2009年度シンガポール政府予算 ① | シンガポール通信

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シンガポール政府の会計年度は日本と同じく、というか英国と同じくと言ったほうがいいのでしょうか、4月に始まり3月に終わります。
主要国の会計年度を調べてみたところ暦年ベースの国が多いようですね。で、次に多いのは4月か7月始まりでしょうか。米国だけ何故か10月始まりですね。)

例年ですと2月頃に発表される当地の来年度予算なのですが、それこそ「過去に例のない世界的金融、経済危機」に迅速に対処する目的で予算策定が前倒しされ、例年より約1月早い、去る1月22日に2009年度(09年4月-10年3月)予算案がシャンムガラトナム財務相より議会に提出されました。
詳しくは「シンガポール予算HP」 http://www.singaporebudget.gov.sg/
是非一度ご参照下さい。情報開示、国民議論、教育いろんな観点できっと驚かれると思います。)

今や、各国で政府による所謂「景気対策」が注目されているようですが、シンガポールの来年度予算にも「レジリエンス(回復)パッケージ」と冠された205億Sドル規模の景気対策が盛り込まれています。
その結果、来年度の予算尻は例年にない大幅な赤字(過去最大の87億Sドル)が見込まれています。同時に今回の予算にて新規に導入された「Jobs Credit Scheme」(雇用確保策の一つで、その目玉)と「Special Risk Sharing Initiatives (SRI)」(銀行融資活性化策の一つ)については、初めて過去に蓄積した準備金を取り崩す(49億Sドル)ことも表明されています。
又、予算の一部は3月から前倒しで実行されます。
尚、今回の予算には“Keeping Jobs, Building for the Future”というキャッチコピーがついています。(いかにもシンガポールっぽいです!)

景気対策の「レジリエンス(回復)パッケージ」は、
① 国民の雇用確保策(51億Sドル) 
② 銀行の融資活性化策(58億Sドル)
③ 企業キャッシュフロー改善・競争力強化策(26億Sドル) 
④ 一般家計支援策(26億Sドル)
⑤ 将来に備えた社会基盤整備策(44億Sドル)
の5項目を柱に据えています。

キャッチコピーが示しているように、「まずは(国民の)雇用確保を最優先し、且つ将来の世界景気回復時にシンガポールが比較優位な競争力を持ち浮上するに備える」事を狙ったものとしています。
とはいえ声明の中では同時に、「世界経済が後退し続ける限り、レジリエンス(回復)パッケージが我々をリセッションから抜け出してくれるものではない。しかしながら更なる悪化、引き続く経済へのダメージを避けることの助けになるものである。」と述べられています。
正しい、というか少なくとも前半については嘘ではないと言えるメッセージでしょうか。)

凡そ、国の予算というものは、「国家」と「国民」の関係という極めて本源的で深遠な(?)テーマを考えるに当り、まずは検討のスタート台になるものかと思います。

以前、このシンガポール通信第1号の中で、このコラムのテーマとして、シンガポールから見た「国のあり方」「社会のあり方」を探る(なんとまあ大それた!)のもそのテーマの一つにしていました。(書いてしまった後で頭を抱えていたのですが
そこで、国家予算というのは丁度いいテーマなものですから、これから何回かに分けてシンガポールの予算に関わるいくつかのトピックスを取り上げてお話しようかと思います。

まずは、
○ 「Jobs Credit Scheme
雇用確保策の目玉の一つで今回初めて導入されたユニークなものです。内容は、
「当地社会保障制度である中央積立基金(CPF)加入の従業員月給の12%(月給2500ドルがキャップになっており、従い上限は一人当たり月300ドルです)を国が直接雇用主である企業に補填するものです。3月中に1-3月分の第一回目補填が行われ、以降、各四半期毎に行われる予定です。現状年末までの時限措置となっています。」

要は、政府が企業に対しシンガポール人従業員雇用コストの一部を肩代わりする効果を出す事で、企業側の(CPF対象)従業員の解雇や給与減額への誘因を減じる事を狙ったものです。

さてさて、このスキームを皆さんはどのように評価されますでしょうか?

この議論をする際にはCPF(Central Provident Fund中央積立基金)のお話をまずしなければいけないのと、いろんな角度からの論点をご紹介しなければなりませんので長くなりそうです。ということで今回はここまで。次回に続きます。