B06-32の地下シェルターにいた男は、W・ミネルヴァではなく、農園”グローリー・ベル”からの脱走者だった。彼が13年前エマたち同様、仲間と一緒にペンを頼りに、たどり着いたシェルターにはミネルヴァはいなかった。しかし、水・食料・電気・居住スペース、世界についての情報や資料は全て揃っていた。その後、仲間は全員死に、彼一人生き残ったのだと言う。そこから彼が学んだ生き残る術とは、ムダを省くこと。仲間=ムダ、希望=ムダ、情け=ムダ、全部ムダ。そして、ミネルヴァ捜しは、あきらめたと。
人間を食べる鬼に食料として飼育される子どもたち。
そこから、持てる力を全力投入して脱出を試みる。
ありえへ~んな物語。
そんな噓くさい物語に惹かれるのは、やはり普遍的に人間の持つものを見つけるからでしょう。
会社勤めしていた若かりし頃、私の口癖は「どーしたらいいの~」という言葉でした。
人に指摘されるまで気づかなかったのですが、あんた「どーしたらいいの~」と言いながら、手は動いてるで~。
困ってる感ゼロ。
だから、特に声掛けもせず、また言うてるわと、ほっとかれたのだとか。
そこで、答えたイイワケには、納得してたけど。
指示を受け、目的地はわかっている。
だけど、そこに着くまでの行程が、イマイチ不明。
そこで、「どーしたらいいの~」
とりあえず、今解っているとこまでやってみる。
やりながら考える。
10個先の目的地には、まだ遠いけど、1個目や2個目まで行ってみると、3個目とか4個目、もしくは、もっと先まで見えるかもしれへんから。
その時、次を考えようと。
意外と、途中で次が見えるもんです。
少しずつ少しずつ、世界のベールがはがされていきます。
でも、まだまだ謎だらけ。
シェルターに住むオジサンは、限りある資源をエマたちと共有する気はなく、出て行けと凄みますが、そこは優秀なお子達ですので、ある取引を持ち掛けます。
その内容は、ミネルヴァさんの残した次の目的地であるA08-63:”ゴールディ・ポンド”への案内兼用心棒。
エマとレイの二人がミネルヴァさんに会えて戻ってこれたら、全員シェルターを出る。
これを拒否れば、シェルターを破壊すると。
やるなぁ、これもう脅しだよね。
シェルターには、キッチンや資料室はもちろん、お風呂や畑まであって、武器庫には、銃・刃物・爆弾と豊富な武器が揃っています。
どれもこれも、超貴重。
第60話の扉絵は、この地下シェルターが蟻の巣のように描かれています。
シェルターを共有したくないオジサンの決断は……。
かくして、エマとレイはミネルヴァ探しの旅へオジサンを引き込んで出かけます。
そして、いきなり襲い掛かってきた人食い鬼に、頭をガブリとヤラレタはずのエマ。
なのに……。
オジサンの銃撃で倒れた鬼は、再生し仲間とともに再び。。。
と、また良いとこで終わるんだよね。
そして、気になるオジサンの言葉。
なんでやねん!?
俺は死なない
でも お前らは ヤバいね
認識番号の秘密は解けたけど、今回も謎いっぱいの7巻目でした。
オジサンの仲間はなぜ死んだのか?
オジサンの頭の中に話しかけてる仲間?は、幻覚?
それとも……。
壁の落書きの”Poachers(密猟者)”って何?
その下の書き連ねた”HELP”の文字も気になります。
そもそも、なぜクローネがペンを持ってたのかも未だに謎だよね?
でも、
相変わらずポジティブなエマの言葉です。
仲間も
希望も
情けも
ムダじゃない!!
全部
ムダになんかしない!!
【おまけ】
◆普遍性としあわせの涙