学習に関するある法則 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

「衣食住育学」石川幸夫のブログ

教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
積み重ねという努力

■基準からのスタート

 

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 温かくなり、心弾む季節と思っていたのですが、それを通り越して暑いですね。まるで、桜の開花が初夏を連れて来たようにさえ思えてきます。もう少し春を楽しみたいのですが、それは、贅沢でしょうか。

 

 最近、「整う」という言葉を数多く聴くようになってきました。聴いていて耳障りの良い言葉ですね。子どもたちにとって、成長や身の回りが整うのは願っても無い事です。数多くの子どもたちと授業を通して接してきました。やはり、年齢と共に変化するのが、集中力、持続力など、学習を左右する基本的な能力です。こうした能力が、年齢と共に整ってくると、その先の成長も楽しみになってきます。そして、幼児教育を行っていると、見学に来られた小中学生を指導されている先生方が一様に驚かれます。それは、先生方が想像していた様子と余りにも違いが大きすぎるからでしょう。

 

 その違いの第一が、椅子に座り、しっかり授業を受けている子どもたちの姿です。近年では、小1プロブレムと言って、授業中たち歩いたり、落ち着きのない子が増えていますから、それは当然のことなのかも知れません。こんな幼い子どもたちを、どうしたら集中させ、指導が出来るのか、そのテクニックを知りたいと思うのでしょう。でも、テクニックよりも、子どもたちが持つ、好奇心を満足させてあげること、そして、何より、集中・持続時間が限られている幼児に対し、その時間的範囲内で、リズム、テンポ良く、歯切れの良い発声、発音で臨むことで、子どもたちは先生の方に集中してくれます。

 

 こうした授業から、子どもたちは数多くの言葉を学びます。その言葉を生きた言葉にするのが会話です。覚えた言葉を使うには、まずは話す事が一番です。この言葉を専門的には「外言」と言います。その後、言葉を覚えてきたら、話し言葉だけでなく、考える事で新しい発見や気づきに繋がる、「内言」を増やしていきます。こうした、「外言」「内言」を育む事で、バランスの取れた精神性へと成長していきます。勿論、この時期には、しっかりした社会情緒的スキル、いわゆる非認知能力を育む指導が並行して成されます。

 

 幼児期の6年間で一定の水準まで成長して貰うように授業は行われます。以前、幼児期に獲得した語彙数が、その後の成績に及ぼす影響をお伝えしました。小学校入学まの6年間で、2,000語の語彙数を獲得した子、対して、3,000語の語彙数を獲得した子では、小学6年生の時点で、8,000語と16,000語という倍の違いになっています。そして、7,000を獲得した最上位の子どもは、なんと37,000語にまで語彙数を増やしています。お解りのように、人は言葉で思考します。考える土台になる言葉の数の違いは、そのまま成績に比例します。これは、「1.01と0.99の法則」に当てはまってしまいます。

 

 「1」を基準として、互いに「0.01」の違いがあります。学習は日々の積み重ねです。学習の基準が「1」であれば、その基準より「0.01」多い子は1.01の365乗(日)で37.8になり、一方の0.99で「0.01」基準より低くなるだけで、0.99の365乗=0.03となります。一見荒唐無稽な計算のように見えますが、脳の発達が最も著しい0歳から6歳までの幼児期の重要性は、他の動物として、人が優れている証として言葉の発達があげられる通り、その基準となるのが言葉であることは明かです。

 

 幼児期の6年間、この時の言語学習が、好むと好まざるとに関わらず、言葉の習得と獲得に割りあてられた時間で、お母さんの言葉がけや、会話、読み聞かせなど、日々展開される我が子のための努力の一つに数えられます。この時の母親の、我が子に向けた無償の愛の中で育まれ伝わっていく言葉の数々が、一粒一粒、心の中に蒔かれ育っていきます。こうして、親の見えない努力は子どもの中に、言葉として残り成長していきます。その後、このこと場立ちは、様々な思考を重ね、より広く、縒り深い知識となって、子どもに創造力を与えていきます。努力はけして裏切りません!!