『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編集です。
タイトルがすべて、『○○と✕✕』という風に二字熟語の組み合わせになっています。
『祝祭と掃苔(そうたい)』
亜夜とマサルと塵が、綿貫先生のお墓参りに。
『獅子と芍薬』
ナサニエル・シルヴァーバーグ(獅子)と嵯峨美枝子(芍薬)の出会いから結婚、離婚、そして……。
個人的に芍薬の方が好きやけど、獅子には牡丹じゃない?
あっ、だから離婚したのかな。
でもこの二人、ライバルであり同志でもあり、なんかいい感じ。
『袈裟と鞦韆(ブランコ)』
課題曲『春と修羅』が生まれるまでのバックストーリー。
『竪琴と葦笛』
ナサニエルがマサルとジャズを結び付けた経緯。
そして、マサルは、師事するミハルコフスキーから引導を渡されるよう一計を案じ……。
物語に関係ないけど、ナサニエルはケイパーが嫌い。
お子ちゃまやん。
『鈴蘭と階段』
奏のヴィオラ選び。
プラハから亜夜と塵も参戦?
塵くん、亜夜ちゃんによくくっついてるね。
『伝説と予感』
ユウジ・フォン=ホフマンとカザマ・ジン師弟の出会い。
そして、最初と最後の熟語を取ったのが、この本のタイトル『祝祭と予感』です。
どれも、ファンサービスっぽい作品です。
そして、おまけとして、最終頁から前に向かって「響きと灯り」と称する音楽関係のエッセイがついています。
「チョ・ソンジン ピアノ・リサイタルに寄せて」
彼の日本公演のコンサートプログラムに寄稿された文に、ちょっと驚きました。
冒頭に、『蜜蜂と遠雷』の感想で私がピックアップした文章が、略した部分も全く同じで使われています。
これね。
スターというのはね、以前から知っていたような気がするものなんだよ。
―中略―
なんというのかな、彼らは存在そのものがスタンダードだからね。世の中には現れた瞬間にもう古典となることが決まっているものがある。スターというのは、それなんだ。ずっとずっと前から、観客たちが既に知っていたもの、求めていたものを形にしたのがスターなんだね。
クラッシック音楽は嫌いじゃないけど、あまり聞かないので、そのスターさん全く知りませんでした。
さっそくYouTubeで探しました。
この人です。
なるほどね。