新しい教育格差 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

「子どもの将来を考える!」

■コロナウイルスがもたらした教育格差

 教育現場では、一斉休校で生じた3か月間の学習遅滞を取り戻すため、授業時間の確保や先生方のやりくり、行事の見直しなどで翻弄されています。そして、今回の新型コロナウイルス問題から、子どもたちには、新たな教育格差が広がりつつあるのです。少し硬い話も出てきますがお付き合いください。

 

 授業が物理的に不可能な状態となり、子どもたちは、否応なしに自主学習を強いられることになりました。既に、ここで、自分から進んで学習できる子と、だれかが指導しなければできない子に分かれます。ここに一つの課題が示されることになりました。幼児期から、自己教育力を高める為の、一歩進んだ教育的指導と、それを支える家庭の協力が必要になってきたのです。それが、このブログで何度もお伝えした、生活習慣の確立、家での手伝い、生活常識、社会常識の習得、言葉遣い、挨拶等々、躾と社会情緒的スキルの向上を目指した子育てです。それ自体が、社会全般で求められる子どもたちのスキルになるでしょう。これは、今以上に子育てに対し、厳しい要求となるだろうと予想されます。

 

 そして、新たにもう一つの教育格差が徐々に広がり始めています。それが「教育の情報格差」です。これは、別名「デジタル格差」とも考えられており、いわゆる「オンライン教育」での格差です。これは、学校との「オンライン教育」を思い浮かべますが、実は、今回、民間が様々な「オンライン教育」を無償で提供しています。私も、あるIT関連企業から依頼され、幼児向けの「オンライン保育」について協力をしています。そこから、団体に向け、「オンライン教育」の無償提供の申し出があり、今、その団体を募集しています。しかし、せっかくの無償提供でも、それを受信する環境にない家庭も多く、これが、新たな「デジタル格差」を生じさせています。

 

 配信を受けるにも、スマホでは限界があり、やはりノートパソコンやディスクトップパソコンが有利です。すると、通信環境の整備が必要に。なってきます。子どもの将来のことを考えると、スマホではなく、多くの情報処理を行うことを考えると、少なくともパソコン周辺の扱いも学習の一つとなるでしょう。社会に出た若者が、ワード・エクセル・パワーポイントという言葉を初めて聞いたという例は決して珍しくありません。スマホの指先使用が多いせいか、マウスの使い方も用語も知らない若者は想像以上に多いようです。

 

 情報社会は、教育の場でも大きな意味を持ち始めています。今、幼児や小中学生をみれば、その情報に偏りがあることを理解するでしょう。情報の選択が地涌であるため、学習以外の情報になっています。私が、数年前、イギリスの大学から招かれたとき、大学は丁度テスト期間中でした。図書館では、多くの学生がパソコンと向き合っていました。館内では、キーボードを叩く音だけしかしませんでした。彼らは、かなりの頻度で、学習にパソコンを使用すると言っていました。まるで、ノートに書き込むようでした。欧米ではもともと、文章をタイプライターで打つことが日常であったため、そのキー配列とほぼ同じであるパソコンのキーボードになれるのは時間はかからなかったでしょう。私も、初めてキーボードに向かった時は、とても苦労しました。ただ、幼い子を見ていると、環境に順応する能力が高く、一定の指導で慣れてくるはずです。

 大人だけでなく、子どもたちも在宅での自主学習となりました。ところが、ここでも大人同様の格差が広がっていたのです。在宅で今回超加速で広がったリモートワーク、Zoomなどを使い、必要な会議も家庭から参加し行われました。こうしたデジタル環境は、子どもも使用できる環境になります。しかし、通信環境が整っていない家庭もあり、ここで、教育情報の格差が生じ始めたのです。先ほどのIT関連企業に、こうした通信環境を組み込んだシステムの開発をお願いしています。

 

 今後、数年で、公教育、私教育問わず「オンライン教育」は普及していくはずです。正に教育に正規の対面授業とオンライン教育というダブルスタンダードの環境が整います。すると、子ども一人で、画面に向かい集中して学習できる、子どもの自立性が問われてくるのです。それは、今の幼児期から、こうした学習指導に慣れていく必要があります。現在、多くの参加型、双方向性の「オンラインイベント」が行われています。その殆どが無償で行われています。是非親子で参加できる「オンラインイベント」に参加されてください。こうした、新たな展開に抵抗感を持たれる方もいらっしゃると思いますが、まずは試しに参加されてはいかがでしょうか。