永冬生活…駆引 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
LDH系、特に三代目JSB、特に登坂広臣(臣ちゃ)好き♡♡♡
斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)

「なーんでぇーッ!?いいじゃんッ!!いいじゃん、別にぃッ!!」

すげーな、この女っ。

いや、感心している場合じゃない。

私はダーリンの携帯に手を伸ばした。
こうなったら、私が直接話しをしてやろうと思ったのだ。

しかしそれを遮る彼。

私に嫌な思いをさせたくなかったのか。

それともチトに嫌な思いをさせたくなかったのか。

何度も

『もぉしなくていいからっ。もぉしないからっ。』

と繰り返すと、半ば強引に電話を切った。

終わった…

これでやっと長かった闘いも終わった…

と…

そんなに上手く話しは終わる訳もなく。

結局、その後もまだまだ続いた。


そんなこんながあった末の、入籍当日の怪しげな服達の発見は、やっと落ち着きかけていた、私の心をかき乱すには充分すぎるほどで。

すぐに私の様子がおかしいのに気付いたダーリン。
(まぁ、気付かれるようにしていたのだが)

色々話しかけてくる。

自分の答えが定まらぬまま、後部座席から本を取り出した。

《これなに?》

『何って…本だろ。普通に読むじゃないか!!』

《そんなことは解ってるっ。これはなにっ!?》

ページのドッグイヤーの部分を指し示す。

『何って…温泉だろっ。』

一瞬、動揺したのを見逃さなかった。

《愛しの彼女とでも行くつもりだったんだっ!?》

やや…
いや、かなり嫌味な言い方をした私。

『んな訳ないだろっ!!お前と行こぉと思ってたんだってっ。』

《ふーん。聞いたことないけどっ。》

『…なっ…内緒にしておいて、驚かそぉと思ってたんだっ。』

《ふーん。つか、他の雑誌は家に持って帰る癖に、なんでこの手の雑誌だけ車にある訳っ!?》

『べ、別に意味なんてないっ!!』

まぁ良い。

これ以上話しても、水掛け論になるだけだ。

《じゃあさー。》

そう言うと、後部座席の下に隠しておいた、怪しげな服達を取り出した。

《これはなんなんだろねぇっ!?》

うっ、と絶句するダーリン。

しかし、少しでも隙を見せてはいけない、とでも思ったのか

『何ってっ。服じゃないかっ。』

すかさずそう答える。

《うーん、服だねぇっ。ご自分で買われたのかしらっ!?》

『じっ…も…貰ったんだっ!!』

今、明らかに最初【自分で買った】と言おうとしたよな。

《誰に貰ったのっ!?》

『だ…誰って…誰だっていいだろっ!!』

《良いわけない!だって、お礼言わなきゃいけないでしょぉっ!?》

『そんなもんっ、する必要ないっ!!』

そんな押し問答を暫しした後、彼は車を出発させた。

そのままそこで口論していても仕方ない、という判断…
というより、この焦れた状態から逃れたい、という心理が働いたのだろう。

帰りの道中。

私は、一切口をきかなかった。

ダーリンを見もしなかった。

そんな私に、必死に話し掛けるダーリン。

『チビは俺のカミサンになるんだろっ!?なーっ!!頼むから…頼むからどっしり構えててくれよっ!!こんなことで、いちいちおかしくなるなよっ!!』

ほー。

【こんなこと】だって?

申し訳ないが、私はその、くっだらない【こんなこと】が大事な訳で。

((こーのくそったれがぁっ#))

そう思いつつ、彼とは反対側を見ていた私の手を、いきなりガシッと掴んだダーリン。

《いーやーだ…いーたい…》

そう言っても離そうとしない。

《こぉーわーいぃ…こぉーわーいぃ…》

そう弱々しく言うと、自分の胸の前でギュッと腕を縮こまらせる。

『チ…チビっ!?おぃっ!!チビっ!?』

なんだか、えらく慌てた様子で、必死に話し掛ける。

『チビっ!?しっかりしろよっ!!チビっ!?』

どうやら彼は、私の気が触れたとでも思ったようで(苦笑;)。

((ちょぉど良いやっ。話すのもうっとぉしいし、このまま、オカシクなった振りしてやれっ。))

そう考えた私は、ますます怯えたように身を縮こまらせた。

ダーリンと決して目を合わさず、かといって、プイッとそっぽを向くでもなく、あくまでも流動的に、微妙に体をゆらゆらと揺らし、視点を定めないようにする。

私の頭の中は驚くほど冷静で、悪寒がするほど冷淡だった。

どうやったら、いまにも精神が途切れてしまいそうに見えるか…

どうやったら、より弱々しく見えるか…

そんな細かな計算を瞬時にしていた。

そんな私の策略に、あっさりと、なんの疑いもなく引っ掛かる彼。
(↑めだか馬鹿)

((あっほやん、この人っ。マジで慌ててるっ。うっけるーっ。))

そんな弱々しい小芝居をしながら、慌てふためく相手を冷静に観察していた。

女って…つくづく恐ろしい。
いや、私が、か;

しかし。

この時の私は、そうやって密かに無理難題を突きつけ、相手の反応を見ることしか考えられなかった。

特に復讐とかいうつもりではなく、本当に単純に【このまま行っちゃえっ】ということしか考えられない…

いや、というより、出来なかったと言うべきか。

現状、自分の置かれた立場で、無意識下でやってしまっていた、という感じといえばいいのか。

とはいえ。

彼は運転中。

あまりにも私を気にするので、今度は私が、事故らないかと心配で

《前…危ない…。》

思わずボソッと言うと、ハッとしたように少し運転に集中し始めた。

((落ち着いて、壊れた振りも出来やしない;))

どうにか自宅へ帰り着くと、ダーリンの必死の説得が始まった。
今度は何も邪魔するものがないので、凄まじい集中力で私に【追い込み】をかける。

アザが出来るか、と思うくらい、ガシッと私の両腕を掴み、必死で話しをする。