世間がざわついていても、たけのこは生えてくる。ありがたい。
今年はたけのこがお安いですね!お安い理由が飲食店からの仕入れが減っているからだと考えると微妙ですが、この機会にたけのこを茹でまくりたいと思います。

さて、去年くらいに聞いてからやってみようと思ってましたが、今年は重曹でアク抜きをしていきたいと思います。
たけのこを下ゆでするときに米ぬかと唐辛子を入れている方も多いと思いますが、実はこの米ぬかと唐辛子はたけのこのアク抜きにはさほど効果がないそうで。
一方いやいや効果はある、こっちの方がおいしいとおっしゃる方もいらっしゃいますので、好きなやり方でやればいいでしょうと思いますが、私としては「米ぬかを使わないから吹きこぼれにくい」「新しい方法でやってみたい」という観点から、今年は重曹茹でをやっていきたいと思います。
ぬかを使うと吹きこぼれやすくなるからという理由で使用していたポリ袋も今回は不要、普通に鍋で茹でます。

たけのこのアクのメインの正体はシュウ酸とホモゲンチジン酸です。
ホモゲンチジン酸というのは茹でたけのこにできる白い塊ことチロシンが酸化したものだそうです。
収穫してすぐはこれがまだできていないのでアクもありませんが、時間が立つほど酸化が進み、えぐみも増していきます。
収穫後は早く茹でるほど酸化をさせずにすみますが、じゃあできてしまったアクはどうすればいいのかといえば、分解してしまえばいいのです。

弱アルカリ性のたっぷりの湯でたけのこを茹でることで、たけのこの中のホモゲンチジン酸が分解し、水中に溶出します。
シュウ酸はそもそも水溶性なので、一緒に溶出していると思います。
茹で上がったら洗い流してしまえばOKっていう理屈ですね。

ということで、重曹水溶液を作って、たけのこを茹でていきます。
まず5%の重曹水、つまり1リットルあたり小さじ1(5ml)の重曹を加えた水を作ってよく混ぜておきます。

大きいたけのこの場合、皮を適当に剥いて、固いところと柔らかめのところに分けます。でかくて鍋に入らない場合、切り分けてしまってもまったく問題ありません。アク抜きには皮は関係ないですが、たけのこの風味には関係あるらしいので、剥いてしまいますが一緒に茹でます。
鍋にたけのこと重曹水を入れ、切った皮をのせて落としぶたがわりにします。

重曹を水に溶かした状態のpH値は普通の水道水と変わりませんが、水に溶かして加熱することで水と二酸化炭素と炭酸ナトリウムに分解。鍋の中身はアルカリ寄りの炭酸ナトリウム溶液になります。
最終的にはpH9くらいの弱アルカリ性となりました。

柔らかいパーツは30分〜40分くらい、固いパーツは60分くらい茹でたら、茹で汁につけたまま冷まします。

その後よく洗い流して、2〜3日中に使いきれる分はポリ袋に入れて、水道水を充填して冷蔵庫に入れておきます。水は毎日交換します。

長期保存

さて、ここから先はたけのこを長期保存する人向け。瓶詰めとかナイロンポリ袋で作る真空パックとかですね。

昨年と同じで目新しいことは特にありませんが、普通に鍋で下ゆでした後の筍をパック詰め。
pH3くらいに調整した乳酸水溶液を充填して真空パックを作り、袋ごと加熱殺菌してから完成としました。食感が茹で過ぎになりそうなので、63℃/30分の低温加熱にしました。

わざわざ保存液もpH調整する理由は、たけのこ水煮を保存すると必ずできるチロシンの白いかたまりがイヤだからです。乳酸で調整するのが一番風味に影響が出ないとの研究結果を信じて、乳酸を使用しています。
pHを酸性寄りに調整することで、熱に強い芽胞が厄介なボツリヌス菌対策にもなります。

JPH11313632A - 筍水煮製品及びその製造方法 - Google Patents

先日、去年作って冷蔵庫で1年保存したたけのこパックを食べてみましたが、白いかたまりはできていなかったし、特に問題なく食べられました。
味や香りは新鮮なものに比べて当然落ちますが、慌てて使い切らないでいいのはありがたいですね。
ただし、中にはガスが出て袋が膨らんでいたものもあったので、発生した場合はただちに廃棄しています。食べる時も味や匂いに変化がないか十分確認しています。

追記:重曹であく抜きしたたけのこは、その後真空保存して長持ちしませんでした。十分にアルカリを中和しておくなどしないとフニャフニャになってしまうようです。まだまだ研究が必要です。

低温調理器でたけのこのアク抜き+pH調整して長期保存

たくさんできたので、実家等にも水煮を発送しました。