もう一つの学習「ちえ」? | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

生活や社会、概念など

■幼児教育、もう一つの学習

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 幼児教育で指導される学習内容も、最近になり「もじ」「かず」「ちえ」という表現の3領域の学習が定着してきました。以前は、「幼児教育では何を教えるのですか?」という質問が必ずされていました。その中でも「もじ」「かず」指導についてはご存じの方も多いのですが、もう一つの「ちえ」についてはその内容についてご存じない方が多いようです。

 

 この3領域は、共に活動させていただいた故七田真先生、故水野茂一先生との教育活動の中で掲げた指導領域です。そして、「ちえ」領域は、幼児教育として指導を開始した「もじ」「かず」よりも早い段階で指導されていました。それまで、幼児期の子供は言葉の理解が不足しているということで、その指導は「ノンバーバル」非言語型と言われる、文字を使わない指導が大半でした。それは、今でも幼児の知能検査の大半がこの形式です。

 

 ところが、この「知恵」指導の中身が驚くほど濃いことをご存じでしょうか。最近の傾向を入れると指導領域だけでも20ほどあり、そこに、具体的な指導へと分かれていきます。その領域には、記憶、概念、常識、図形、集合、比較、系列、時間、推理などなど、幼児に指導する内容とは思えない項目が並びます。

 

 最近では、ここに「21世紀のスキル」と言われる非認知能力::社会情緒的スキルを主とする心の教育が加わります。また、身近な所では、躾も含まれます。そして、手先指先を鍛える「巧緻性」を高める指導も入っています。これだけの項目数を、通常3年~4年かけて指導をします。

 

 ここでの指導は、本来、家庭で行われるべき内容が多く含まれています。しかし、時代の変化は、家庭での経験、体験的学習を子供たちから奪いつつあります。その多くが教育の場で行われることが多くなりました。その結果、いわゆる幼児教室ではなく、幼稚園、保育園での指導にウエイトが置かれ始め、その園の選択で子供の心身の発達に差が生じ始めているのも事実です。

 

 そして、幼児教室では、保育以外の知的内容の環境を整え、こうした指導を行っています。特に常識や概念は、生活力に直結するため、親が教えきれない内容をカバーしています。遊びも積極的に取り入れた指導は、子供の能力を大きく左右すると言われる「空間認知能力」を意識したものも多く、遊びを通した学びができるよう工夫されています。

 例えば、パズル遊びなど、上記のパズルを見てお分かりの通り、何気ない組み合わせですが、二つの三角形の組み合わせで見えてくる線(対角線)の存在を知ることが出来ます。対角線という名称は教えませんが、こうして実際に自分で組み合わせる実体験、それを視覚で捉える経験が、子供の知的財産となって、小学校で使われるのです。積み木も同様で、組み立ててみて初めて分かる、外からは見ない積み木の存在、こうした内容も含め、式の概念や、動植物の概念、社会常識、生活常識を学ぶ「ちえ」領域、軽視できない指導内容ですね。