前に書いた小説の粗探しでもするか。
ん? これは?
一週間いない(約四ヶ月)
はい。
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★メイン登場人物
桜ノ宮中学に転校してきた主人公。
都会から田舎へ引っ越してきたため、その雰囲気からかクラスに馴染めないでいた。
そんな時、藤堂みのりが陽気にも話しかけてくれ、意気投合した二人は今では大親友になっている。
ドライな性格を含め、そんなところが男子にも人気なのか人気株は中学二年になっても、衰えることはない。
突出してクラスで浮いているわけでもなく、孤立しているわけでもない。
しかし影ながら、彼が努力家であることをクラスのみんなは知っていた。率直して、クラス委員などになり、積極的でいて謙遜な性格の男子。
密かに女子の話題の種になることもしばしば。
1.呪いのノート
門倉麻子はとても心細くなっていた。
田舎というものは、昼はのどかだが、夜になれば瞬く間に不気味な雰囲気を醸し出す。
まるで、世界が突然廃墟と化したような……。そんな激しい変化に元都会人である麻子は未だに慣れていなかった。
夕方午後6時。
夏とはいえ、もう8月に差し掛かる。暗くなり始めるのも極端に早くなっていた。
(はぁ……。怖いよ……。野犬とか出たらどうしよう……)
ちらちらと後ろを振り返っては、その長い髪は揺られ、真珠のような黒い瞳には涙が浮かんでいる。
ゲロゲロと聞こえてくる蛙や虫の鳴き声は、そんな麻子を嘲笑っているかのようで、思わず耳を塞ぎたくなった。
いざ何かあった時、防御できるようにとバッグを抱きしめて身を固めた。足取りはおぼつかず、背の低い麻子は歩幅も狭い。
ひとつ、ふたつ。過ぎ行く電灯の数を数えながら恐怖で押しつぶされそうになるのを必至で我慢していた。
その時だった――――。
ふいに、バチバチッ!!! という弾けた音が生暖かい空気を切り裂き、麻子の体を凍りつかせた。
「――――?!!」
そして次には視界が暗転し、ジジと電気がショートしたような音……。
悲鳴を上げようとしたはずの声は、喉の奥でつまる。
冷や汗を垂らしながら恐る恐る上を見上げれば、寂れた電灯が物悲しくも壊れていて、助けてと言わんばかりに小さな灯だけが点滅している。
吃驚した直後にドっと押し寄せる安心感で、全身の力が抜けそうになった。
冷静になった途端、今度は理不尽に驚かされた無機物に対しての怒りを覚える。
――助けて欲しいのは、こっちだ!
と麻子は電柱めがけて蹴りを入れると、ゴーン!! と除夜の鐘のような音が小さく響いた。
あまりの硬さに思わず顔を歪め、靴の上から足を抑えて涙ぐむ。
(くぅ~……、もうやだ、早く帰りたい…………)
そうは言っても、周りは麻子を閉じ込める監獄のごとく田んぼだらけ。
遠目に見ても民家のあかりはポツポツとあるだけで、心もとないにも程がある。あぜ道を使えばショートカットすることも可能だが、靴がどろどろになる上、視界が悪い。田んぼに落ちたら、悲惨なんて一言では表せないだろう。
麻子は、涙の滲む大きな瞳を見開いた。
そして、目指すものはそんなリスクを背負って掴み取るべきではない。と自分に言い聞かせる。
もう少し、もうあと1キロも歩けば近くの家から美味しい料理の匂いが漂ってきて、その家庭的な空気に少しはほっと胸を撫で下ろすこともできる。
田畑をいくつも挟んだ先に見えるその楽園は、麻子にはとても遠くに見えたが、小さな歩幅を必至に動かして足を速めた。
なるべく、怖い事は考えないようにしよう。そう考えた末に、思い立ったのが。
――――どうしてこんな怖い思いをしなければいけなくなったのか、という至極単純なものだった。
思い返せば、ムカムカと胸を焼く憤りのようなものが蘇ってくる。
自然と麻子の眉もつり上がってきて、あどけない顔の眉間にシワができる。
(これもかれも、全部あの男子のせいだよ…………)
門倉麻子が憤慨するその訳、事情の発端となったのは《総三真翔》という男子生徒だった。
次に会ったら、挨拶されても無視してやろう。
なんて、唯一男子で『おはよう』と言ってくれる人間に対しての仕打ちを試みる決意をしていた。
それから、ほんの二十分弱。
麻子にしてみれば、もっと長く感じていただろう。けれど今は麻子にとっても、そんなことはどうでもいい。
とにかく、気持ちが
バサ……。
家の前までようやくたどり着いたと思った矢先に、その無機質な音は背後で鈍く響く。
「…………」
一瞬麻子の思考が停止した。
けれど、じわりじわりとそれは体を蝕んでいき、後ろを振り返ることを拒絶できないでいる。
まるで他人に操られているかのように、勝手に動いてしまう自分の体に違和感を抱かない。
けれど麻子にはそれが何なのかわかっていたから、余計に確かめられずにはいられなかったのだ。もし自分の予想を裏切ってくれたら、それは恐怖から救われるという事に、他ならないのだから。
だから麻子は、振り返るしかなかった。
一冊のノートを、電灯が照らしていた。