「智ちゃん、和さんと
カレー作ったんだ。」
「玄関開けたらカレーの匂いがして
不思議だったんだよ。」
「ふふ、やっぱり匂いは
かくせなかったね。温めなおすね。」
隠してたベランダから鍋を運んで
温める。
僕がキッチンにたって、
斗真くんと大野さんが楽しそうに
笑ってる。
いつまでもこうして見てたいなぁ。
でも、いつかここに立つのは
大野さんの彼女さん…。
苦しくなって…。
「和さん、顔色悪いよ、大丈夫?」
「大野さん…。すいません、
ちょっとふわっとしちゃって。」
「抱えるよ。」
「わぁ。」
ぎゅっと落ちないように
大野さんの温もりに
しがみついた。
「斗真、和さん寝かせるから
ソファ片付けて。」
「大丈夫だよ。
すいません、大野さん。
もう、大丈夫なんで。」
ゆっくりソファにおろしてくれた。
「あっ。」
大野さんの温もりが離れちゃった。
どうして、和さんはそんな
切ない目で俺をみるの?
「和さん、智ちゃんどうしたの?」
俺たちは斗真が声をかけるまで
見つめ合っていた。