人の体内で活性酸素を消去する抗酸化剤の代表がビタミンCです。
ミトコンドリアという細胞の発電機で取り込んだ酸素の2から3%が活性酸素になってしまうとされています。
人の体内や皮膚では常に活性酸素が生じています。
活性酸素はシグナル伝達に必要で、生理的な量であれば筋力増強、ミトコンドリア活性化など
いい作用を持つことも判明しましたが、過剰な活性酸素はコラーゲン、エラスチン、表皮細胞などに
ダメージを与え、老化あるいは光老化を促進するだけでなく、発癌や心筋梗塞、
そしてニキビ、赤ら顔、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を助長させます。
活性酸素が生じているニキビやアトピー性皮膚炎の病巣では好中球などの炎症性細胞が
活性酸素をどんどん放出して炎症を起こしています。
戸外で活動する人の皮膚に紫外線が当たっても大量の活性酸素が皮膚で生じています。
過剰な活性酸素から逃れ、生き延びるために人の体の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
上はニキビの炎症部位です。
右は好中球を主体とした炎症性細胞が血管から飛び出して活性酸素を放出しています。
左は拡大し、破裂した毛穴からアクネ菌が真皮に飛びだして、表皮直下から真皮に
大量の炎症性細胞があります。
ニキビの部分の皮膚は活性酸素の攻撃に持ちこたえて、皮膚という構造を維持しています。
どのようにして表皮角化細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞は活性酸素から身を守っているのでしょうか?
上の図に示すようにスーパーオキシドという最初に生じる活性酸素はSODという酵素により過酸化水素に
分解されます。過酸化水素はカタラーゼなどの酵素やビタミンCにより還元されます。
その結果ビタミンCは酸化して酸化型ビタミンCとなります。
この状態は細胞外でも細胞内でも起こります。
細胞は酸化したビタミンCを細胞にとりこんで、グルタチオンの作用をうけて
還元型のビタミンCとして、再び活性酸素の消去に利用します。
細胞を用いた実験ではビタミンCの量の10倍のグルタチオンが細胞内には必要とされています。
常に皮膚や体内で生じる活性酸素を消去するのになぜたった100㎎のビタミンCで大丈夫なのか
それはグルタチオンを利用したビタミンCの再利用システムがあるからなのです。
上の図に示すように細胞外の好中球などの炎症性細胞が放出した活性酸素をビタミンCは消去します。
その結果、 酸化型のビタミンCが生じますが、これは表皮角化細胞などにとりこまれて
細胞内のグルタチオンの助けをかりて還元型のビタミンCに戻ります。
この新鮮なビタミンCは細胞内の活性酸素や、細胞外に放出されて細胞外の活性酸素を消去するのです。
体内で合成できないビタミンCと違って、ヒトのほぼすべての細胞は
グルタミン酸 システイン グリシンという3つのアミノ酸からグルタチオンを細胞内で合成することが可能です。
グルタチオンやシステインを含むハイチオールの内服やこれらのアミノ酸を多く含む鮭や大豆、
などを多くとるようにしましょう。
しわたるみ、シミ、くすみ、ニキビ、赤ら顔のない皮膚を実現できるチャンスが大きくなります。
グルタチオンは、ビタミンCのリサイクルシステムに欠かせないものです。
ビタミンCもグルタチオンも血液中、組織中より細胞内に多く存在し、約100倍から1000倍の濃度
で存在します。
活性酸素が多く生じるミトコンドリアでは細胞内のさらに10倍ほど濃度があがるといわれています。
ミトコンドリアの中でもビタミンCとグルタチオンは協力してミトコンドリアにダメージが生じるのを
防いでいるのです。
組織、細胞、ミトコンドリアを生き生きと保つためにビタミンCそしてグルタチオンを摂取しましょう。