まだまだフリーのメイクだけでは生計が成り立たないとき。
カメラマンのカメさんのスタジオ兼、住まいによく通った。
男一人で住んでいるので、部屋の掃除をお願いされたり。
お願いはされたのは、私のほうだけど。
だけど、カメさんは私の事を考えて仕事を与えてくれた。
少しでも、私の生活が成り立つようにという優しさと
この世界で生き残る知恵みたいなのを教えてくれた。
お昼になると、お弁当を買ってくれたり配達弁当を頼んでくれたり、
駒場東大前駅の近くに美味しい定食屋があって、そこもよく連れて行ってくれたなぁ。
スタジオに行けば一万円を頂いていたとおもう。
電話番、掃除代として。そこまで完璧にしていたわけでもないのに。
カメさんは、「僕のスタジオに出入してるとね運気上がるんだよね~いたほうがいいよ。」って言ってた。
素直に甘えておいたほうが良いよ。って。
カメさんもちょっと不思議な感じの人で子供っぽい所もあって。
面倒見のいい人だった。いつもニコニコしてる人だったな。
アダルトの仕事だけでなくて国会議事堂内に入って撮影なんかもしてた。
「太陽ちゃん、政治家の人紹介してあげる。太陽ちゃんなら直ぐ気に入られる。
マンションもくれるよ。困らず生活できるよ」と言われたこともある。
私は、何故かわからないけれど昔から、お偉いさんとか政治家とかそういう人に
へこへこするのがどうも苦手。だから、芸能関係、テレビ局もダメだった。
ご機嫌取りが出来ないので。だから、このはなしも、無理無理。
いわゆる愛人にはなりません~と断った。
カメさんは、笑いながら「バンドマンの彼氏より安定するのに~」みたいなこと言ってたなぁ。
