文豪ナンバーワン決定戦  監修 / 福田和也 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

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没後数十年が経った今でも読み継がれている文豪50人を選び、「面白さ」、「美文」、「思想性」、「独自性」、「読みやすさ」の5項目でランク付けしています。
各20点で、合計100点満点の点数付きです。

総合15位までは、それらしき雰囲気のイケメンイラスト(10位まではカラー)も。

簡単なプロフィールに、エピソード、代表作紹介、福田チェックと、アンケートコメントが、それぞれ添えられています。



漱石(総合得点 86.7点)を抜いて栄えある総合第1位に輝いたのは、キラキラ谷崎潤一郎(総合得点 87.1点)でした。

「福田チェック」では、日本初のノーベル文学賞は、谷崎に取って欲しかったと述べています。

分からなくはないけど、意外といえば意外かなぁ。

ちなみに、川端康成は、第15位です。
なんか低くないですか?


<文学初心者から練達の読み手まで、幅広い層にアンケート調査を依頼>した結果だそうですが、具体的にどういった人たちなのかは記されていないので、どう解釈すればいいものか。。。

所々意外性も感じながらも、ほぼほぼ納得のランキングでした。



各項目ごとには「上位5位」+「少数意見だけどこの作家も」が、その項目に重点を置いて詳細紹介されています。


当然、写真付きなのですが、谷崎潤一郎をはじめ、「面白さ」第4位の芥川龍之介や、「美文」第1位の川端康成がよく見るいつもの写真じゃなく、何も言わずに見せられたら分からないくらいの若きキラキライケメン青年写真で驚きました。

でも、ググったら、ちゃんと出てきたので、私が知らなかったガックリだけかもデス。



5項目以外にも、「身勝手男」、「恋多き人生」、「固い美学」、「エッセイの達人」、「若者に愛され度」、「社会的地位」、「トラベラー」、「グルマン」、「慕われ度」、「影響力」といったちょっと変わったランキングも、面白かったです。


特に「身勝手男」ナンバーワンに輝いた島崎藤村には、ビックリ目でした。

妻を亡くした後、手伝いに来ていた未成年の姪に手を出し、妊娠させた挙句、フランスエッフェル塔に逃亡。

3年後に帰国し、再び姪と関係をもち、さらに2年後には、二人の関係を清算するためと称して、小説にして発表。
それが、『新生』なのだそうです。叫び

2位の『蒲団』の田山花袋が、モデルの不利になることは書かなかったの対し、この行状で1位。

「本物のゲス」、「クズ全開」とまで書かれています。汗


その後、姪は、台湾の親戚の家に送られ、流転の人生をおくり、貧困と病気のため施設に収容され不幸な人生を送るのですが。。。

藤村はというと、24歳年下の妻を娶り、日本ペンクラブ初代会長に収まったというから、唖然ドクロです。
時代だなぁ。



以前に読んだ『「文豪」がよくわかる本』でも、驚きっぱなしの無知な私でしたが、今回もやっぱり。ドクロあせる


名前は全員聞いたことがあっても、実際、私がまったく読んだ記憶がない作家が17人もいました。

作品が作者の品性と関係ないことは、重々承知はしていますが、こういうのを知ってしまうと、なかなか作品に手が伸びなくなりますね。


反対に、読みたくなったのが、総合第9位 山本周五郎です。


小学校卒業後、質屋に奉公し、主人:山本周五郎氏(えっ?)に可愛がられ、英語や簿記の学校に通わせてもらい、小説を書くことも許されたのだそうです。

生涯10以上のペンネームを使ったそうですが、最終的に「山本周五郎」という名前に落ち着いたなんて聞くと、作品とのイメージともぴったりで、なんだかほっこりお茶しました。


『さぶ』など、いくつか読んだ記憶があるのですが、あまり覚えていません。目汗
これを機会に、再読もありかなと思いました。




本
 目に見えるものばかりが真実ではない。分かりやすい価値ばかりが価値ではない。
 それを小説は教えてくれる。