ナンバー56 ラーメン屋春ちゃん 〈閉店時間の巻き) | 堀切光男のエッセイ畑

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主にエッセイ。

昨今は皆無と行ってもいいが、バブルの頃は閉店間際にあわただしく


駆け込んでくる団体さんが非常に多かった。


ほとんど作業服の人達で、工事の途中で慌てて駆け付けたようだ。


日本人だけでなく、いろんな国の人達が来た。


隣りの国の人達五人が来た時は、日本語が話せるのは一人だけ。


その男が仕切って注文をする。


食べ終わると、その仕切り男が全額を払い四人から代金を集めているのだが


観ていると、どうも一人 一人から200 円程多く取っているようなのだ。


「うちの店はそんなに高くないよ」 中○語がしゃべれたら、


そう言ってやりたかった。


日本人の現場監督がイスラム系と思われる人達を8人も連れて来た時は


本当に困った。


「鶏肉だけしか食べないので、チキンライスを七人前たのむ」と言う。


閉店間際だからご飯も鶏肉もとても人数分には足りない。


そう断ると 現場監督、大きなため息をついて、


「これで3軒目なんだよ。ラーメンもスープに豚を使っているので食べないし


泥だらけのこんな格好じゃあファミレスにも入れないし、


ホントニ毎日いやんなっちゃうよ、おいっ お前たち今日もコンビニのから揚げ弁当だぞ」


とトボ トボ帰って行った。


暖簾をしまっている時に団体で来られるのは本当は店側もイヤなもので


売り切れも多いので断りたいと思う反面、売り上げが一気にアップも捨てがたい。


そのジレンマに心が揺れている時、関東の人たちは


「まだ、いいかなあー」と明るく言うので つい つられて


「いいようー」


と答えてしまう。


反対に関西から出張してきた連中は必ず


「もう、あかんかあ」 ときくので、つられて つい


「あかんわあー」


と答えてしまう。