新しい住まいも仕事も見つからないから、まだ勤め先には辞表を出していません。
母のことは社員さんに伝えてあるので、いざとなったらすんなり終わるのだろうけど。
「いたいた!最近見かけんかったやん。どないしてたん?」
例の21歳の男の子です。
「いや、毎日来よるよ」
「俺が来る時間がだめなのかあ」
「私が早上がりだからかもね」
「クリスマスどうするん?」
「地味~に仕事」
「同じだ」
「だよねえ。お互い書き入れ時のシーズンやもん」
「でも、ま、いいか。メリクリは当日言えるし」
「あはは。確かに。言葉だけじゃなくプレゼントも拒まないけど?」
「そっか!」
「うそうそ。言葉がいちばんやて」
「ま、そう言わないで楽しみにしよって」
そのあと見切りの作業をしてると、60代の女性のお得意様が「今夜何食べたらいいかなあ」。
実は私は彼女が少し苦手。
押しが強くて、話し方が乱暴で、上から目線だから。
「美味しいもん作って食べさせてくださいね」
つい、お愛想。
「誰が食べさせるかいっ」
予想通りの返事で、「うわ…やっぱりこのひと苦手」と思いました。
でも、しばらくしたら戻ってきて「なんか書くもの持ってる?」と。
ポケットからペンと紙切れ出すと「これ、自宅の電話。来るときは電話してな。あんたのために張り切って飯作ったる!」。
パート仲間の元ヤン姉さん(私より年下ですが)には家の事情を話してあり「無理してそらが倒れたらあかんよ!」と。
「倒れたら来てくれる?」
「当たり前やんっ。夜中でも飛んでくわっ!」
辞めるつもりなんよ。
辞めるときはきっとお客さんにはさよなら言うこともない。
パート仲間にも直前までは言わない。
辞めたら、越してしまったら、まずここに私が来る機会はない。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
でもみんな、あんまり優しくしないで。
辞められなくなるから。