ぼくは世界じゅうのたいていの猫が好きだけれど、年老いたおおきな雌猫がいちばん好きだ。日当たりのよい縁側で昼寝をしている猫のとなりに寝ころぶのが好きだ。日差しをあびた猫の毛は、いのちのいちばん美しい部分をぼくに教えてくれるから。
村上春樹の文と安西水丸の絵によるオトナ絵本。
画面からはみ出るように部分的に書かれた猫は、どこもふわふわ。
あたまも、せなかも、しっぽも、まえあしも。
子どもの頃、家にいた猫は、ふわふわじゃなかったけど、猫は好きです。
耳の後ろをなぜると、のどを鳴らすごろごろという音や、前足を左右重ねてすまして座っている姿。
カワイイ。
一日中日向ぼっこして、何事にも動じず、おだやかに年老いたおおきな雌猫。
その雌猫のなかに、”いのちのいちばん美しい部分”を感じる。
たしかに平和の象徴っぽいです。
その”いのちのいちばん美しい部分”が、かずかぎりなくあつまって世界が満たされたなら、これ以上の幸せは、ないのかもしれません。
世界が、ふわふわのしあわせで、あふれますように。
幸せとは温かくて柔らかなことであり、それはどこまでいっても、変わることはないんだ
【おまけ】
◆樟脳舟
猫と一緒に描かれているのは、レトロ感のあるおもちゃたちです。
積み木に、レコードプレイヤーに、ラジオに、ヨーヨーに、ペンギン入りスノードームに、ブリキの飛行機に、宇宙船(宇宙人付)・・・。
1ページ目には、しょうのう舟が描かれています。
うっすらと記憶にあるのですが、実は、燃料?が樟脳だとも知らなくて、ロウだとばかり思ってました。
どうして動くのかも、よく解らないままだったので、ググってみたら、こんなん出ました。