じつは、わたくしこういうものです  クラフト・エヴィング商會 写真/坂本真典 | 青子の本棚

青子の本棚

「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

クラフト・エヴィング商會
じつは、わたくしこういうものです



人には誰でも、いつまでも忘れたくない「大切な時間」というものがあります。
とはいえ、
次から次へと押し寄せる時間の洪水の中で、ふと大切な何かを見失い、
ついつい忘れてしまったりするものです。
「あなたが大切にしたいと思う時間をお預かりします」
そう言って、<時間管理人>は、小さな古い鍵を手にしました。
「箱にしまって、鍵をかけて保管しておきますよ」


なぁーんて言われたら、ちょっと預けてみようかな~なんて思ってしまうではないですか。
世にも不思議な職業を持つ18名のポートレート集です。


月の光を売る<月光密売人>、
未来の、過去の、現在のあなたに、あなたからの手紙を届けるメッセンジャー<三色巻紙配達人>、
優柔不断な人になり代わって決断してくれる<選択士>、
切れちゃった頭の中の「ひらめき」ランプを交換してくれる<ひらめきランプ交換人>、
真っ白なシーツはもちろん、顔やら脳までにできるしわを伸ばしてくれる<二代目・アイロン・マスター>、
ポロポロ、ボロボロ、グシャグシャのワインの栓を救出してくれる<コルク・レスキュー隊>、
人の意識を外に向かわせてくれる<警鐘人>……

えーっ、何コレ???
でも、あったら楽しい職業ですね。
今回は物だけじゃなくて、ちゃ~んとご本人のお写真もついて紹介されています。

ちなみに、作家の小川洋子さんも、星加見子(ほしか みるこ)さんとして登場されています。
職業は、<××××>。
なるほど、これが「沈黙博物館」へのきっかけになってたのですね。
気になる方は、どうがご自身で確認なさってください。


それぞれの方がされるお話の中では、例によって例の如く深い哲学的な考察も含まれていて、思わず引き込まれるのはもちろんのこと。
時間を遡るために坂を登ったり、”おセンチ”になって決断が鈍らないようにものさしは「cm」じゃなくて「尺」を使うなど、いつもの言葉遊びも顔をだし、時々アハッと笑わせてもくれます。


そして、私のいちばんのお気に入りは、やっぱり<シチュー当番>かな。
<シチュー当番>とは、冬の間だけしかも20:00~8:00の間だけ空いている<冬眠図書館>の司書なのです。
そこでは、春と夏にめいっぱい働いた人々が、冬にそれまで読みたいな~と貯めた本を持ち寄って温かいシチューをすすりながら、読書にふけるのです。
なんか憧れの生活です。
本当に誰かつくってくれないでしょうかね、こんな図書館。




折口 > ある雑誌に載っていたのですが,京都に「図書館」というバーがあるんだそうです.壁に本が並んでて.夜から朝までだけやってる.だめですか? (2004/12/25 22:54)
青子 > 折口さん、そんなお店があるんですか。壁の本は貸し出ししてくれるんでしょうか。グラス片手に読書できるお店なんておもしろそー。本を選ぶとマスターがその本にあったお酒も選んでくれたりして‥‥。でも、回転率悪そうだから儲からないかも。 (2004/12/25 23:53)
折口 > 神戸や大阪にも本棚のあるバーや喫茶店があったと思います.店の名前はもう忘れましたが.スターバックスでいいよ.
「SHOT BAR&本棚 図書館」京都市下京区西木屋町通仏光寺上ル市之町249番地寿苑会館1階 (2004/12/26 09:08)
折口 > サービス. http://tumdoku.exblog.jp/728155 (2004/12/26 09:30)
トントン > <シチュー当番>いいですね~あったかいシチューを食べつつ好きな本が読めるなんて、入り浸ってしまいそうです! (2004/12/26 10:08)
青子 > 折口さん、トントンさん、こんにちは。

折口さん>読書のできるお店って、結構あるんですね。神戸でも喫茶コーナーの併設された書店はかなり前からありますが、どうも落ち着かなくて‥‥。それよりも、やはりオーナーさんの個性が現れていて、それがお客さんにもぴたっと合ったとき、究極の贅沢を味わえるんじゃないでしょうか。

トントンさん>この<冬眠図書館>の司書さんは他にも<コーヒー当番>、<コッペパン当番>、<ブランケット当番>、といらして、お客さんも交代で司書をやることになってるんですよ。そして、なんと回数券まで発行されているのです。星空の下でふくろうの声を聞きながら読書もできちゃうのですよ。すごいでしょ。

【おまけ】<コルク・レスキュー隊>を演じてらしたコルク人形作家の片岡まみこさんのHPが巻末に載っていました。さきほど訪ねてみましたら、とーってもかわいかったのでこちらに紹介しておきます。
http://www.corkdoll.com/ (2004/12/26 16:44)
トントン > すごいすごい♪<コーヒー当番><コッペパン当番><ブランケット当番>もいらっしゃるとは・・・星空の下でふくろうの声を聞きながら読書って贅沢ですね。この本すごく欲しくなっちゃいました。
<コルク・レスキュー隊>も覗いてきました。ほのぼのとしてとってもかわいいですね。
(2004/12/27 22:10)
青子 > トントンさん、見るからに「シチュー当番」の羽深月子さんのお写真も載ってますので、ぜひ一度覗いてみてくださいませ。
コルク人形、私もファンになっちゃいました。 (2004/12/28 20:17)
ケイ > こんばんは~冬にぴったりの本ですね。遅れてのコメントですが、、冬眠図書館、すてき!ケイの大好きな世界かも。こっぺぱん当番、、なんだか給食当番を思い出しました。夢のある本っていいですね。だけど、大人向きでもありそうだし、、青子さんの本選びにはいつも感心します。
それでは、、よいお年を♪来年もお話してくださいね。 (2004/12/31 18:38)

青子 > ケイさん、いつもレスありがとうございます。
冬の寒さの苦手な私は、いつもお気に入りの本を持って冬眠したいなぁと思っていました。この「シチュー当番」は雑誌「太陽」に連載されていた当時も、本当にあるのかと問い合わせが殺到していたそうです。あるなら絶対入りびたりですよね。
私もケイさんの選ばれる本、興味津々で拝見しています。今年もあと数時間、来年もよろしくお願いいたします。 (2004/12/31 20:14)