「おしゃべり」の効用 | 100万人の中国語 

100万人の中国語 

田中則明(たなかのりあき)
小田原在住。中国語研究家。

二つの壁:「四声」と「日本語にない母音子音」

外国語に取り組むための前準備として、

お金をためておく、学習時間を確保して

おく、出来るようになった暁に何をするか

を決めておくなどいろいろと考えられます

が、私は、「母国語で、おしゃべりの練習

をしておく」ことをお勧めしたいです。


なぜかと言えば、「おしゃべり」をする、

つまり、自分が言いたいことを言うという

習慣を身に付けておかないと、テキスト

の例文を発話するだけに終わってしまう

からです。


また、私自身の経験からすると、「おしゃ

べり」というのは、「おしゃべり」をしてい

過程で自分が何を言いたかったのか

分かってくるという側面が大いにあり

す。「おしゃべり」を終えてから、

「そうか、自分は、そんな考えを持って

いたんだ」改めて気付くということが

あるということです。

脳が既に発せられた自分の言葉や相手

の言葉に常に反応していて、言葉による

思考を推し進めているということなので

しょうか?


「おしゃべり」の習慣を身に付けた人は、

「おしゃべり」と同時に「ものを考える」習慣

をも身に付けていると言えるのかも知れま

せん。


いずれにせよ、外国語の教師にとっては

「おしゃべり」の習慣のない学習者は、手

ごわい存在です。


先生:では、この例文を言い換えてください。

生徒:これは、ペンです。


先生:もう一つ。

生徒:これは、椅子です。


先生:では、次の文型に移りましょう。

    言い換えてください。

生徒:私は、ペンを持っています。


先生:もう一つ。

生徒:私は、椅子を持っています。

先生:?

    言いますか、そんなこと?



一方、おしゃべりの生徒といると、俄然、

双方の頭の働きが活発になり、お互いに

高揚感を覚えます。


先生:では、この例文を言い換えてください。

生徒:これは、本物の偽物ですよ。


先生:もう一つ。

生徒:M資金のMは、人類資金のMです。


先生:では、次の文型に移りましょう。

    言い換えてください。

生徒:先ず日本語で言わせてください。

    「ある朝、彼の屋敷の裏庭に

     一羽のヒヨドリが舞い込ん

     で来て・・・・・・。」

先生:ちょっと待った!

    どうやったら、これが、この文型

    になるって分かるの?

    欲張り過ぎ!

    もっと短く!

生徒:「文学を解しない人には、

    つける薬がない。」

先生:“无药可救?你指的是不是我?”

生徒:“是。”



http://homepage3.nifty.com/shingensha/





















http://homepage3.nifty.com/shingensha/