「三方 一両 損 異聞 」
ここは 奉行所。 お白州では只今、大岡裁きの真っ最中。
「これっ、八公とやら。 それではせっかく熊公とやらが、拾ってくれたこの三両、
どうしても 受け取らんと言うのじゃな?」
「あたぼうよっ。 俺っち江戸っ子でい。 落としちまった金は
もう俺の モンじゃねえ。 熊公にそっくりやっちまってくれ」
「これ、 熊公とやら、 こう申しておるが この三両ありがたく頂戴しては
どうじゃな?」
「冗談じゃあ ありやせん。 こちとらだって、江戸っ子だあ。
他人の落とした金なんて、絶対に 受け取れやせん」
「さようか、それでは致し方ないな、三両は この 越前が貰っておこう。
ところで、そち達は 稀に見る 正直者であるな。
そこで二人に越前からニ両 づつ褒美を取らせる。
八公は落とした三両に 一両足りず、 熊公は拾った三両に一両 足りず
越前も一両を 持ち出した。
これで三方一両損じゃな。 わっはっはっはっ」
と、ここまでは よく知られた話。 ところが・・・・。
奉行所からの 帰り道。 八と熊 が笑いを必死に、こらえていた。
「うっ、しっしっし。 おいっ 旨くいったな。俺の言った通りになっただろ?」
「まったく、こんなに旨く いくとはなあ」
「ダ チの留公から、ちょっこっと 借りた三両で 二人でうった 大芝居」
「借りた三両を返しても 一両は丸儲け。 損をしたのは越前 只一人」
・・・・・と言う「三方 一両損」の異聞の おそまつ、 これにて
「一件 落着!」 ( 両 {今回だけ} )