ダウン症児の中等度難聴とは|聴力検査方法と言葉の発達への影響 | Aonote-アオノート-|ダウン症・PVL・超低体重児Aoの成長記録

Aonote-アオノート-|ダウン症・PVL・超低体重児Aoの成長記録

ダウン症・PVL・超低体重児として生まれたAoの成長記。日々の喜びや工夫、支援制度の活用など。誰かの勇気になれますように…。

👂 ダウン症児の「中等度難聴」 検査方法と、言葉の発達への影響

こんにちは、Aoパパです👋

NICU入院中、息子のAoは聴力検査で「片方の耳は聞こえづらい」と言われていました。

当時の私は「片耳だけでも聞こえていればいいか」と、その言葉の本当の重みを理解していませんでした。

「60デシベルは聞こえる」という肝心な部分を聞き流し、「片耳だけ」という言葉だけを信じていたのです。

先日の耳鼻科外来で、その楽観視が打ち砕かれるまでは…😢

 

前回のお話⤵️

私たちのこと⤵️

ダウン症とは⤵️

 

🔹 「片耳だけなら大丈夫」そう信じていた私

📌 NICU入院中の聴力検査

Aoは超低出生体重児として生まれ、7ヶ月間NICUに入院していました。

その間、新生児聴覚スクリーニング検査を受け、精密検査も行いました。

その時、医師から言われたのは「片方の耳は聞こえづらいと思います」という言葉でした。

私は、その言葉を都合よく解釈していました。

「片耳が聞こえるなら大丈夫だよね」

「両耳とも聞こえないわけじゃないし」

…そう思っていたのです💦

 

📌 聞き流してしまった「数値」

医師は確かに説明してくれていました。

「〇〇デシベルは聞こえています」

「〇〇ヘルツの音には反応があります」と。

でも、その時の私は具体的な数値の意味を理解していませんでした

いくつの数値がどれくらいの難聴なのか、どのくらい生活に影響するのか…。

「片方が聞こえづらい」という言葉だけを覚えていて、肝心な情報を聞き流してしまっていたのです。

🔹 赤ちゃんってどうやって聴力を調べるの?

📌 大人とは違う検査方法

まず、大人のように「聞こえたらボタンを押す」ができない赤ちゃんの聴力検査について、簡単に解説します。

 

📌 新生児聴覚スクリーニング検査(NICU・産院で実施)

🏥 スクリーニング検査の種類

  • 自動ABR(自動聴性脳幹反応):赤ちゃんが寝ている間にささやき声程度の音をイヤホンから聞かせて、内耳から脳幹までの反応を頭皮の電極で検出します
  • OAE(耳音響放射):音に反応して内耳から返ってきた反響音を検査します。比較的安価で検査時間も短いですが、耳垢や羊水の影響を受けやすい

どちらも痛みなどなく、検査による赤ちゃんへの負担は全くありません。

結果は「パス(pass)」または「リファー(refer:要再検査)」と表示されます。

📌 精密聴力検査(耳鼻科で実施)

スクリーニングで「リファー」となった場合や、より詳しく調べる必要がある場合は、耳鼻科で精密検査を行います。

🔬 精密検査の種類

  • ABR(聴性脳幹反応):睡眠導入剤を使って眠っている間に、ヘッドホンから音を聞かせて脳波の反応を詳しく調べます
  • ASSR(聴性定常反応):会話に必要な周波数(500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hz)について詳細に検査できます
  • BOA(聴性行動反応検査):外来の診察室で、赤ちゃんの横から音を鳴らし、「振り向くか」「驚くか」といった反応を見て判断します

🔹 絶句…「中等度難聴」という現実

📌 耳鼻科外来で告げられた衝撃

Aoの耳鼻科外来。

先生から告げられたのは、衝撃的な事実でした。

「60〜70デシベル(dB)より大きい音は聞こえます。左耳の方がより聞こえづらいですね」

その場で慌ててスマホで検索しました。

【60〜70dB = 中等度難聴】

そこに書かれていたのは「日常の会話が聞こえづらい」「補聴器の適応も」という文字😱

 

📌 「え、両耳とも?」

私は混乱しました。

「片耳だけ」じゃなかったの?

先生の説明では、差はあるものの両耳とも中等度難聴

そして「将来的には補聴器を付ける可能性もあります」とまで言われました。

それがすごくショックで…。

Aoママは既に理解していたようで、特にうろたえる様子はありません。

私だけが、バレないようにひっそりと、その重すぎる事実に打ちのめされていました💔

🔹 解説:「難聴の程度」と「聞こえ方」の目安

📌 dB(デシベル)って何?

先生が言っていた「dB(デシベル)」とは、音の大きさのこと。

この数値で難聴の程度が分かれます。

 

📌 難聴の程度分類

📊 難聴の程度(日本聴覚医学会による分類)

  • 正常(25dB未満):聴覚に問題なし
  • 軽度難聴(25~40dB未満):小さな声や騒音下での会話が聞き取りにくい。ささやき声が聞こえない
  • 中等度難聴(40~70dB未満):普通の大きさの会話が聞き取りにくい。補聴器の適応 ← Aoはここ
  • 高度難聴(70~90dB未満):非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない
  • 重度難聴(90dB以上):補聴器でも聞き取れないことが多い。人工内耳の適応

📌 Aoの「60〜70dB」は、どのくらい聞こえにくいのか

Aoの「60〜70dB」は、中等度難聴の中でも重めです。

💡 音の大きさの目安

  • ささやき声:30dB
  • 小さな声:40dB
  • 普通の会話:60dB
  • 大きな声:70dB
  • 電車の中:80dB

つまりAoは、「耳元で大きめの声で話さないと、何を言っているか分かりにくい」レベルです。想像していたより、ずっと重かったのです😢

🔹 なぜAoに?考えられる2つの大きな理由

📌 理由①:早産児(超低出生体重児)であること

Aoは在胎26週、432gで生まれた超低出生体重児です。

早産児は体が未熟なまま生まれるため、音を感じる神経(内耳の蝸牛や聴神経)が発達途中でダメージを受けやすいとされています。

また、NICUでの治療(特定の薬剤や長期間の人工呼吸器管理など)が、聴力に影響を及ぼす可能性もゼロではありません💦

 

📌 理由②:ダウン症であること

Aoはダウン症です。

以前の記事でも書きましたが、ダウン症児は耳のトラブルが非常に多いのです。

体の構造的な特徴から、耳管が短く太く水平なため、「滲出性中耳炎」(鼓膜の奥に水が溜まる)を非常に起こしやすく、それが「聞こえにくさ(伝音難聴)」に直結します。

さらに、生まれつき音を感じる神経に障がいがある「感音難聴」を合併するリスクも高いとされています😢

 

🔹 神はいくつの壁を与えるのか…「言葉の発達」への影響

📌 難聴は「聞こえにくい」だけじゃない

難聴の問題は、ただ「聞こえにくい」だけではありません。

「音(言葉)が正しくインプットされない」ということは、「言葉の発達(アウトプット)に大きな影響が出る」ということです。

言葉を覚えるには、まず「聞く」ことが必要です。

周りの人が話す言葉を何度も何度も聞いて、それを真似して発音する。

この繰り返しで言葉を獲得していきます。

しかし、聞こえが悪いと、この「インプット」が不完全になってしまいます😭

 

📌 積み重なる壁

Aoには、すでに多くの課題があります。

ダウン症、PVL(脳室周囲白質軟化症)、慢性肺疾患…。

そして今回、中等度難聴という新たな壁が立ちはだかりました。

神は一体、いくつの壁を私たち家族に与えるのか。

夫婦共々、ただ打ちひしがれています💔

 

📌 障害者手帳の対象にならない「中等度」

さらに悔しいのは、中等度難聴は基本的に障害者手帳の対象にならないということです。

障害者手帳の聴覚障害の認定基準は、両耳の聴力レベルが70dB以上(高度難聴以上)。

Aoの60〜70dBは、その一歩手前です。

そのため、公的な助成もほとんど受けられません。

(補聴器購入時の補助はありがたいですが…)

⚠️ 今後の経過について
先生からは、今後の聴力について「良くなるとも悪くなるとも言えない」と言われました。

聞こえが良くなる可能性もありますが、進行性の難聴の場合は徐々に悪化することもあるそうです。

定期的な検査で経過を見ていく必要があります。

🔹 それでも、できることを

📌 定期的な聴力検査

今後は、定期的に聴力検査を受けて、経過を見ていくことになります。

滲出性中耳炎があれば治療し、補聴器が必要になれば早めに装用する。

そうすることで、言葉の発達への影響を最小限に抑えることができると信じ、動くしかありません。

 

📌 補聴器という選択肢

「将来的には補聴器を」と言われて、正直ショックでした。でも、補聴器は聞こえを補助してくれる大切なツールです。

嫌がらずに、Aoのために最善の選択をしていきたいと思います。

 

💡 言葉の発達を促すために

  • 大きめの声で、はっきりと話しかける
  • 口の動きが見えるように、顔を見て話す
  • 身振り手振りを交えてコミュニケーションを取る
  • 補聴器が必要になったら、早めに装用する
  • 言語聴覚士などの専門家と連携する

💙 特にオチはない、ただのショックの記録

この記事に、希望に満ちた締めくくりはありません。
ただ、私たちが受けたショックと、これから向き合わなければならない現実を記録しました。
同じように難聴の告知を受けた親御さん、あなたは一人じゃありません。
一緒に、できることを探していきましょう✨

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🙏

※本記事は個人の体験に基づくものです。難聴の程度や治療方針は個人によって異なります。詳しくは耳鼻咽喉科の専門医にご相談ください。