子どもを叱る | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

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何に怒っているの?

◆子どものためという誤った報酬機能が

 今日もご訪問いただきありがとうござます。

 

 子どもの中に、叱られた経験のない子が小学校にあがり、先生に叱られ、ショックを受けてしまう子がいます。ことの善悪を理解し、対応できる子であれば良いのですが、好き勝手にふるまい、それが許されてきた子は、注意など聞き入れることがなかなかできません。そこで、少し強めの言葉で注意されると、こうした場面の経験のない子は、泣いたり、時にはパニックになることもあります。


 「子どもは、環境が育てる!」と言われますが、家庭環境と共に、生活圏内の社会環境も含まれます。親以外の大人に叱られる、場合によっては、直接、間接的に、事の内容から怒られたり、怒鳴られたりあすることもあるかもしれません。

 

 こうした、様々な声に関する経験や体験は、子どもの聞く耳に耐性をつけてくれます。大人には同じように聞こえる言語環境ですが、子どもにとっては初めてのことばかりです。この言語環境から、カジュアルな言葉、フォーマルな言葉の存在を知ることになります。時には笑い声、時にはささやく声、時には喧嘩する声、子どもは、最も影響を受けやすい人や場所から、様々な言葉を覚え、話し方により、多くの感情も表現することを覚えていきます。

 

 これが、子どもの持つ社会性の中で培われるコミュニケーション能力になっていきます。ただ、どんな影響を子どもが受けるのか、親としては、注意深く見守る必要があります。その中でも、親の影響は強く、親の叱る、または怒る場面から、子ども自身が嫌悪感を感じてしまうことがあります。

 

 叱る、怒るという場面を脇から冷静に見ていると、何に対して叱っているのか、怒っているのか、理解できない場面に出くわすことがあります。ほぼ、子どもを叱る場合は、ピンポイントになるはずなのですが、叱っているうちに、親が冷静さを失い、時に落としどころを失ってしまうことがあります。すると、叱る時間が長くなり、親自身、何に𠮟っているのかわからなくなっています。子どものため!という大義名分が、親の報酬機能を高めてしまい、感情的に怒る自分を正当化してしまいます。これは、気を付けなければなりません。この感情が更にエスカレートすると、躾と称し、虐待への道へと進んでしまうからです。

 

 これと真逆なのが、”褒めすぎ症候群”です。褒めて育てることが効果的と、叱ることなく、小さな成功体験の積み重ねと、些細なことでも感動し、褒める。これが、子育ての気付かない放任主義となり、子ども自身、注意や叱られることの経験のなさが、その後、他人から叱られたことで、注意した人に対し、嫌悪感を抱かせたり、経験のないショックを受けることがあります。

 

 「叱るも、褒めるも、子育ての隠し味」目立つことなくても、子どもの思考や行動に効き目のあるものになります。甘いあんこに、少量の塩を加えるようなものです。子育ての中でも、「叱る」という親の行為は、とても難しく、神経も体力も使います。だから、それは隠し味程度なのです。