学習のモチベーション | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
知的環境の豊かさが!

■子供の学習能力を削いでいるもの

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 この数か月、夫婦二人で「梅ちゃん先生」というNHKの連続ドラマの再放送を見ています。一気に1週間分の放送が見られるので、夫婦ではまっています。

 

 戦中戦後からのドラマで、子供たちが遊んでいる光景が出てくるのですが、自分自身もしていた「チャンバラごっこ」に始まり、懐かしい風呂敷をマント代わりにした「スーパーマンごっこ」「月光仮面ごっこ」など、男の子たちの定番の遊びを思い出しました。

 

 この頃の遊びは、工夫と活用で、なんでも「それと見立てて」の遊びが多かったように思います。身の回りあるものは、なんでも利用したので、缶蹴り、石けり、女の子はゴムだん、お手玉などなど、廃材や端切れの利用、そして、声を出して遊ぶ、「はないちもんめ」「後ろの正面だあれ」など、頭も、体も、声までも出して遊んでいました。今は、子供たちの声ではなく、ゲーム音が響きます。

 

 この頃の遊びは、空間認知能力を高め、コミュニケーション能力も高まりました。ものがない時代だからこそ、あるものを利用し、工夫した遊びは、子供たちの手先を起用にしていきました。また、鬼ごっこや、缶蹴りを通じ、子供たちは心肺機能を高めていきました。投げる、蹴る、捕る、走る、跳ぶ、打つ、組む、バランス、リズムという今のスポーツ科学の基本動作である9つの要素がしっかり入っていました。スポーツバイオメカニックと呼ばれる要素を全部満たしていたのです。これ自体が、遊びを通した知的環境です。こうして、日々の学習と共に、子供たちは遊びも含め「生きる力」を自分たちで養っていったのです。

 

 現代社会を見ると、そこには、過剰な豊かさや便益の多さが、子供たちの学習へのモチベーションを削ぐこともあります。他の娯楽や利便性の提供に、多くの時間とエネルギーが費やされ、学習への情熱が削がれているように見えるのです。遊ばされている、勉強させられている、大人の提供したゲーム機や、スマホという便利な道具が、子供たちの能力を日々削っている。それを創り上げてきた大人は、当時、外で目の色を変えて遊んでいた大人たちなのです。なんと皮肉な光景でしょうか。

 

 こんな環境で、子供に学習の大切さを説いても、子供の関心はそこにはありません。大人の追求する利潤が間違った方向に行くと、学ぶことから日々離れていく子供たちを生んでいきます。学年が上がるごとに本来は増える読書量、それが、読書時間が限りなく「0」に近づいています。子供たちは、何もなくても限られた中で、工夫を凝らし自分たちの想像力で遊びを創り上げていく能力を持っています。それが彼らの学習のモチベーションです!

大人が変わらなければ、子供たちの真の姿を発揮する姿を見ることはできないでしょう。子供たちの手本になれる大人でなければ、ですね。