前の記事にも書いた気がしますが(いや、書いてないわ)、今年は紅葉が早いような。

そして、ここ数年になく色鮮やかな気がします。
なんて思ってぼんやりしているうちに、もう冬だよ。トホホ。
ときに、なんのために植物が紅葉するかご存じでしょうか。
ご存じでも
「ああ、またあの人ウンチクたれてるな」と、生暖かい目でしばし見守って下さい。
さて、紅葉とは、端的に言えば
『植物が光合成を止める行為』であります。
なので、紅葉の前に光合成の仕組みをお話しいたします。
おそらく、まあまあの方が光合成に対し
『植物が二酸化炭素を吸って酸素を出す』
というようなフワッとした印象をお持ちと思います。が、実際は
①太陽光のエネルギーを使って水から水素(実際は陽子なんだけどややこしいので水素で通します)をひっぺがす。
②水素をひっぺがしたあとの残りカスとしての酸素を空中に放出する。
③太陽光のエネルギーとひっぺがした水素を使って、ATPとかNADPHとか(名前は覚えなくていいです)次のステップで有機物を作るのに必要な物質を生成する。
④二酸化炭素を取り込み、酵素の力で二酸化炭素と水素をゴチャゴチャくっつけて有機物にする。
で、最終的に糖として蓄えられたり、セルロースとして植物の体づくりに使われたりするわけです。
どうしてなかなか複雑なプロセスなのですよ。
「ちょっと待ってよ、ATPとかNADPHはどこに行ったの?」
という真面目な方もいらっしゃると思いますので補足しておきますと、ATPはエネルギーの運び屋みたいなもので、二酸化炭素と水素をくっつけるときにエネルギーを放出し、NADPHは水素を一時的に入れ物に保管した状態みたいなもので、二酸化炭素にくっつけるときに水素を放出します。
アアア、なかなかに乱暴な説明だぁ。
ともかくも、光合成はざっくりと
A『 光の力で水を水素と酸素に分ける』
B『酵素の力で二酸化炭素と水素から有機物を作る』
という二つのステップに分かれております。
この二つのステップのバランスが取れているうちはいいのですが、秋が深まってくるとステップBの方が次第に滞ってきます。
なぜなら、気温が下がってくると酵素の働きが鈍ってくるからです。
そうなると、植物の体内は水素が過剰な状態になってしまいます。
水素(正確には陽子)というのは、なかなか扱いの難しいもので(化学的には還元力が強いというのですが、周りの物質を不用意に変化させやすくて危険だと言う程度の認識を持っていただければ幸いです)、この状態を打開するため、植物はステップAを止めるようになります。
その方法は
ア) Aのステップで主に使われている波長の光をブロックする
イ) 光合成を担っている葉緑体においとましてもらう
ア、イの両方が起こる場合は紅葉、イによって緑色が抜けるだけの場合は黄葉となります。
というわけで、我々人類が
「嗚呼、秋やなあ」
としみじみするあの紅い色は、ミもフタもない言い方をすれば、植物の日焼け止めの色なのですな。
そして、我々人類がしばしば癒されたりする植物の緑色は、光合成には使えない色=光の残りカスとも言えなくもないのです。
…マッタク、いつもながら情緒が無いにもほどかあるぜ。
以上、
「秋なんだから『But I missed most of all,my darlin'』みたいな、持って回った物言いでメソメソできるような情感豊かな人間になりたいんだよう!」
と常々思っている海月亭浮遊彦がお送りしました。