「左甚五郎と 一休和尚」 落語の草案です。 これに肉付けして晴れて落語となります。
「ちわあー、 一休和尚さん、 いますかあー」
その,騒々しい声は八百屋の八っあんだね、どうしたんだい?」
「どうしたも、こうしたも今売り出し中の左甚五郎さんが、又評判とったよ」
「ほう、 又 何か良いことなされたかな?」
「和尚、悔しくないんですかい? 今や(一休さん) より(左甚五郎)
の方が有名ですよ」
「わっははは、ワシは何も有名になる為にとんちを働かせている訳じゃないよ。
それで、 今度は何をなされたのかな」
「それですよ、それ。仕入れ先の百姓がね 大喜びで言うんですよ。
(ワシの畑は土より石ばっかり多くて、難儀してたんじゃが、旅の途中の
甚五郎さんに相談したら、大きな竜神様を彫ってくれたんじゃ。
日光にねむりネコを彫りに行く途中で、忙しい身なのに一日がかりで彫ってくれた。
そりゃあ見事な彫り物で、誰も作り物とはすぐには、気が付かないほどだ。
シシ おどしの仕掛けを応用して、石が沢山乗っかると竜神が高く持ち上るんじゃ。
この竜神のからくりに重しをつけて、畑の脇にある池に沈めた。
そして(池に石を投げると竜神様が 姿を現わします)と立札を立てた
石が沢山乗っかると竜神様が水面に顔を出したり隠れたりする訳じゃ。
これがうわさになり、大勢の人たちが駆けつけて、どんどん石を投げたもんで、
すっかり畑の石も無くなった) とこう言うんですよ」
「ほうほう、さすがは甚五郎さんだね、なかなか面白い事を考えたもんじゃな」
「ところが和尚、またまた百姓が嘆くんですよ。 (喜んだのも束の間、余りに多くの
人が押し掛けたもので土だけになった畑は踏み固められるし、人の波も一向に
途絶えない。 これじゃあ種まきに間に合わねえ)と。
甚五郎さんはとっくに旅立ってしまったし、どうすればいいんでしょうね」
「わっははは、最初からその相談だったのじゃろう? そうじゃな、ではもう一度
立札を立てなさい。 いいかな、 こう書いとくんだ。
(竜神様はこの畑の土中のどこかに竜珠を隠して天にお帰りになりました。
七日後に竜珠を取りに戻られますが、その時に人影があればお怒りになり
食べられてしまいます) とな。
七日後には畑もすっかり耕され、無事 種を植えられるでしょう。 わっははは」
了