秋キャンプに行くつもりが、すっかりもう冬じゃないですか。

寒いから煮込みとか温かいものを食べたいので、卓上で小鍋を火にかけたりとかしたいなあと思っています。
そこで問題になるのが、火にかけっぱなしだと鍋が焦げてしまうんじゃないかということと、どの程度の時間温め続けることができるのかということです。

もちろんシングルバーナーとかを使えば火力の調整はできますが、卓上でダラダラ温めたいような用途だと、ちょっともったいないですよね。炭なら長持ちするけど火力の調整が難しい。
野外でのシチューやおでん、スープ、燗酒など。小鍋程度の料理を「加熱調理」ではなく「保温」をしたい、そんな時。沸騰まで行かない60〜70℃くらいの温度で、あたたかい状態を長時間キープすることはできるのでしょうか?

固形燃料

まずは固形燃料。
百均でも売ってるごくごく一般的な水色の固形燃料(30g)を使用します。

主成分はメタノール(メチルアルコール)、燃料用に使われる工業用アルコールです。
メタノールは引火点が低く、容易に火がつきます。なんと言っても使いたい時にすぐ使えるのが固形燃料の魅力。
消防法による区分は「危険物第2類 引火性固体(火炎により着火しやすい固体又は比較的低温(40℃未満)で引火し易い固体)」となっております。

燃やしてみた

ステンレスカップに入れた250mlの水を温めます。
点火後5分で水が70℃に到達。
その後も湯温は上がり続け、13分後には90℃に達し、30分後に消えました。

すぐに点火できてそこそこの火力で30分近く使えるということで、炊飯や調理にはもってこいです。フォールディングストーブのゴトクの安定感もあって、便利に使えると思います。
しかしまあ、保温目的にはちょっと火力が強すぎますね。

調整してみた

固形燃料に、丸く穴を開けたアルミカップをかぶせてみました。
燃焼する範囲を絞れば、細く長く燃やすことができるってわけですね。

今度は湯温70℃弱に到達するまで20分くらいかかりました。火勢はだいぶ弱まっています。
そこから1時間近く水温をキープできました。合計すると1時間以上、適度な火力を維持できるということになります。
野外では気温や風の影響を受けると思うので、その場合は穴をもう少し大きく開けて燃焼範囲をもっと広げてもいいかもしれません。

簡単でいいのですが、かぶせたアルミカップと燃料の間に隙間が開いてくると、アルミホイルが熱で押されてポッポッと音を発するようになるのが微妙です。包み込んでしまうより、板状に広げて上に乗せるだけの方がいいかもと思ったけど、変わらず…。

今回30gの固形燃料で実験しましたが、そのあと大きめの40gの固形燃料で再測定したところ、なんと弱火で2時間燃焼しました。

 

 

液体燃料

主にチェーフィング用の燃料として販売されているものです。
チェーフィング(chafing)とは、ビュッフェなどでお皿を保温するような器具周りのことで、使用する燃料はそのまんま「料理保温燃料」として販売されています。

こちらは主原料がジエチレングリコールで、引火点が140℃以上なので、こぼしても直接火を近づけてもほぼ引火しません。
そのためガラス繊維の灯芯を燃やすランプ状のものや、ロックウールに染み込ませた燃料を燃焼させるような専用の器具を使用する必要があります。
揮発性なし、匂いもなし。
消防法による区分は「危険物第4類 第3石油類(引火性を有する液体)」となります。

ただしジエチレングリコールは毒性がある劇物なので、取り扱いには注意…なんですけどまあどの燃料も取扱いは注意だし、どれも誤飲はヤバいので、これだけが特別に危ないということもない気もしますね。
舐めちゃダメですけど皮膚吸収はないので、うっかりこぼして触っても大丈夫だし、引火しにくいのが安全でいいと思います。

ポリカーボネート製の専用ランプが軽くていいなということで、一台購入してみました。
上限まで燃料を入れた時の燃焼時間は2時間。
保温用と言うだけあって、上に鍋などを載せると70℃程度の温度をキープしてくれますし、水を沸かすことも十分にできます。ステンレスカップに入れた250mlの水が10分程度で沸騰しました。思ったより火力は強かったです。ただ火は細いので、小さいカップの底にピンポイントで当てるような使い方でなければ、弱火として調整して使えます。

ジエチレングリコールはアルコール燃料と違って揮発しないので、夜使ったあと消火して、翌朝、残りでコーヒーを保温するみたいな使い方もできますね。

ちょっとぬるっとする液体です。ジエチレングリコールは微量なら自然界で容易に生分解するそうなので、手についたら水で洗い流しましょう。小分けする場合はジエチレングリコールに耐薬品性があるPE・PP等の容器をチョイスしましょう(PETはダメです)。

 

 

ポリカーボネート製でとっても軽い。芯は固定で付け替え用は売っていないようです。すぐ壊れるようなものでもありませんが、ダメになったら使い捨てですね。ガラス製のものなら芯が繰り出し式で、付け替えできます。

 

 

6時間燃焼できる缶タイプ。開けたらすぐ燃やせて、閉めれば消えるしまた使えるし、便利でいいと思います。

 

 

その他、販売されているジエチレングリコールが主成分の商品はこんなかんじ。
ヒートシェフ、イージーヒート、暖暖、ウィックヒート、クリスタルファイヤー等々

けっこういろいろあるんですねえ。専門性が高いからか実際に売られているのを見たことはありませんが…

結論

野外での料理の保温だったり、チーズフォンデュやアヒージョなど、一定の温度を長い時間保持したい場合は、お手軽なところでは固形燃料の火力を調整しつつ使うというのが最適なのではないでしょうか。
アルミホイルやアルミカップなど、手軽な材料を利用してできますし、さらにフォールディングストーブのような風防がしっかりしたゴトクを使うことで、火力の安定感や使いやすさも倍増。

私の場合は液体燃料が意外と良かったので、気に入っちゃいました。
アルコールランプと同じように使えますが、燃料が揮発しないから鎮火後また使えるのがすごくいいですね〜

調理してみた

LODGEボウルパンで牡蠣の昆布焼きをやってみました。
本当はフォールディングストーブで使いたかったのですが、高さがちょっとギリギリなのと、ランプを風防で覆うと熱が籠るのでよくないと説明書に書いてあったので、かわりにコーヒー用のドリップスタンド(百均)を使用。

火が強すぎないからじっくり焼けるし、加熱後はすぐ焦げたりしないので慌てて食べなくていいんです。おつまみみたいな、こういうちょっと温めたいけどガスコンロを出すほどじゃない…みたいな用途に使うのはアリだな!と思いました。
我が家ではキャンプだけでなくて、日常用として採用することにします。

次はフォールディングストーブと固形燃料でおかずを温めてみました。
上にBE-PAL付録のミニ鉄板を乗せ、その上に舟経木に盛ったおかずを。
焦げるかなーと思いましたが、意外と焦げず(少し焦げてますけど許容範囲)。ついでにチーズも乗せてみましたが、こちらも焦げず。

使い終わってしばらく置いていても、やっぱり焦げず。鉄板+舟経木はわりといい使い方かもしれませんね。

主題から外れますが、まな板にしたりお皿に使ったりと、キャンプで経木製品をわりと使います。この程度の火力で加熱できるならちょっとした鍋としても使えるなーと。
経木の何がいいって、最終的に焚き火で燃やせるとこなんですよね〜。
キャンプの洗い物は少ないほど良い!チーズがこびりついた鉄鍋を冷たい水で洗うとか、考えただけでも最悪ですからね〜

今回使用したミニ鉄板は、雑誌BE-PALの付録品で大人気完売だったもの。
今度復刻するらしいですよ。なんと同じく大人気だったミニストーブとミニ鉄板のセットで!欲しい方は早めに予約を〜!ちなみに私はミニ鉄板ふたつゲット済みですよ…!

 

 

さてここからは愚痴です。
キャンプの何が嫌いって、キャンプ場の炊事場の流しに詰まった残飯ね。
アレを見るたびに、炊事場で洗うものを極力無くしたい、できれば二度と見たくないって思っちゃうわけですよ。
だからキャンプの本流ではないとは思いつつポリ袋で米を炊いたりしてるし、汚れ物は最初から極力出さない。

あれを日々片付けてる人には本当に頭が下がるし、キャンプ雑誌やWEBマガジンはこのキャンプブームの機会に、もっとあとかたづけ特集を組むべきでは?って思ってます。

かつて日本でも洗い物をする水を節約するために、食後の茶碗にはお茶を注いで飲み、最後は漬物で拭って食べるような文化があったはず。今ならもっといろんな工夫ができると思うんですよねえ。
映えるキャンプ料理は楽しいですが、きれいに食べきること、きちんと処分することもキャンプのうちだと考える次第ですよ!以上です!