人間力向上・学力向上プロジェクト Ⅷ | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

学力向上のアプローチ

■一日10分の学習法

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 今日は、学力向上の為の具体的学習プログラムです。

 取り上げる学習法は特別新しいものではありません。ある意味、古臭い学習法ですが、近年、昔から伝わる学習法が見直されています。それは、「人を育てる」という目的で、人の持つ特性を最も活かした学習法だからです。民間教育にこの学習法の指導を行い、既に幾つかの学習塾で大きな効果を上げています。

 

 その学習法は3つ、「音読」「書写」「聴写」です。児童生徒の学力低下の最大原因の一つ、「語彙数」を含めた言語能力を高めてくれるのがこの学習法です。これは、今までに何度もお話をしてきたものです。ですが、あえて、自分自身を鍛えるための学習として取り上げました。

 

 時代は大きな変化を与えています。これまでの職業が次々に姿を消し、新たな仕事が誕生しています。特に、AI関連、ネット関連に多くの新しい職種が誕生しています。団塊の世代は、同年代だけでなくそれぞれの年代との競争が行われてきました。大学卒業後、ある信託銀行で電算機に関する業務をしていました。その時使用していたコンピュータは、現在のパソコンにかないません。それまで、他人との競争でしたが、これからの相対するのはAIになります。そのため、自分との戦いがカギになります。

 

 「音読」「書写」は、人の手を借りずにできる学習法です。また、この学習に要する時間は短く、短期集中型の学習です。無理がなく、短時間でできる学習は、学習を習慣化するには持って来いの学習法です。用意するのは、書写用のノートと音読用の国語の教科書です。また、時には算数や理科、社会などの教科書も使用します。

 

 毎日、決められた時刻に学習を開始し、音読は3分から5分、書写も3分から5分、タイマーなどを使い行います。この学習のメリットは、国語でどのような学習を行うのかの予習も、また、復習もできるという点です。更には、音読も、書写も、どちらも集中力を鍛えてくれるという点です。この学習では、音読では、読んだ文字数、書写では、書き写した文字数をカウントします。1か月後、その数を見直してください、私は、折れ線グラフを作り目で確認できるよう指導しています。すると、どちらも読んだ文字数、書き写した文字数が上がっているのです。中には、飛躍的に上がる子もいます。

 

 このグラフの上昇が励みとなり、次の学習へと繋がります。もう少し書きたい、もう少し読みたい、いつも申し上げている「未完了のタスク(課題・仕事)」は心に残り、まだやりたいという意識変化を起こさせます。ゲームや、動画だけに「ツァイガルニク効果」を利用するのはもったいないことです。

 

 更に、おうちの方の手を煩わせてしまうのですが、「聴写」が学力向上に効果的な学習になります。聞いたものを書き写すというとてもシンプルな学習です。ここでは、ゆっくり文節(私は■ 新しい■くつを■かいました。)ごとに読んでいきます。きいた文章を書き写すだけなのですが、予想以上に集中力を使います。

 

 この3つの学習法、どれもいたってシンプルな学習法ですが、幾つかの脳科学的な要素が詰まっています。どれも文字認識という脳機能を使うことです。音読は、視覚から入った文字情報を言語発声に変換します。書写は同じく視覚情報を文字に変換します。認識、確認、変換という処理が脳内で行われます。聴写のみ、聴覚情報から文字に変換されます。これらは、かなり高度な脳の言語処理です。

 

 また、その学習法も言語情報を「短期記憶」します。記憶力に自信のない子は、無意識のうちに記憶力が上がっていきます。そして、先ほども述べた集中力です。「集中しなさい!」と言っただけで人は集中でいるものではありません。集中しなければできない環境、見なければ読めない環境、見なければ書き写せない環境、例えば、これらの学習をそれぞれ3分ずつ行うと、この学習にかかる時間は10分ほどです。これで、語彙力、集中力、記憶力が向上します。やり方を少し変えるだけで、幼児にもできる学習法になりますよ。