国鉄が民営化される以前の昭和24年ころの話です。
この頃は、車両や路線のことを「運輸省電車」を略して「省線」と呼んでしました。
つり革も様変わりしましたが、当時は長さ30cmくらいの握り棒がぶら下がっていました。
先端が丸みを帯びていたので太さと相まって男根を連想する人も多かったようです。
噺家の間では、男根を「ロセン」と呼びならわしていました、こんな小噺があります。
ある噺家の前座が師匠の使いから帰って師匠に報告したあと雑談で、
「驚きましたよ、省線でお囃子のお浪さんと一緒になりまして、話していたら突然
お浪さんが『オヤ、嫌だね、ロセンそっくりじゃないの、あたしゃ恥ずかしい・・』と
言った途端省線が急停車しちゃいましてね、お浪さん握り棒に掴まっていなかったから
ぐらりと体が揺れたはずみに、私のロセンをぎゅっと握って、痛いの、痛くないのって
もう大変でしたよ」
「ロセン」に対する隠語は「たれ」で、女に惚れこむ隠語が「たれこむ」だそうです。
「たれこむ」は、「密告」の意味だと思っていました・・・
「たれ」にも方言があり、山陰地方では「べべ」と言ったそうです。
おとぎ話の講演で巌谷小波氏が山陰地方のある女学院で講演したおり
『山王様のお猿は赤いおベベが大好き』と口にしたところで女学生が一斉に下を向き
クスクス笑いが止まらなくなり困ったことがあったそうです。
「おはこ」も同様の隠語の方言です。
鹿児島県川辺町(現北九州市)でこんなことがありました。
新任知事が県下巡察中に歓迎会が催されました。
随行していた総務部長は、この地方が芸事の盛んな地方であることが記憶にあったため
挨拶の最後に
「・・・この上のごちそうは、是非皆さんのおはこを拝見させていただきたい」
この歓迎会は赤十字社や婦人会の主催になるものでご婦人が多かったのですが、
ご婦人たちは一斉に下を向いてしまいました。総務部長はそれを謙遜と受け取りさらに
「そんなに謙遜なさるには及びません、皆さんがどんなにか素晴らしいおはこをお持ちかは
寡聞の私でさえよく存じております。新知事がそれをご覧になったらどんなにお喜びに
なることか・・・」
陪席していた警察署長がたまりかねて飛び出し総務部長を廊下へ引っ張り出し
「君はとんでもないことを言う、おはこと言うのは十八番のことではなく・・・」
赤っ恥を掻いてしまった総務部長ですが、この後宴席はどうなったのでしょう?