皮膚とビタミンCとグルタチオン:紫外線から皮膚を守るために | 青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

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表参道にある青山ヒフ科クリニック 院長 亀山孝一郎のブログです。

前回ビタミンCを摂取するだけでなく、ビタミンCを還元するグルタチオンをあるいは

グルタチオンが効果を発揮するSH基を持ったハイチオールを摂取すると

疲労回復効果、美肌効果が発揮されると説明しました。

皮膚は紫外線を直接浴びて活性酸素を生じる唯一の臓器で、

ビタミンCやグルタチオンの臓器内の濃度が人では一番高い臓器なのです。

物を考えたり、常に拍動している心筋よりもビタミンCやグルタチオンの濃度が高いということは

それだけ紫外線が皮膚に対して悪さをしているということになりますね。

紫外線は皮膚に活性酸素を生じて、コラ―ゲンやDNAを変性させて発がんや光老化を促進します。

 

真皮の繊維芽細胞はコラーゲンを作る細胞ですが、紫外線による活性酸素から皮膚を保護するために

紫外線を浴びるとNrf2という転写因子やサーチュイン(SIRT)という抗老化遺伝子を活性化します。

 

SIRTはSODやcatalaseなどの活性酸素を消去する酵素の活性を上げるたり、新鮮な

ミトコンドリアを増生します。

Nrf2はビタミンCを還元するグルタチオンの産生を増加させるだけでなく、

酸化したグルタチオンを還元するNADPHの産生を増加させます。

 

グルタチオンはビタミンC同様に活性酸素を消去します。

ビタミンCは人の体の中で合成できないのですが、グルタチオンは合成できるという点が特徴です。

紫外線を浴びた皮膚、表皮に存在する表皮角化細胞は繊維芽細胞同様にNrf2を活性化して

グルタチオンの合成を促進します。

グルタチオンの合成が一番増加するのが、基底層の少し上ありますいの部分です。

そして紫外線により遺伝子にダメージを受けた基底層の表皮角化細胞を除去して

発がんを防止するということが判明しました。

 

このように紫外線を浴びた皮膚では表皮角化細胞や繊維芽細胞がNrf2を活性化して

活性酸素を必死になって消去しています。

ここにビタミンCを投与したらどうなるのでしょうか?

上の図に示すように表皮角化細胞にビタミンCを投与するとNrf2の活性の度合いが飛躍的に増加します。

その結果グルタチオンの量も飛躍的に増加します。

相加したビタミンCやグルタチオンで紫外線により発生した活性酸素を強力に消去するのです。

紫外線から皮膚を守るためには紫外線散乱剤などが配合されたサンスクリーンを塗るという

行為以外に、皮膚のビタミンCやグルタチオンを増加させるととが大切になるのです。

 

ビタミンCやグルタチオンを内服する以外に、酸化しにくく皮膚に吸収されやすいビタミンCの誘導体を

皮膚に塗るということが大切になるのです。

グルタチオンは皮膚に外用しても皮膚にないりにくいといわれているので、

現時点では内服や注射が有効です。

体内でい合成できないビタミンCを皮膚に取り入れると、体内でビタミンCと同様の

作用を発揮するグルタチオンの合成が始まるというのは非常に面白いですね。