ビタミンAは皮脂分泌を抑えてニキビや毛穴の開きに効果を発揮します。
しかしながら効果が出るまでに肌の赤みやひりつきを生じることがよく見られます。
ビタミンAは脂肪酸であるパルミチン酸と結合したパルミチン酸レチノールという形で
表皮角化細胞内に保存されています。
パルミチン酸レチノールからパルミチン酸が遊離するとレチノールになります。
レチノールはレチノールデヒドロゲナーゼ(レチノール脱水素酵素)の働きで
レチナールを経てレチノイン酸になり細胞内の受容体に結合して皮脂分泌抑制やアンチエイジング効果を発揮します。
活性の大きさはレチノールに比してレチノイン酸のほうが約100倍強いといわれています。
しかしながら皮膚に対する刺激性も大きく増加してしまいます。
これを克服するために当初は薄い濃度のピュアレチノールを使用して少しずつ濃度を上げる方法が取られています。
レチノールの刺激性を回避しながら、速やかにアンチエイジングなどの効果を発揮するにはどうしたらいいのか?
ピュアレチノールよりさらに刺激性が少なく、表皮角化細胞内に保存されている安定した
パルミチン酸レチノールを使用することにしました。
パルミチン酸レチノールはピュアレチノールよりさらに効果が落ちるといわれています。
これを克服するために極めて高濃度のパルミチン酸レチノールを使用することにしました。
パルミチン酸レチノールはもともと表皮角化細胞内に大量に保存されているビタミンAです。
これを外用しても、皮膚に対しては極めて刺激性が少ないという特徴を持っています。
パルミチン酸レチノールが皮膚に浸透したのちに、レチノールデヒドロゲナーゼという酵素の作用でレチノイン酸に変換します。
ビタミンAであるレチノール以外にビタミンBであるナイアシンアミド、ビタミンC誘導体、
そしてグルタチオンを配合しました。
これらの物質はAMPKというリン酸化酵素を活性化します。
AMPKは脂肪酸合成の中心酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)を抑制して
皮脂合成を抑制して毛穴を閉じます。
AMPKはNAMPT(ニコチンアミドフォスフォリボシルトランスフェラーゼ)というNAD+合成の律速酵素を活性化して
NAD+(ナッドプラス)の産生を増加します。
NAD+は酸化還元反応の際の水素の供与体や授受体として補酵素としての働きを発揮します。
レチノールはレチノール脱水素酵素により水素を奪われる反応を2回繰り返してレチノイン酸になります。
この時NAD+はレチノールやレチナールから水素を受け取りNADHとなります。
NAD+はレチノール脱水素酵素の活性を増加させて、大量のレチノイン酸を産生させます。
すなわちレチノールとNAD+があるとレチノールは速やかにレチノイン酸に変換することが可能になるのです。
内服薬ではプロドラッグというものがあります。
プロドラッグは体内で代謝されて効果を発揮するように設計されています。
僕はレチノールを塗るプロドラッグと考え、皮膚に刺激のないパルミチン酸レチノールで皮膚を通過させてから
NAD+の力でレチノール脱水素酵素を活性化して、より大量のレチノイン酸を生じるようにしました。
NAD+はレチノールから水素を受け取るとNADHになります。
NADHはミトコンドリアの電子伝達系に電子を与えてミトコンドリアを活性化してアンチエイジング作用を発揮します。
ミトコンドリア内のTCA回路の目的はNADHを産生して電子伝達系に水素イオンを放出して
ATP産生を増加させることですが、NAD+,NADHはミトコンドリアの円滑な働きを増加させます。
NADPにリン酸が結合したNADPHは酸化したグルタチオンを還元します。
還元したグルタチオン はビタミンCを還元します。
上の図に示すようにビタミンC,グルタチオン、そしてビタミンB3はチームを作って
活性酸素を消去しているのです。
ビタミンABCとグルタチオンを一緒に配合するとレチノールからNAD+を介して水素が供給されNADHになります。
NADHにNADHキナーゼが作用するとNADPHになり上の図の活性酸素の消去系に参加します。
供給された水素は、主としてミトコンドリア内で生じる大量の活性酸素を消去するために使用されます。
その結果肌の赤みは速やかに減少、もしくは消失することが可能になるのです。
上の図に示すようにABC-G レチノールセラムあるいはレチノールとビタミンC,B群、グルタチオン
を配合した毛穴レス美白ローションを共に外用すると
肌の刺激が全く生じることなしに、赤みが低下して、頬や鼻の毛穴が縮小することが可能になるのです。
上の方は全く内服をしていません。
速やかに毛穴が縮小したのは、
AMPKによるアセチルCoAカルボキシラーゼ抑制を介しての皮脂合成抑制と
レチノイン酸による脂肪酸の合成抑制
という全く異なる2つの機序の相加作用によるものです。
NAD+の細胞内や血液中の低下が加齢に伴い生じることが報告されています。
NAD+を増加させるビタミンB3(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)はアンチエイジング作用を発揮することが
ヒトやマウスで報告されています。
ABC-G を外用することで、AMPKとSIRT1(サーチュイン)が活性化 して
ミトコンドリアの活性かと数の増加が起こり強力なアンチエイジング作用も発揮されます。
活性化したサーチュインはLKB1という酵素でAMPKを活性化します。
ドクターケイのABC-Gあるいは青山ヒフ科クリニックのレチノールセラムと毛穴レス美白ローション
を外用すると、引き締まった毛穴とアンチエイジングが極めて高いレベルで発揮されます。
ぜひお試しください。
ミトコンドリア内で生じる活性酸素を効率よく消去するために肌の赤みも著明に低下しています。