、脳はもう勝ったと誤動作を起こし、パフォーマンスを急激にダウンさせます。ところが、まだ諦めていない後続の選手に抜かれるなど、これに似たシーンをよく見かけます。スポーツの世界も、自身の脳をしっかりコントロールしないと、いくら能力や技術があっても自分自身のパフォーマンスを十二分に発揮することはできません。

 

 スポーツも、学生の本文でもある学習も、如何に脳をコントロールするか、どちらも脳を科学することが重要です。学力の高い子、いわゆる勉強のできる子の学習法を分析すると、その学習法は、脳科学が説明する、脳機能を最大限活用していることがわかります。誰もが、健常児であれば140億から150億の脳細胞を持ち生まれてきます。では、何故、能力差が生まれるのでしょうか。それはごく単純なことで、脳内配線を網の目のように張り巡らせ、様々な回路形成を行うことにあります。そのために、知的刺激という脳細胞を活性化する知的情報が必要になるのです。

 

 小中学生の最も効果的な学習法は、一般的に良く聴く予習復習です。これは、事に当たる前の、事前情報の習得であり、その後、授業で得た知識や、思考で得た新たな考え方を定着させるための、記憶に関する作業になります。この当たり前の学習は、余りにも当たり前すぎて軽視されがちです。ところが、幼児でもこの予習復習を行うと、学習内容内容の定着率は格段に上がります。

 

 そして、同じ指導を小中学生にしてみると、当然の結果としてテストの点数に表れ、成績向上という良い変化を得ることが出来ます。幼児では、予習という名目を「先行体験」という言い方で行っています。すると、授業での反応がよくなり、次の復習という過程で記憶力の能力も上がっていきます。

 

 予習は、これから学習する内容を知ること、また、新たな学習に出てくる語句や記号などの学習情報を、音読という、視覚情報、聴覚情報から得ることです。ここで、文字情報として重要な内容をメモしていくと、これが手先の感覚からの刺激情報が脳に伝わります。また、メモ書きは、視覚情報としても記憶に残り易いのです。

 

 既に、夏休み頃から、親子で教科書の音読形式で予習復習をしてくれている方々もいます。やはり、その効果は大きく、学校の授業姿勢が大きく変わり、積極的になってきたという報告を頂きました。その積極性は自信につながり、授業もただ受けるという姿勢から一歩も二歩も前進したそうです。一見何でもない学習法ですが、脳科学的には、様々な情報取得と学校での授業が知的刺激となり、好奇心を持って授業に臨める状況創り上げたようです。

 

 何でもないことが、当たり前のことが出来ていない。目の前の事ばかりに気を取られ、大切なことを忘れてしまっているのかもしれません。科学の先に、人の心ですかね。