京都駅八条口から歩道へ出たところで、一人のおじさんと目が合いました。
暑いのに着っぱなし感のあるジャンパーをはおった、赤ら顔の、いわゆる労働者風の方でした。
おじさんは視線をワタクシの頭頂部から爪先まで二往復ほどさせたのち
「姉ちゃん、かっこエエな~」
と、口元からアルコール臭を発しながら笑顔でおっしゃいました。
どうやら、その日のワタクシのコーデが大変お気に召したようです。
そんなわけで、ははあ、どうもありがとうございますと丁重にお返しした後、五分ほどこの酔っ払いのおじさんの話を聞きながら歩くという、珍しい経験をすることになりました。
おじさんは西成から来た人で、普段は安全を守るために地元を見て回っているそうです。
(なんだか、警察24時的な番組で、コンビニ近くで職質されているおじさんが似たようなこと言ってたな~)
で、この前も女子高生が車にはねられそうになったところをおじさんが突き飛ばして助け、車に「なにしとんじゃ!」と怒鳴り、女子高生に「ありがとうおっちゃん」と感謝された、というようなことを、誇らしげにおっしゃいました。
話し終わると、おじさんはイオン京都店方面へ手を振りながら去っていき、高校生に
「おう、元気か!」的に声をかけていました。
高校生はさぞやびっくりしたでしょうが、おじさんのいる景色はワタクシの背後へ遠く消えていき、その後どうなったのかはわかりません。
こういう場面で、適当な理由をつけて素通りできないという弱点を、ワタクシはなかなか克服できません。
なんかねぇ、面白いなと思ってしまうのです。
おじさんの語った武勇伝が、いつのことなのか、どこまでが本当でどの程度盛っているのかは正直わかりませんが、この話には、おじさんの、人に感謝されるような人間でいたいとか、社会と関わっていたいとか、意味ある人間でいたいとか、そういう気持ちがつまっているような気がします。
その実現の手段が、自主的な地域見守りなんでしょうねぇ。
一方で、おじさんが朝っぱらからそこいらでお酒を飲んでいることで地域の治安の不安定さを醸し出すこととの、この矛盾。
生きるって、難しいねぇ…