青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

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表参道にある青山ヒフ科クリニック 院長 亀山孝一郎のブログです。

前回まで美白の話をしました。

そこで競合的美白剤という話が出ました。

これがどのような美白剤か解説します。

上の図に示すようにメラニンはチロシンというアミノ酸にチロジナーゼという酵素が中心となって作用して産生されます。

チロシンは上の図に示すように6角形のフェノール環に水酸基が一つとほかの部分に炭素と水素が結合したアミノ酸です。

ハイドロキノンは水酸基が2個あり、チロシンに構造が似ており、チロシンの代わりにチロジナーゼの活性部位に結合して

メラニン産生を抑えてしまいます。

アルブチンもハイドロキノンの誘導体でハイドロキノンほどチロジナーゼへの結合能が強くなく穏やかにメラニン産生を抑える

ように工夫しております。

ポリフェノールも多数のフェノール環と水酸基をもち、競合性阻害剤としての働きを発揮します。

青山ヒフ科クリニックで使用していたグラブジリンという美白剤が同様の性質も持っていました。

グルタチオンはグリシン、システイン、グルタミン酸という3つのアミノ酸が結合したポリペプチドで

ほかの美白剤と異なり、チロシンとは構造が全く似ていません。

グルタチオンは上の図に赤い下線示したHS基(チオール基)をほかの物質に与えて還元作用と美白作用を発揮します。

メラニンを産生する経路はチロシンというアミノ酸からインドール5,6、キノンを作る酸化反応です。

ドーパからドパキノンへの変換ではドーパの水素イオンが1個失われてドパキノンになります。

この段階でグルタチオン、ビタミンCやNADPHやポリフェノールなどの抗酸化剤は

自らの水素イオンをドーパキノンに与えてこれをドーパに還元することでメラニン産生を抑制します。

ポリフェノールはチロシンに構造が似ており競合的阻害作用と

水素イオンを供与することで抗酸化剤としてのこうかを発揮します。

 

メラニン産生を抑制するということは、メラニンを吸収して抗酸化作用を発揮するメラニンを抑えるということになります。

ですから活性酸素を消去しないハイドロキノンを使用する際には、抗酸化作用を発揮する

美白剤を併用すべきです。

そうしないと、皮膚に紫外線による活性酸素が増加するけれども、

抗酸化作用を持つビタミンCやグルタチオンが少ないと光老化が促進して、シミ、シワ、タルミが若い時から出現する可能性が上がります。

少なくとも抗酸化剤を配合したサンスクリーンを使用するべきですね。

 

 

 

 

 

 

 

さてメラニンは紫外線吸収作用と活性酸素の消去作用を併せもち、皮膚のダメージを消去する素晴らしい性質を持っていますが、これを消去する美白治療は害にならないのでしょうか? 僕が米国立保健衛生研究所でやった研究結果をお示しします。上に示すように皮膚には大量のチロジナーゼが存在しますが大部分のチロジナーゼの活性部位は生体由来の抑制因子でおおわれて活性がなくなっています。ごく一部のチロジナーゼがメラニン産生をしています。大量のチロジナーゼの一部しか働いていないのであれば、紫外線に当たったり炎症が生じて大量の活性酸素が生じた場合にただちにメラニン産生をする余力が生じるわけです。

このような状態で従来からある競合型の美白剤を外用すると、美白剤はチロジナーゼの活性部位にチロシンの代わりに結合してメラニン産生を抑えます。チロジナーゼに結合しない美白剤は皮膚で何もしないということになります。競合型美白剤はチロシンに構造や性質が似ていて、チロシンと競い合うようにして活性部位に結合します。競合型の美白剤としてはチロシンに構造が似たハイドロキノンや油溶性甘草でグラブリジンがあります。グラブリジンが競合型美白剤であることは実験で僕が確かめました。(下図)

 

 

競合型の美白剤を使用している方が紫外線に当たると生体由来の抑制因子により休眠状態になっていたチロジナーゼの抑制因子が外れ、瞬時にメラニン産生が開始されるので問題はありません。しかしながら、メラニン産生が直ちに起こるのでせっかくの美白効果も失われてしまいます。

抗酸化作用を持つビタミンC、グルタチオン、ビタミンB3などを外用した場合抗酸化剤がチロジナーゼに接するだけで美白作用を発揮します。要はメラニン産生の中間物質に水素を供給できるような近い距離に抗酸化物質があればいいのです。さらにチロジナーゼや中間代謝物質から離れたところにある抗酸化剤は活性酸素に水素を供給してどんどんこれを消去します。

抗酸化剤を外用している方が紫外線を浴びると、休眠型のチロジナーゼは瞬時に活性化してメラニン産生を新たに開始します。皮膚全体やチロジナーゼの近くの抗酸化剤は活性酸素を消去するので、紫外線による活性酸素の量も少なくて済み、産生されるメラニンの量も少なくて済むようになります。抗酸化剤を使用したサンスクリーンを併用すれば完璧です。抗酸化剤を常に使用することは、メラニン産生を抑制するだけでなく、ミトコンドリアを活性化して代謝をあげて、活性酸素を消去するというアンチエイジングに最適の効果を皮膚にもたらします。できればビタミンC、ビタミンB群、グルタチオンは内服もするようにしましょう。肌の調子がよくなり、疲労感も低下します。

上左は治療前、中はビタミンABCの外用を行いイオン導入した直後、さらにグルタチオンを一緒に導入すると右のようにさらに明度指数が上がり、赤味が低下します。この場合皮膚にはビタミンABCやグルタチオンという抗酸化剤がたっぷりあります。そのため紫外線を少々浴びてもこれらの抗酸化剤が活性酸素を消去してしまい、メラニンが増加しにくい状態になります。

 

青山ヒフ科クリニックでビタミンCのイオン導入をしてハワイに旅行しても、例年のように日焼けしなかったという患者さんがいました。

これは皮膚に大量に存在する抗酸化剤がメラニンの産生を抑えたためです。

メラニンが少なければ、皮膚に大量の活性酸素が生じますが、有り余る抗酸化剤が活性酸素を消去するので大丈夫ということになります。

もうお分かりの用に抗酸化剤は飲むサンスクリーンでもあります。

飲むサンスクリーンを使用しつつ、塗るサンスクリーンも使用して、紫外線の下でも光老化を防ぎましょう。

前回皮膚の抗酸化能を継続的に維持するためにはビタミンC、グルタチオン、NADPHなどを

常に皮膚に供給することが必要であることを解説しました。

 

皮膚では代謝や紫外線照射に伴い、そしてメラニン産生に伴い常に活性酸素が生じています。上の図に示すように活性酸素はビタミンC(アスコルビン酸)、グルタチオン、ビタミンBが前駆体であるNADPHがチームを組んで活性酸素を消去しています。これらの抗酸化物質は次次と酸化されますが、フレッシュな還元型のグルタチオンやNADPHを産生するのがNrf2という転写因子です。Nrf2はサーチュインという若返り遺伝子や PGC-1αという転写補因子をも活性化してミトコンドリアの数を増加させて活性化を増加させるというミトコンドリアバイオジェネーシスを起こします。ミトコンドリアが活性化するとクエン酸回路を動かす各種の脱水素酵素がNADPHを産生します。ミトコンドリアにピルビン酸を供給する解糖系も活性化してNADPHを産生します。ミトコンドリアは代謝が上がると電子伝達系でより多くの活性酸素を産生すると同時に、活性酸素を消去するNADPHをも産生します。ミトコンドリアは活性酸素を産生する最大の臓器であると同時に、その消去器官でもあるのです。上の図では運動、ビタミンABC カフェイン、コーヒーエキスなどのポリフェノールやビタミンB3がNrf2を活性化しています。

皮膚が紫外線を浴びるとメラノサイトの周囲にある表皮角化細胞は様々な物質を産生してメラニン産生を上げて皮膚のダメージを減らそうとします。エンドセリン、幹細胞因子(ステムセルファクター)、αMSH(メラノサイト刺激ホルモン)などがそれにあたります。αMSHなどは精神的ストレスでも分泌が増加します。ストレスでくすみが出現するのはそのためです。

上の図に示すように紫外線に当たるとメラニン産生を増加させようとしてエンドセリンやαMSHが分泌されますが、これらの成分はNrf2を活性化して皮膚のグルタチオンやNADPHの合成を促進するだけでなく、ミトコンドリアを活性化して紫外線でダメージを受けた皮膚を一刻も早く回復させようとしているのです。そして紫外線のダメージを減らすため、ダメージを回復させるためにメラニンやグルタチオンなどの抗酸化剤がとても重要であることを示しています。

実際に表皮を形成する培養表皮角化細胞に紫外線を照射しないでビタミンCや植物性ポリフェノールであり抗酸化作用を持つルチンを添加しても、Nrf2の活性は上の図の左に示すようにほんのわずかしか増加しません。これに対してUVAやUVBを照射するとNrf2の活性は約2倍に増加します。紫外線を照射しビタミンCやルチンを照射するとNrf2の活性は3倍から4倍に増加します(上中央から右)。したがって抗酸化剤だけではNrf2の活性はあまり増加しないが、これに抗酸化剤という要素が加わることでNrf2が活性化して、抗酸化剤の活性が劇的に増加することがわかります。これは先月開設したように抗酸化剤がAMPKやビタミンCがoritein kinaseCwo介してNrf2をさらに活性化したためと考えられます。

 

 

一方真皮に存在する繊維芽細胞を培養して紫外線を照射した場合は抗酸化剤添加でNrf2の活性はやや増加します。これは表皮角化細胞と同じ反応です。繊維芽細胞に紫外線を照射して抗酸化剤を添加するとNrf2の活性は低下します。これは抗酸化剤が増加することで、Nrf2を直接活性化する酸化ストレスパワーが大きく低下したためと思われます。この低下しパワーのほうが、抗酸化剤がAMPK経由やPKC経由でNrf2を活性化するパワーよりはるかに大きいために繊維芽細胞と表皮角化細胞で異なる結果が生じたためと思われます。真皮は表皮よりはるかに弱い紫外線に暴露されること、繊維芽細胞は表皮角化細胞のように強い分化、増殖をしないために、細胞増殖のマーカーであるNrf2が活性化しないためと考えられます。ちなみに増殖の盛んな癌細胞は常にNrf2の活性がオンになっています。表皮角化細胞は強い紫外線にあたり、常に増殖と分化をしなければならないので、体内の細胞や真皮の繊維芽細胞より非常に強い増殖をすることが宿命図蹴られているために、Nrf2がいろいろな刺激でオンになりやすいとも解釈されます。

Nrf2が活性化すると活性酸素を消去するカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼの活性が増加しますが、もともと皮膚は非常に高いこれらの酵素の活性を持っています。Nrf2の活性化は前述したようにミトコンドリアの活性を上げて代謝を上げますが、上の図に示すように解糖系の酵素であるグルコース6リン酸脱水素酵素やミトコンドリアのクエン酸回路の酵素であるイソクエン酸脱水素酵素の活性も非常に高くなっており、Nrf2が引き起こすミトコンドリアバイオジェネーシスに対応したものになっています。これは紫外線によって常にダメージを受けた皮膚を表皮角化細胞や繊維芽細胞の増殖を盛んにして素早く回復させることに対応したものです。

このように皮膚にはメラニンと大量の抗酸化剤が存在しています。メラニンが紫外線を吸収して、吸収できなかった紫外線による皮膚の活性酸素によるダメージを抗酸化剤のメラニンの抗酸化作用で消去します。そして活性酸素を介さないダメージは表皮角化細胞や繊維芽細胞の増殖促進やDNA修復酵素などの活性増加で対応しているのです。

今まで解説した来たことを上の図にまとめます。

そしてNrf2が活性化して皮膚に増加するビタミンB3由来のNADPHやグルタチオンを使用してスキンケアをすると活性酸素の消去作用や代謝促進作用が増加して美しい肌と引き締まった毛穴の実現が期待できます。

上の図左は僕がビタミンCクリームを外用していた際のものです。顔が疲れて顔全体に元気がありません。ビタミンCとビタミンB3を含むビタミンB群を配合した毛穴レスローション使用10日後には顔が上がってきます(上図中央)。毛穴レスローションの成分をイオン導入と電子穿孔法で皮膚にたっぷり浸透させ、その後毛穴レスローションの外用を8日継続すると導入直後の状態を維持して、色が白くなり、毛穴がとじ、目じりのしわも低下しました。

こちらの方にはビタミンABCの外用とイオン導入を行いました。赤味が低下して眼の下の血管性のクマが軽減しています。グルタチオンを加えて外用とイオン導入を行いました。皮膚の透明感が一気に増加して毛穴が縮小しています。

こちらの方は酒さという赤ら顔の方です。ビタミンABCの外用とイオン導入をして赤味が低下して毛穴が縮小しました(上中)。さらにグルタチオンを加えてイオン導入と外用を行ったところ赤味が低下して肌の透明感が増加しています。

すなわちビタミンC単独ではなく、グルタチオンやビタミンB3を加えたスキンケアをすることが、美白、抗酸化能の維持、毛穴縮小、アンチエイジングの効果増強につながるのです。

 

次回に続きます