ぼくがラーメンたべてるとき  長谷川義史 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

ぼくがラーメンたべてるとき、となりでミケがあくびをする。ミケがあくびしたとき、となりのみっちゃんが、チャンネルをかえた。みっちゃんがチャンネルをかえたとき、そのとなりのたいちゃんが、ボタンをおして、トイレの水をながしてる。そのたいちゃんが……。

 

 

 

 

ページを繰るごとに、順に隣のお友だちに繋がっていきます。

その繋がりは、隣町の子からその隣町の子へ、やがて国を超え、隣国の子からその隣国の子へとリレーされていきます。

 

 

たいちゃんのお家の壁に、実篤っぽい額がかかっていて、思わず脱力。

だって、こんなだよ。下矢印

 

みち    

 

    みちに、

     ぐんてが

    おちていても

     ひとは

      ひらわない

          よしを

 

 

子どもたちは、バイオリンの練習してたり、お友だちと野球野球をしたり、おかあさんとケーキショートケーキを焼いてたり。

 

お隣の国でも、自転車に乗ってる子がいるかと思えば、子守をしていたり、水を汲んでいたり、牛の世話をしていたり、生活のためでしょうか、パンを売っている子もいます。

 

 

そして、そのまた山の向こうの国では、男の子が倒れています。

 

そこには、風がふいていて、そのとき、ラーメンラーメンを食べているぼくにも風がふいていて……。

 

 

 

並べられた植木のそばには、ママチャリが止めてあり、物干し台に干した蒲団をたたく手が見えます。

ありふれた日常のワンシーン。

 

窓のカーテンが風に揺れて、ラーメンラーメンを食べてるぼくが窓越しに見えます。

 

 

ラストページは、窓の外を見つめるミケ(茶トラなんだけど、名前はミケ)の後ろ姿。

窓の外は、ずっとずっと繋がっているんだなと思うと、この展開、知ってたのに、思わず泣きそうになります。

 

 

 

 

 

 

今夜はクリスマスツリークリスマスイブ。

 

もうプレゼントプレゼントをねだる年齢ではないけれど、欲しいものがあります。

きっと、誰もが欲しがってるはず。

クリスマスベル「平和」をおねだりしてもよいよね。

 

だって、わたしたちサンタサンタクロースの正体知ってるもん。

内緒だけど、サンタクロースは、オトナたちなんだよ。

これ、公然の秘密。

その気になれば、楽勝やん。

 

 

 

 

裏表紙には、倒れていた男の子が歩いている後ろ姿が描かれています。

パラレルワールドかなぁ。

この世界のキラキラ未来だったらいいのになぁ。

 

 

 TODAY'S
 
Merry Christmas !

 

 

クリスマスベル This world will never be the same without you. トナカイ