あるとき信者の一人が釈尊に尋ねました

「お釈迦様は何でもおできになる。あなたには不可能と言うことが無いのでしょう」

 これに対して釈尊は

「いや、そんなことはない。どうしてもできないことが三つある。

 前世から定まっている業を即座にはなくすことはできない。

 縁のない大衆を済度することはできない。

 世界の人類すべてを私の手一つで救うことはできない。」と説きました。

 

 三不能を明らかにすることにより、それ以外はできると信じさせることができます。

釈尊の巧みな話術の賜物です。

 

 この釈尊三不能の論法を商品広告に使って大成功した人がいます。

明治初期の事業家の岸田吟香が新しい目薬を発売するにあたり

「この目薬はソコヒに効かず」と謳いました。

 ソコヒは今では手術で治療可能な眼病ですが、当時は難病でした。

ソコヒには効かないと強調することでそれ以外には効くとの印象づけに成功したのです。

 

 

 国鉄が民営化される以前の昭和24年ころの話です。

この頃は、車両や路線のことを「運輸省電車」を略して「省線」と呼んでしました。

つり革も様変わりしましたが、当時は長さ30cmくらいの握り棒がぶら下がっていました。

先端が丸みを帯びていたので太さと相まって男根を連想する人も多かったようです。

噺家の間では、男根を「ロセン」と呼びならわしていました、こんな小噺があります。

 

 ある噺家の前座が師匠の使いから帰って師匠に報告したあと雑談で、

「驚きましたよ、省線でお囃子のお浪さんと一緒になりまして、話していたら突然

お浪さんが『オヤ、嫌だね、ロセンそっくりじゃないの、あたしゃ恥ずかしい・・』と

言った途端省線が急停車しちゃいましてね、お浪さん握り棒に掴まっていなかったから

ぐらりと体が揺れたはずみに、私のロセンをぎゅっと握って、痛いの、痛くないのって

もう大変でしたよ」

 

「ロセン」に対する隠語は「たれ」で、女に惚れこむ隠語が「たれこむ」だそうです。

「たれこむ」は、「密告」の意味だと思っていました・・・

 

「たれ」にも方言があり、山陰地方では「べべ」と言ったそうです。

 おとぎ話の講演で巌谷小波氏が山陰地方のある女学院で講演したおり

『山王様のお猿は赤いおベベが大好き』と口にしたところで女学生が一斉に下を向き

クスクス笑いが止まらなくなり困ったことがあったそうです。

 

「おはこ」も同様の隠語の方言です。

鹿児島県川辺町(現北九州市)でこんなことがありました。

新任知事が県下巡察中に歓迎会が催されました。

随行していた総務部長は、この地方が芸事の盛んな地方であることが記憶にあったため

挨拶の最後に

「・・・この上のごちそうは、是非皆さんのおはこを拝見させていただきたい」

この歓迎会は赤十字社や婦人会の主催になるものでご婦人が多かったのですが、

ご婦人たちは一斉に下を向いてしまいました。総務部長はそれを謙遜と受け取りさらに

「そんなに謙遜なさるには及びません、皆さんがどんなにか素晴らしいおはこをお持ちかは

 寡聞の私でさえよく存じております。新知事がそれをご覧になったらどんなにお喜びに

 なることか・・・」

陪席していた警察署長がたまりかねて飛び出し総務部長を廊下へ引っ張り出し

「君はとんでもないことを言う、おはこと言うのは十八番のことではなく・・・」

 

赤っ恥を掻いてしまった総務部長ですが、この後宴席はどうなったのでしょう?

 

 

 

 

 フランスで本当にあった話?

 

 離婚する場合、洋の東西を問わず子供の親権が問題になります。

フランスでは、深刻な問題も案外ユーモラスに片付ける向きもあるようです。

それと言うのも、教会の牧師がこういう調停に権威ある伝統を持っているからでしょう。

 

 ある夫婦に離婚話が持ち上がり、妻は娘を連れて出ると言い張り、

夫は娘は自分のものだからそうはさせないと言い、まったく折り合いがつきません。

すったもんだの挙句、教会の牧師さんの判定を仰ぐことになりました。

 

 牧師を前にして、妻はまくし立てます、

「子供は私のものです、お腹へ宿して、生まれてからも育児をしたのは私です。

 この人は、私の体をおもちゃにしてただ楽しんだだけなのだから、子供を引き取る

 権利などありません。」

 

 夫は落ち着き払ってこう言います、

「まぁ牧師さん、たとえ話といきましょう。私が旅行するために駅に行ったとします。

 汽車の中で食べるため自動販売機の所へ行って、20フランの硬貨を機械の割れ目に

 落とします。そこで出てきた板チョコは誰のものでしょう。

 その機械のものですか、それとも私のものでしょうか」

 

 牧師は夫のたとえ話が気に入ったらしく、

「そりゃ君の言うとおりだ、子供は君が引き取るがいい」