- 大奥 12 (ジェッツコミックス)/白泉社
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人目を避けながら黒木良順を訪ね、赤面疱瘡撲滅のため協力を請い、頭を下げる徳川十一代将軍:家斉(いえなり)。しかし、治済(はるさだ)の妨害を恐れる良順は、首を縦に振らない。息子:惇之助を毒殺された御台所:茂姫は、日に日に常軌を逸していく。同じように娘:総姫を亡くした側室:お滋賀は、治済により大奥総取締に抜擢され滝沢と名乗る。誰も信用しない治済は、滝沢を毒見役にし、大奥を見張らせる。
この巻は、最高に面白かったです。
優しいけれど気弱な家斉が、一念発起して、
大活躍。新たに、天文方に付属局として翻訳局を作り、翻訳官筆頭として局長に黒木を据えます。
表向きには、天体観測に必要な西洋の自然科学書の翻訳を仕事とし、真の任務は、赤面疱瘡の予防接種の実現を目指します。
ようやく志半ばで倒れた吉宗の、青沼の、源内の、その他様々な人々の悲願が、遂に実を結ぶことに。。。
長かったなぁ。
しかし、大奥では、いまだ治済がヤリタイ放題。
お膳に毒を盛り、イケメンを集めてのロシアンルーレット。

毒を食らっても生き残れば、大金を与えるという破廉恥ぶり。
バカじゃない?
その毒好き
治済が、遂に自らも毒に倒れる時が。。。よっしゃ!!p(^-^)q
と言いたいところですが、これがとっても切ないのです。
毒見役を務めた滝沢も共に倒れます。
御台所が佯狂だったなんて。。。


滝沢は覚悟の上で、御台所と謀り、自ら毒見役となっていたのです。
この前巻からの伏線の回収が素晴らしい。
発覚を恐れ、少しづつ少しづつ
母のその強さと、恐ろしさに慄きます。
しかし、治済の息子である家斉は、母子ゆえに、そこまで鬼にはなれず、その後、御台所とは距離が置かれることに。。。
しかし、母の支配から解き放たれた家斉は、心置きなく赤面疱瘡の熊痘(ゆうとう)接種政策を進めます。
その見違えるような行動力は、老中たちが舌を巻くほど。
とは言うものの、その方法は、あまりにも強引で。。。
治済を彷彿とさせ、やっぱり母子だったんだ
と思わせられます。しかし、そこまでしないことには、赤面疱瘡の完全な封じ込めは望めなかったでしょう。
黒木も渋々ながら認めているし、さじ加減が難しいところです。
死の床で、家斉の本音が御台所に伝えられるのですが、そこで、本物の将軍だったんだなぁと感慨深く思いました。
佯狂とは知らず、御台所に限りなく優しく接する家斉。
迫りくる異国船に、欧米列強に弱みを握らせないため、自らを<女色に溺れ幕府の財を使い果たした無能な将軍>として歴史に名を遺すことを潔しとした家斉。
御台にとっては、どちらも愛しい上様だったのでしょう。
黒木夫妻とはまた違う、そんな二人の愛
の在り方に、不幸せだけではなかった時間を見たように思います。大した事しなかった経歴を逆手に取って、なんだか、すごく良い人になっている家斉。
作者の創作力に
です。
女であっても
男であっても
真の王者とは
孤独なものなのです