永冬生活…区切 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
LDH系、特に三代目JSB、特に登坂広臣(臣ちゃ)好き♡♡♡
斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)

話し…といったって、今までにも何度かあった危機の時と同じような内容、裁判所を出る時からずっと繰り返してきた内容、を、まるでなぞるように繰り返すだけ。

新しさも面白みもありゃしない。

確かに真剣さは伝わってくる。

真剣さは伝わってくるが、だ。

過去に何度も同じことを言われ、何度も裏切られてきた。

それを、嫌、というほど解らされてきた私の心に、響くものは何一つなかった。

『なぁ、チビィーっ!!チビってっ!!俺はお前じゃないと嫌なんだよっ!!』

相変わらずバカの一つ覚えで繰り返すダーリン。

顔を背け、逃れようとする私を、決して逃すまいと必死に掴まえる。

《痛ぁいっ!!はぁなしてっ!!もぉいやーーーっ!!》

近所の目なんて気にしちゃいられなかった。

大声で叫び、半狂乱で泣きわめき、出来る限りの抵抗をする。

しかし。

私は解っていた。

そんな激しい抵抗をしながらも、きっと最後は折れてしまうんだろな、と。

彼とはもうやっていけない…。

こんな思いを引きずって、同じことを繰り返すのはもうたくさんだっ!!

そんな気持ちも、もちろんあった。

でも逃げたかった。

この苦しみから逃げたかった。

ダーリンを好きとか嫌いとかでなく、自分がどうしたいかとかでなく、ただひたすら逃げたかった。

どれくらい時間が経っただろか…。

あたりはすっかり暗くなっていた。

昼過ぎには帰っていた筈だから、何時間もこうしていたのか…。

すべてのエネルギーを使い果たした私は、彼の腕の中でぐったりとしていた。

もう泣く元気もなかった。

そんな私をしっかり抱きしめ

『俺にはチビしか居ないんだっ!!』

まだ、そう繰り返すダーリン。

えぐッ…えぐッ…

あれほど疲れ果てていた筈なのに、思い出したように再び泣き始めた私。

((終わった…。))

私には大抵パターンが決まっていた。

泣き、わめき、力の限り抵抗する
疲れ果ててぐったりする
再び泣く(やや弱々しく)
陥落(苦笑;)

《えぐッ、えぐッ…。もぉしない?》

『ごめん…。もぉしないよっ。もぉしないからっ…。』

《ほんとに、絶対、もぉしない?》

『しないっ。ごめんな…チビっ。』

《…ふぇーんっ。ばかぁっ。ダーリンのばかぁっ。えぐッ、えぐッ…。》

顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。

泣き叫び続けたせいで、ややむくんでいた。

そんな私を、ぎゅぅッと抱きしめkissの雨を降らせる彼。

暫くしてヨロヨロと立ち上がると、台所で顔を洗う。

泣いたあとに顔を洗わないと、その場も酷い顔だったが、翌日は目が腫れ上がり、もっと悲惨なことになるのだ。
どんな場合でも、私の中のそこそこ最優先事項である(苦笑;)。

『行こか。』

《うん…。》

私達が向かったのは市役所。

婚姻届は既に前日までに用意してあった。

もちろん全て記入済みである。

《ぃやぁっ♪緊張するねぇ♪まぁアタシは2回目なんだけどねっ♪》

そんな高いテンションで、わくわくしなが記入したのだ。

保証人は両方の父親に頼んだ。

そう。

私の両親も、やっと許してくれたのだ。

許したといっても渋々という感じで、もちろん、まだダーリンのことを完璧に認めた訳ではなかったが。

市役所に着いた私達は、夜間受付の窓口を探した。

あたりはすっかり夜になっていた。
本当はもっと明るいうちに来る筈だった。
まさか入籍当日にあんなことになるとは。

それでも【明日にしよう】と言わなかったダーリン。

まだ正式に決定した訳ではないが、借金の方もなんとかめどが立った【この日】に、どうしても入籍したかったようだ。

夜間受付は、暗い中、そこだけボーッと浮かんでいるように見えた。
年配のオジチャンが、こぢんまりと座っている。

「こんばんは。どぉされました?」

『婚姻届を…。』

「あー、はぃはぃ。」

2人でせーのッ、と出した婚姻届をにこやかに受け取ると、ザッと目を通す。

『あの…これって、今日の日付で受け付けになるんですね?』

どうしても【この日】にしたかったのだろう。

ダーリンが確認する。

「はぃ、大丈夫ですよ。」

ホッとした顔のダーリン。

『じゃあ宜しくお願いします。ありがとうございました。』

「はぃ、ご苦労様。お幸せにね。」

『《はいっ!!》』

思いがけず掛けられた優しい言葉が、胸に染み込む。

やっと…

これでやっと正式に【奥さん】になれたんだ。

ダーリンが、何故か私のアパートに住みつくようになり、いつの間にか始まった同棲生活。

丸6年が経ち、7年目に突入していた。

長かった。

本当に長かった。

色んなことがあった。

これからも、もっと色んなことがあるだろう。

それでも、少し光が見えてきた…

そう思っていた。

これで本当に幸せになれる…

本当にそう思っていた。

そして。

ここから

私達の新しい【未来―アシタ―】が始まろうとしていたのだった。

きっと明るい未来が来る…

そう信じて疑わなかった。

この先どんなことがあろうと、必ず明るい明日に繋がっている、と。

              【終わり】