非認知能力の向上
■学力向上の第一歩「自己抑制」と習慣化
「学力を上げる」、子供たちのこの命題に、これまでは、ただ勉強あるのみと考え、いわば詰め込みの教育や、徹夜の一夜漬けなどが普通に行われてきました。しかし、教育にも科学の時代が訪れ、脳科学、認知心理学などの発達は、子供たちの学習法を大きく変えることになりました。
この間、半ば無視されていた「心の発達=人間性」が、実は、子供たちの学習を支える、自己教育力、自尊感情、自己肯定感に直結することがわかってきました。また、デジタル化の中で次第に薄れていく、人間性回復が社会でも叫ばれ始め、コミュニケーション能力、協調性、忍耐力、感情認識とコントロール、問題解決能力、自己管理、共感力、自己意識などを含む非認知能力の重要性が高まってきたのです。まさに、非認知能力は、「21世紀を生き抜くためのスキル」と言っても良いでしょう。
そして、非認知能力の向上は、直接学力に結びつく、向上心を生み、子供の自己肯定感を高めていきます。このため、非認知能力には、12ほど挙げられている、向上させたい知性があります。それが、対人的知性、時間的知性、社会的知性、内省的知性、感情的知性です。
こうして、非認知能力といっても複雑な要素が絡み合っており、その指導はそう単純ではありません。それだけ、人の「心」は多用性を持ち、複雑だということではないでしょうか。非認知能力の向上が必要とされている意味が理解できます。
幼児期からであれば、この非認知能力の指導は難しくありません。大切なことはただ一つ、生活習慣です。この中には、睡眠時間に関する起床就寝時刻、日課、躾、手伝い、遊び、学びなどが含まれています。また、小学生以上の子供たちも、ここから見直すことで非認知能力の向上を目指すことが出来ます。生活面の見直しがとても重要なのです。
まずはできるところから始めます。なるべく、習慣化できることから始めていきます。例えば、意外に見落とされている「挨拶」です。「挨拶」と「感謝」が基本となります。朝起きたら、「おはよう」、寝るときは「おやすみなさい」、人に何かしてもらったら「ありがとう」この、簡単な意思表示ができていないと、非認知能力の向上は難しくなります。思いの外、こんな日常の当たり前が出来ていないのが現状です。けして他人ごと(この言葉、間違えて読む方が増えていますが、『ひとごと』と読みます。」ではありません。こうした意識が、人の心を変えていきます。