永冬生活…疑危 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
LDH系、特に三代目JSB、特に登坂広臣(臣ちゃ)好き♡♡♡
斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)

永冬生活…疑危

そして。
ダーリンも、私も、同じ考えにたどり着いた。

ボケだ。

もちろん、何も証拠がないので、トマルはもちろん、誰にも言えない。
一応、ボケ本人にも聞いてみたが、知らない、と。
そりゃ、たとえ自分が盗っていても、盗ったと言う訳もなく。

他には考えられなかったが、それこそ、証拠がない。

しかも、給料を貰ったのは前日。
もし、ボケの財布に大金が入っていたとしても、なんら不思議はない。

トマルに

《警察に届けた方が良くない?》

と言ってみたが、ガンッとして首を縦に振らない。

彼の場合、逆に自分がやばくなることでもあったか、過去に警察系で嫌な思いをしたのかもしれない。

結局。

その件はウヤムヤになってしまった。
そしてトマルも出勤しなくなり、そのまま辞めてしまった。

お金のトラブルといえば。
ダーリンと私も大変な目に遭っていた。

お父さんだ。

あれは夏前だったか…。
ある日、ダーリンと私は、急にお父さんに呼び出された。
何事か、と思いつつ、C店へ行く。

その日は休日だった。

昼中の、誰もいないガランとした店内で話しを聞くと、それは借金の申し込みだった。
どうしても困っているので、10万ほど貸してくれ、と言うのだ。

私達は悩んだ。
コッチもお金に余裕はない。

しかし、だ。

お父さんには、2人ともそれなりにお世話になっていた。
それにお父さんほどの顔の広い人が、私達なんかに借金を申し込むなんて、よほど困っているであろうことは想像に難くない。

悩んだ末、貸すことにした。

といっても、ダーリンは全く出せるお金がなかったので、私が全額出すことになったのだが、私も手持ちはわずかだった。

それで、思い切って大家さんに電話をしてみる。
事情があって給料が遅れているので、家賃を待ってくれないか、と。

「チビロンさんはいつも、きちんと家賃納めて貰ってるから良いですよ。」

優しく快諾してくださった。

しかも

「わざわざ連絡いただいて、すみません。」

なんて言葉まで。
有り難かった。
本当に。

次の給料で返してもらう約束をし、お父さんにお金を渡す。

ところが。

次の給料日になっても、お父さんは返してくれなかった。

後から思えば、他に貸してくれる人がいないから、私達なんかに頼んだ訳で。
返してくれなくて当たり前、といえば当たり前だった。

しかし、そんな悠長なことも言っていられない。
私も切羽詰まっていた。

そんな中。
会社の緊急会議があった。
オーナーがコチラに来ていて、呼び出しがかかったのだ。

議題はお父さんのことだった。

近頃、お父さんの素行が滅茶苦茶だ、と。
ついてはお父さんをクビにする、と言うのだ。

え。
く、クビっ!?

驚く皆を満足げに見渡しながら、オーナーは更に続ける。

どうやらお父さんは、会社のお金も、適当に誤魔化して使っていたようだ。
そして他にも、かなりの額の借金を、それも、アチコチにしているらしかった。

((もしかして…やばくね?))

お父さんからまだお金を返して貰ってない私達は、一瞬で固まった。

((どぉしょ…諦めるしかないのか…))

まだオーナーが何か喋っていたが、しばし身体機能は働かなかった。

「…から、言いなさい。」

あ。
何か重大なことを言っているぞ?

気持ちを戻し、話しを聞いてみる。

オーナーが言うには、お父さんの給料は差し押さえてある、と。
もしお父さんにお金を貸している人がいたら、優先的に返すと言っていた。

いつもは憎らしいオーナーの顔が、この時ばかりは天使のように見えた。

会議後、ダーリンがオーナーと話し、無事、全額戻ってきた。

その後。
お父さんは本当にクビになった。

それから間もなく。

まだ開店前。
C店に、常連さんが訪ねてきた。
その人は、いわゆる【その筋の人】で。

お父さんは、野球か何かの賭博に手を出していた。
いつか、元が取れる、とでも思ったのだろう。
借り入れては賭け、を繰り返し、気付けばかなりの額の借金になっていたらしい。

その借金を返済することなく、お父さんは既に雲隠れしていたようで、その人も必死で捜している様子だった。
居場所が解ったら、連絡してくれ、と言い残して帰った。

つくづく、返してもらえた私達はラッキーだったんだ、と思い知らされた。

そういえば。
お父さんには、別の件でも大変な目にあっていた。
大変、と言っても、直接お父さんに何かされた訳ではないが…。

ある日。

C店の人手が足りなく、かなり離れてはいたが、自力で来られるバイトの子をE店から借りたことがあった。

少し時間が空いた時。
その子が、おずおずと切り出した。

「あのー。」

《ん?》

「チビロンさんて…。」

と、言いかけて口ごもる。

《どーした?》

「…。チビロンさんて、お父さんと出来てたって本当なンですか?」

《へっ!?》

これまた、おったまげた。

《はッ!?そーんなこと、ある訳ないじゃんっ。》

「え。そーなんですかっ?」

(残念そうに聞こえたのは、気のせいか)

《誰がそんなこと言ってたのっ!?》

「…イチコ…さん。」

あ。

イチコさん。
B店でシャックリンと結託し、私を追い出しにかかった人だ。
この時、彼女は既に退職していたが…。

まったく。

とんでもない【種】をまき散らしていってくれたもんだ。