砂紋バスター製作手順  | A Headbanger's Fishing Life

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シロギスの投げ釣り用天秤オモリ、「砂紋バスター」の製作法を紹介しようと思います。
 
「砂紋バスター」とは、投げ釣り北近畿の佐織さんが考案された、浮力入りの天秤オモリです。
 
水中で完全に立つことを特徴とし、
・サビキの軽量化
・浮き上がり性の向上
・感度の向上
などの利点があります。
 
私も今シーズンこのオモリを紹介して頂き、自作して使用し始めました。
キスのアタリをダイレクトに感じられるこの天秤オモリのおかげでキス釣りが更に楽しくなりましたし、釣果も伸び、手放せないものになりました。
 
上記の投げ北のURLを参考にさせて頂きました。作り方の手順や砂紋バスターの効果が詳しく書いてあります。
 
ここでは、私なりの製作法を紹介させて頂きます。
工具代もほとんどかからず、非常に簡単に製作できますので、是非製作されてみてください。
 


 
I.環の作成
 
まず、天秤作りに不可欠な「環」の製作方法を紹介します。
使う道具はラジオペンチとペンチだけで、特別な専用器具などは必要としません。
 
 
1.ラジオペンチでステンレス線の先を「コ」の字にする。
イメージ 13mm、5mm前後で曲げます。
 
 
2.ペンチでコの字を押しつぶす。
イメージ 2矢印の方向に力を掛けると環になります。
力の入れ加減などは、実際にやるうちに分かってくると思います。
「コ」の字が大きすぎると綺麗な環にならず「◇」になることがあります。
 
イメージ 13このようになります。
環のギャップをなくすために垂直方向以外にも力をかけることがあります。(文字で書くのは難しい…)
 
3.首の角度を調整。
 
イメージ 19これで完成!
 
私はハンダ付けはしません。しなくても不具合があったことはありません。
ハンダ付けをする場合はステンレス用のハンダとフラックスが要ると思います。(希硫酸で酸化被膜を除去することでフラックスと同等の作用が得られるかもせれませんが…)
 
参考URL
「投げはともあれ」大野等さんの記事
 


 
II.砂紋バスター錘部分の作成。
 
いよいよ砂紋バスターの製作です。砂紋バスターは錘部分と天秤部分が分離したタイプの天秤オモリです。
まずは錘部分を作ります。
 
イメージ 20今回はフジの「海藻天秤25号」をベースに製作します。
ジェット天秤等でも製作可能です。(浮き上がりがさらに早いものが出来ます。)
 
イメージ 21その他の材料と工具。
 
・ウキ製作用の発泡材(直径16mm)
・ステンレス硬線(または超硬線)直径1.2mm
・ペンチとラジオペンチ
・カッター
・ニッパー
・電動ドリル用の替歯(8mmと10mm)
・物差し
・小型平ヤスリ
・エポキシ系接着剤
・デコレーション用ホログラムテープ
 
発泡材とステンレス線は釣具屋さんで、その他の工具や材料は全て100円ショップで購入しました。
ウキ自作用の発泡材の代わりに、発泡スチロールを削り出す方法もあるそうですが、私は値段も手ごろで加工も簡単なのでウキ用発泡材を使っています。(φ16mmがなかなか売ってないんですが…)
 
では作っていきましょう
 
 
1.海藻天秤をバラす
 
イメージ 22鉛と樹脂製のキャップを分離させます。
接着されていないため、ハサミやパイプカッター等で隙間を空け、マイナスドライバーを差し込みキャップを取り外します。
 
イメージ 23もとからついていた腕を抜きます。
これも接着されていないので、ニッパーでカットし、ニッパーの裏側でトントン叩けば簡単に取り外せます。
 
イメージ 24分離できました。
 
 
2.発泡部の成形。
 
2-1.発泡材のカット。
イメージ 3115mmの長さにカットします。
錘の重さによって長さを変えます。20号なら100mm、シーバスロッド用の10号なら65mm程度にしています。
 
2-2.先部分(キャップをはめる部分)の成型。
イメージ 4片側の先10mmを、鉛と分離したキャップにはめ込めるようにします。キャップにはめ込みながら、カッターやヤスリ等で成形します。
 
2-3.元部分(鉛をはめ込む部分)の成形。
イメージ 5もう片側に、鉛をはめ込むための穴をあけます。
まず8mmの歯で深さ25mmほどの穴をあけ、10mmの歯で穴をテーパー状にします。
 
私は電動ドリルを持っていないため、替歯のみを使って手でグリグリ削るという荒技に出ました。
もとろん電動ドリル、さらにステップドリルを用いると簡単にテーパー状の穴を作ることが出来ると思います。
 
鉛をはめ込みながら作業します。
必要ならば鉛の方を削ることになります。(ジェット天秤を素材にした場合、鉛のほうもかなり削る必要があります。)
必要以上の穴の空けすぎは、強度低下や浮力に誤差が出るため注意して下さい。
 
 
3.部品の接着
 
3-1.鉛をステン線軸棒に通し環を作る。
イメージ 6軸のステン線φ1.2mmを通し、抜け防止の環を作ります。
 
3-2.鉛上部をペンチで潰す。
イメージ 7こうして軸棒が回転しないようにします。
 
3-3.発泡剤とキャップを通して接着剤で固定。
イメージ 8穴をあけた方から発砲材を通し、鉛に固定。さらにキャップを通し固定します。
 
接着剤は100均のエポキシ系のモノを使っています。
セメンダイン等の瞬間接着剤では発泡材が溶けてしまうことがあるそうですが、100均の「万能接着剤」を用いても接着出来ました。
 
佐織さんは「防水シリコンシーラント」を使っておられますので、入手できればそちらを使って頂いた方が確実だと思います。
 
しかしながら、この接着部は必ずしも強い接着力が求められるものではない(投げた時の負荷が接着部にかかるものではないし、接着部が外れても抜けることはないため)と思います。
 
軸棒のグラつきが気になるなら、キャップと軸棒の隙間にも接着剤をいれるといいと思います。
 
 
4.「コの字」部分の成形。
 
砂紋バスターの要部分が、天秤と接続するための金具の「コの字」状の曲げ部分だと思います。
ここが曲がると飛行姿勢が崩れるため、個人的には一番難しい部分です。
 
イメージ 9イメージ 10
このような形状にします。
 
イメージ 11長さの一例です。前の写真はこれより短いです。
 
完全な「コ」の字ではなく、角度がつくようにします。
長さを長くすると浮力が得やすくなるそうです。
 
4-1.軸棒をカット。
イメージ 12作りたい長さに合わせて軸棒をカットします。
 
4-2.環の成形。
 
天秤を通すための環を作ります。天秤側の環を通さないといけないので、大きめ(長細め)の環を作ります。
また、環は必ず軸棒をコの字に曲げる前に作っておきます。
 
イメージ 14初めの部分を長めにしてラジオペンチで曲げ…
 
イメージ 15ペンチで潰して環を作ります。
このように涙形にするのが、天秤側の環を通しやすく良いと思います。
 
4-3.コの字に曲げる。
 
最初に示した写真および図のように成形します。
 
イメージ 16イメージ 17
失敗例です。
 
環の位置がセンターからずれると問題が出てきます。
 
環がセンターにくるように、曲げの角度や長さを調整します。
後述する天秤に実際に接続してみて、錘が真っすぐになっているかを見るのも手だと思います。
 
 
5.発泡部の補強、デコレーション。
 
発砲材がむき出しでは、傷つきやすくなるので、100円ショップのホログラムシール等で補強します。
ペットボトルのラベルとドライヤーを使う方法もあるようです。(コカコーラ柄の天秤なんて面白いじゃないですか…?)
 
また、発泡材の白色はキスに警戒心を与えると佐織さんは書いていらっしゃいます。
我々ルアーマンの間では「赤は水中で消える」とか「青色は魚が嫌う」とかカラー論が繰り広げられていますが、そんなことを考えながらデコるのも面白そうです。
 
ちなみに、ホログラムシールでキラキラにデコったら、フグとメゴチが大量に追いかけてきたことがあります…
 
他にも、「萌えキャラのイラストつき」とか、「サイケデリックペイント」とか…センスと遊び心で色々遊べる部分だと思います。
 
イメージ 18完成!!
 
イメージ 32ベースの天秤の種類や重さを変えて、タックルや釣り場に合わせたいろいろな錘を作ることが出来ます。
 
 

 
III.天秤の作成。
 
IIで作った錘を接続する天秤を作ります。「L字」と「I字」の2種類の天秤を使用しています。
 
イメージ 26材料は、φ1.0mmのステンレス硬質(または超硬質)線と仕掛け用のソフトビーズ。ともに釣具屋さんで入手可能です。
I字天秤用にIIで余ったφ1.2mmのステン線を使うこともあります。
 
天秤作りでの注意点は、力糸側の環はIIで作った錘の環を通せる大きさに成形することです。
 
 
1.L字天秤の作成。 
 
まずは「L字天秤」です。
 
L字の腕のバネ効果で自動的にアワセが効き、キスがエサを加えた時の違和感を低減するクッション効果もあり、連掛けに適した天秤です。
 
イメージ 25私はこのようなものを作っています。
 
腕の長さは仕掛け側、力糸側共に150mmを基本としています。
感度や飛距離が欲しい時には130mmまで短くしたことがありますが、仕掛けの絡みはほとんどありませんでした。
 
イメージ 27佐織さんのものと屈曲部が違います。
釘などを使って図のように曲げ、仕掛け側に天秤の抜け防止でソフトビーズを組み込んであります。
 
佐織さんのものは屈曲部にビーズを通し、ハンダで抜けないようにしてありますが、この形状ならハンダ付けが不要です。
 
屈曲部を丸く曲げ、中にビーズを仕込む方法があるようですが、上手く出来ないのでこの形に落ち着いています。
 
ビーズの接着がはがれたり、根がかりなどで屈曲部が開くことがありますが、一個当たりの単価は安いですので新しいものと交換してもあまり気になりません。
 
イメージ 28錘をセットした様子です。
 
屈曲部をあの形にすると、錘がホールドされ安定する気がするのですが、気のせいですかね…
 
錘と天秤は固定されていませんので、半遊動になります。
天秤の腕のバネ効果も得られ、錘が固定されていないのでアタリもとてもよく感じられます。
 
また、もしもキャスト時に錘がずれた時のために、仕掛け側の環は錘の環が通らないように大きめに作ります。
 
 
2.I字天秤の作成。
 
腕が水中で真っすぐになるタイプの天秤です。
所謂「湘南天秤」と呼ばれるようなものと同類です。
 
この天秤の特徴は、L字のようなバネ効果が無い代わりに、アタリがとてもリアルに出ることです。
トーナメント(私はトーナメンターとは無縁ですが…)に出るような方たちは、まずI字天秤で海中の状況を判断して、キスの居場所が分かるとL字に替え連掛けを狙う-というような使い方をされる方が多いようですし、私も実釣ではそのように使い分けています。
 
すり抜けが良いため、根周りを攻めるときにも重宝します。
 
イメージ 30このような感じのものを作っています。
 
この形は教えて頂き、今回掲載の許可も頂いたものですが、一般的な湘南天秤と屈曲部が異なります。
 
イメージ 31このように、環をつくり45°に曲げたものを、同じく環を作ったもう片方の腕に通し、さらにクッションのビーズを通します。
45°に曲げた方の腕が仕掛け側になります。
 
イメージ 29錘をセットし、飛行時はこのようになります。
 
飛行時は仕掛けが力糸側に引っ張られ、仕掛け絡みの原因になる訳ですが、この天秤は仕掛けが引っ張られることで腕が直角に近くなり、仕掛けと力糸に距離が出来るため絡みにくくなります。
 
サビキ時には海中で直線になり、I字天秤の特性を生かせます。
 
ちなみに、腕の長さは仕掛け側、道糸側ともに150mmを基準にしています。
50cmのステン線を3等分して製作した時に、ちょうどこの長さになります。
絡みはほとんどありません。
 
また、力糸側の腕をφ1.2mm線で製作することもあります。
 
 
L字、I字とも、錘と同じで長さをかえることで色々なタックルや釣り方に対応するものを作れると思います。
 


 
以上、私が今シーズンとてもお世話になった天秤の製作方法でした。
 
どれも特殊な工具や技術を必要としない簡単なものだったと思います。
これでキス釣りがあんなに楽しくなるのですから、作る価値は十分だと思います。
 
 
少しでも参考になれば幸いです。