宇宙快速線   後編 |  美しい暦     

 美しい暦     

   Calendario bonito           

▲「中梅先輩…ど、どうかしましたか?ってか、近いですヨ。密です、密!?」「ね、未来から来た奴って、オラを見て何で怯えんだよ?マジ不愉快なんですけどー。」「いや、そりゃ森村くんだけオンリー。あいつ超パニクってんですよ。中梅先輩のポスターを子供部屋のベッドの横に貼ってるようなヤツだから…」「ポスター?なんじゃそりゃ?…ポスターって、Myojoのジュニア・アイドルのスクール水着ピンナップとかみたいなヤツ?この中梅煋次朗様の??」「いや、海パンとかじゃなく…。もっと詳しく言うと…」

 

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合唱団指導日誌 補足 

問題は2倍になった。一人でも持て余したタイムトラベラーは2人に増えた。トゥーマッチというかイナフというか、この人数は多すぎる。

 

「ね、もう一本後の電車にしてくれたら帰れてたかも知んないんだよ!!何で待っててくれなかったんだよ。」

「だって、死んじゃったかもしんないって心配したんだよ。タイムトラベルしたのに違い無いって感じたから同じ装備借りて慌てて来てやったのに!たとえば第2次世界大戦中の硫黄島とか、戦国時代とか、縄文時代とかに飛ばされてたらどうすんだよ!」

「いや、縄文時代に宇宙快速線もJRも帝都高速度交通営団も無いだろ!」

合唱団事務室では部屋の片隅でアオケン少年と、取り出し練習で後入りのソプラノ深谷寒太郎や加賀協太朗たちが未来の2人の会話を横に聞き、話している。

「なヵ、未来の子のハナシって、すっげ具体的で芝居には見えない。」

「いや、少年合唱団、オペラ子役でもあるんだから芝居は得意じゃないと未来でもアウトなんだろ。アンパンマン少年合唱団には一般のキッズ・ミュージカルでメイン張る子役もいたんだし。」

ソファーの上では未来の二人がずっと喋っている。

「僕、プロのボーイアルトっぽく振る舞おうと思ったんだけどさぁ、でも、ココのアオケン先輩があんなにカッコ良すぎてムリー。ヒィーッ!気絶しそう!」

「いや、マリオ聞いて!この時代のアオケン先輩、今、すっごくフクザツなんだよ。あのなぁ…」

「まだ混乱の真っ只中だと思うが、解決策が要る。みんな、アイディアはないか?」

指揮者先生がソファーの側に立ち、事務室へ集まった団員たちと緊急会議の開始である。

「今日は取り出しの練習日だからイイですけど、全員が通団する少年合唱団の通常練習日にタイムトラベラーがいたら…」深谷寒太郎がまず切り出すと、

「先生ぃ、一人でもヤバヤバなのに、2人もいたら大災害ですって!」と、中梅煋次朗が継いだ。

「うっ!…なヵ感じ悪ィ。」御堂マリオが思わず小声で毒づくと、傍から森村ブラッド満が、

「何言ってんだョ!めっちゃカッコいいだろ?うっせぇ!」と抗った。

「あの装備を付けて電車で往復したが、森村くんには何も変化が起こらなかった。」

実際を見た先生が報告する。

「その代わり、駅に到着する寸前、御堂マリオ君が現れた。」とアオケン少年。

「つまり、一方通行ってことですかね?」

「何で帰れなかったんだろう?」

「待って!その前に、このタイムスリップって、事故なんだよね?2人とも、未来のあの電車に乗っていて、身につけていた通信装置が誤作動か何かして偶然過去へ飛ばされてしまった?」

「ま、正確にはあの電車じゃないんだけどね。」と御堂。

「そう。あれじゃなくて僕らが乗ってんのは宇宙快速線。」

アオケン少年はまた笑い出した。

「なんじゃそりゃ?ロケットかスペースシャトルか何か?」

「いや、宇都宮と宙の森中央を結んでる大深度の高速地下鉄で、僕たちは長沢浄水プラントって駅からそれに乗って出演に行こうとしていた。」

「そんな鉄道、この時代には無いよ。」

「だから帰れなかったんだ。あの電車なんかに乗っても!」

「何十年後かにその電車が開通すれば、君らは未来に帰れるかもしれないことは、わかった。でも、君たちがお爺さんになる前になんとか元の時代に戻したい。未来の情報がこれ以上たくさんの団員に伝わらないようにしたい。先生は事務室でデスクさんと策を練る。学校の成績優秀なアオケン君と斉藤くんが2人で個別に未来の子達を聞き取りしてアイディアを出してくれ。」

「僕は同じアルトの斎藤先輩にインタビュウして欲しいっす!ってコトは、森村君は、成り行き上アオケン先輩とね?」

と、御堂マリオ。森村は少し当惑したが、アオケン少年がそれを見てエロカワにニヤリとした表情を見てさらに凍りついた。

「好きにしてくれ。それじゃ、それ以外は各自取り出しの練習に戻りなさい。特に加賀協太朗は南安雄のソロ部分のクワジ・レチタティーヴォがまだ全然ぎこちないぞ。高い音の連続だが、もっと心を作って正確に歌い込んでくれ。以上。解散!」

 

トイレに行こうと胸をはりスタスタ一人で合唱団の廊下を歩いていた御堂に森村は走って追いついた。

「マリオ!何でオレ様にアオケン先輩を振るんだよ!」

「何でって、なっちゃん先輩と2人っきりになれなくて逆ギレ?」

「いや、今日はもうさんざんアオケン先輩といっしょにいたんだよ。僕の思ってたアオケン先輩とちょっと違うくて…。っていうか、この時代の合唱団はすっごい素晴らしいんだって憧れてたけど、実際は、なヵ、普通で…。」

「私らの合唱団と完全に同じ合唱団なんだもん、そりゃ普通さ。」

「中梅煋次朗先輩みたく、僕も日本一の少年合唱団員になりたくて入団した。でも、ここにいたら静かに何んにも残さないように、歌も歌わず口をつむってひっそり生きるしかない。」

「歌も歌わない少年合唱団員なんて、ま、聾唖のアコガレの椎太先輩とかはいたけど、私しゃ耐えられまへんがな。」

「だろ?」

あいづちをうった瞬間、森村ブラッドは突然マリオ少年の背後に人物を認め「ああぁぁうわぁ!」と意味をなさない叫び声をあげながら慌てて走り去った。何事かと振り返った御堂の前に、体臭がしそうなほど至近へ迫った中梅煋次朗が体温も伝わる距離でこちらを不審げに見ていた。

「うわぁ!」

御堂も思わず叫んで言葉を継いだ。

「中梅先輩…ど、どうかしましたか?ってか、近いですヨ。密です、密!?」

「ね、未来から来た奴って、オラを見て何で怯えんだよ?マジ不愉快なんですけどー。」

「いや、そりゃ森村くんだけオンリー。あいつ超パニクってんですよ。中梅先輩のポスターを子供部屋のベッドの横に貼ってるようなヤツだから…」

「ポスター?なんじゃそりゃ?…ポスターって、Myojoのジュニア・アイドルのスクール水着ピンナップとかみたいなヤツ?この中梅煋次朗様の??」

「いや、海パンとかじゃなく…。もっと詳しく言うと…」

中梅はここまで聞くなり「知りたくないッ!」と動揺を隠せず、一、二歩進んで振り返り、おいでおいでの手の形をしそうになりながら「でも…」と言いかけ、さらに「知りたくない!知りたくない!」と畳みかけつつ走り去ってしまった。

 

「コレ、言っちゃイケナイことなのかもしれませんが、なっちゃん先輩の大ファンでした!」

「わたし?ありがとう。でもそれ、森村君に聞いたよ。未来にいるカラダが女の友達が、わたしのファンだって。」

「それ、ワタシです!あの、…ウルサイですかネ?」

「いいけど、どうやって未来へ帰ろうかね?」

予科練習室が斉藤なつきのお気に入りの場所だ。予科生の小松作之進とよくここで話したり遊んでやったりする。

「先輩って、超気さくで、下級生に優しくて、おまけに歌は抜群に綺麗で上出来で。」

「はじめて会った子がなっちゃんのコト、知ってるなんて、なんだか不思議な感じ…」

「知ってるって、…全員がよーく知ってますよ。完全なCGNなのに、それに挫けず、元気で明るくて、お客様は男女を問わず大切にして…、落とし物はよくするし、忘れ物もときどきあるけど、おおらかで、秀才くん。でもアルトのメンバーとは固い友情でしっかり結ばれている活発な”男の子”。声はすっごいカッコイイ深い濡れたアルトで…」

「落とし物と忘れ物は合ってるけど、他のことはどうかな?違ってるような気がするけど。」

「はい、知ってます!でも、そのプレッシャーばっかりの悩み多きなっちゃん先輩が合唱団で歌っていくうちに、ある時からどんどん変わっていくんですよ!だから、みんな先輩が大好きなんです!」

「そうなのかねぇ。」

「そうなんですよ!うぐっ!未来のことを喋っちゃったカモ…汗」

「ねぇ、ねぇ、それよりその明るい未来への帰り方を考えないと。」

「ふわぁー、このマジメさがなっちゃん先輩の萌えポイントなんですよねぇ!」

「まじめじゃないヨ!」

「これ、あっしの夢だったんですけど、ココで2人派手に美しい歌、うたいません?」

「だから、未来に帰る方法を考えないと!」

「オッケー!ここの合唱団規則、知ってますよね?」

御堂マリオは仁王立ちになり、両手を腰に当てて胸を張りながら団規を唱え始めた。

「まず、第18条のカッコ6のB!当合唱団員は団員生活の全ての場面に於いて歌を愛し、声あわせて歌い、団員のほこりを確かめあうこと。」

「……?」

「さらに、合唱団規則 第24条附則…団員は練習時間中であるなしにかかわらず、適切に水分補給をするよう各自留意しなくてはいけない。ただし舞台等ライブ演唱中を除くするものとする。なっちゃん様、飲まなきゃ団規違反でアナタを通報するヨ!」

「すごい!暗記してるの?合唱団規則?!」

「覚えてるよ!練習サボれるじゃん!…じゃ、2人でとっとと事務室のウォーターサーバーへお水飲みに行ってから、帰ってきて、団員のほこりを確かめつつ歌をうたおう!行くゾ!おー!」

 

 

斉藤なつきは他の団員同様、通団時に水筒を持たされて来るので、事務室で1.5オンス紙コップをもらってウォーターサーバーから水を飲んだ経験は無かった。だが、御堂マリオの方は練習をサボれるので、わざわざこうするのだという。彼は、なっちゃん先輩が小さな紙コップに注いだ飲料水を、西部劇の酒場のガンマンよろしく一気あおりに飲み干す姿を見て、この団員の後年の活躍を確信した。

「なっちゃん先輩!歌うたいましょうヨ!」

「…歌う…って、何歌うの?」

未来から来た子は、予科生室に戻ってきたアコガレの人がこのセリフを吐くとは思ってもみなかったので非常に当惑した。

「何歌うの?…って、決まってんじゃナイデスカ!先輩の大好きなアレですよ!アレ!」

「どれ?」

むっちりした手がいきなり練習室の扉を開けた。

「ねぇ!大ニュース!大ニュース!斉藤センパイ!『にほんごであそぼ』の公開収録のハガキ、当たっちゃったヨぉー!」

予科生室に飛び込んで来て言うのはソプラノの加賀協太朗。そんなことが今、言えるのは、彼がキッズ・スマホを持って通団してきたからに違いない。

「だからぁ?」

「千葉市民会館だって。憧れの川原エイトくんがセンター・メインで30分間ぐらい歌い踊るんだよ!一度、ナマで見てみたかったんだぁー。」

「キミだってその日練習あるんじゃないの?何曜日?」

加賀は悪びれもせず、左掌を左右に振りながら、

「欠席、欠席!サボ!サボ!」と言い放った。

「エイト君と言えば、コタローだよね!Kotaro Lives Alone!」

なっちゃんが目を輝かしながらそう言ったのを聞いて、御堂は「あなたの場合、それは違うだダロ!」と心の中でツッコミを入れた。

「『帰ってきたぞよ!コタローは一人暮らし』って、何で『帰ってきたぞよ!』なのか知ってる?」

「続編だからでしょ?」

なつき先輩は加賀協太朗と話しはじめた。

「…と、思わせて、実は違うんだな。DVのお父さんから逃れ、お母さんも病死しちゃって一人暮らしをしていたコタローを、お父さんが元通りの善良な親に回復して迎えに来る。それに応じてコタローもお父さんの家に戻ってめでたしめでたし…のはずが、もうエンドロールが流れ始めてるラスト2分40秒で「やっぱり怖かったころのお父さんの姿が目に浮かんでしまう」と、ぼろアパートに戻ってくる。だから『帰ってきたぞよ!』なんですね。そして、それまでおもちゃ刀剣ブル下げて変な殿様語でしゃべっていたコタローは、最後の最後にごく普通の子供になるって言う話よ。」

「最後に普通の子供になる…ってピノキオじゃん。」

「いや、エイトくんの吹き替えたピノキオ、最後は『人間になるっていうのは、肉体のハナシじゃなくって、心のことなんだ』ってスタンスなんだよ。人形の役をアテてるから、ずっと高い声でしゃべり続けてるんだけど、最後にゼペット爺さんの方が溺れて死にかけて、エイト君がその高い声のまま泣きながら『星に願いを』を歌うんだよね。きれいな高い声なの。泣きながらだから、すごい演技力だし。それでおじいさん復活してめでたしめでたし!」

「コタローでもピノキオでも、エイト君は最後に、心で『人間らしい子供になる』っていう難しい役をわざとらしくなく、自然に、説得力をもって演じている。」

「ま、なっちゃんもいっぱい歌って最後に”肉体ではなく”、心で普通の男の子になるんだよ。身体が材木で出来てるとか、女だとか、そんなことどーでもいいんだよ。歌では、誰が星にお願いをしたって叶うっていうんだから。」

未来”少年”はここまで聞いて心底納得し、声を震わせて言った。

「そうか!斉藤なつき先輩の大好きな大好きな愛唱歌ナンバーワンが『星に願いを』になったまさにその瞬間へ、わたしゃ、今、立ち会えたってわけだ!」

 

When you wish upon a star

makes no difference who you are

Anything your heart desires

Will come to you

(星に願いをかけるのに キミが何であるのかは問われない

 心から望んだことが キミに訪れる)

 

きらきら星は不思議な力

あなたの夢を満たすでしょう

 

人は誰もひとり

悲しい夜を過ごしてる

 

星に祈れば淋しい日々を

光り照らしてくれるでしょう

 

ディズニー映画のオープニング・イントロ・ロゴの宵の光景を心に描きながら、3人はアカペラで思いっきり声を合わせて歌った。アルトとソプラノを交換して彼らは二重唱で歌いまくった。歌い足りず、日本語でも英語でも繰り返し歌い、最後はとうとう事務室から先生方が飛んできて彼らの思いのたけをやんわりと制して帰った。

「御堂クン、あのさあ、先生のお誕生日パーティーでこの歌、一緒に歌わない?♪きらきら星は 不思議な力 あなたの夢を 満たすでしょう …って、きらきら星の星はスター。俺らのコトなんだよ。それが先生の夢をかなえる…って、まるでこの合唱団のコトみたいじゃん!」

「なヵ、加賀先輩、ご自身スター呼ばわりで高慢くない?!ま、いいよ!この3人で歌えば動画に残るし、将来、写真が合唱団の記念誌に載るはずだから、うちの母ちゃんめっちゃ喜ぶサー!」

 

”禁欲的で真面目な”アオケン少年と、森村ブラッド満は、個別練習室にこもり、膝を突き合わせて未来への対策を練っているところだった。カワイの黒い背なし椅子は、団員連弾の練習用に少しだけ横幅が長い。

「ネットで調べても、未来から来た人間が元に戻るっていう例は無いみたいだよ。もっと過去へ戻ってる人がいるのかもしれないけど、時間線が違うのか、僕たちの6年社会科の教科書には過去に未来人が現れたということは書かれていないんだ。」

「それは、未来の歴史の教科書にもです。時間規約の第3条で、一切のタイムスリップの記録は固く禁じられているから。」

森村は目の前に両掌を広げ、本のように開け広げて見せた。

「ところで、森村君、きみさっき、ここの廊下でトナミ先輩に僕のこと、聞いてたよね?」

「そうなの?忘れました。」トボケても無駄だ。

「僕の未来に関係することだよね。よかったら、僕にも教えて。」

「ダメですよ。未来のことは時間規約第2条で言えないことになってるでしょ。」

「団規や先生方のおっしゃることをキチンと守って行動する僕が、時間規約を破りたがってるって、キミは今、ビックリしてるハズだよね。…そういうコトじゃない?」

いたずらっ子そうに尋ねるボーイアルトの背後で、お仕置き部屋の小さな窓がそろそろ夕刻の光を透過させはじめている。

「トナミ先輩は、そういうアオケン先輩が普通なんだって言ってました。…でも、僕たちの未来にとっては、それじゃ困るんです。ジョークを言ったりしない真面目で何でも一所懸命なアオケン先輩でいてくれないと。」

言われた本人は首を振ったが、表情は微笑を伴って柔和だった。

「僕は僕でしか無い。未来の僕がどうでも、どう思われていても、僕は今の僕であり続ける。お掃除と庭いじりが趣味で、お習字が大好きで、自分の書いた字がカッコいいんで、超気持ちイイーって毎日思ってる僕であり続ける。…さ!過去に戻った人が元に戻った前例など記録に残され無いってことだけはハッキリした。帰り方は僕らがココで考えるっきゃ無いってコトさ。」

森村は先輩の表情は見ず、ずり落ちるままだった紺ハイソックスを片方ずつ脚を伸ばしてシュッシュッと引き上げた。75年後の日本の工業規格は児童の体格向上が止まっていたために男の子の膝を覆うぐらいの長さのままだ。

「森村君、そもそもキミは一体どうして僕たちのところへ来たの?」

「だから、長沢浄水プラントの少年宇宙研でSerritothって海王星近くのナノプローブと交信してたら、意外と大量のデータが降りてきて、時間が無くなって、今日、出演があるから通信セット抱えて浄水プラントの駅から宇宙快速線の宙の森中央行きに飛び乗って…」

「ううん、そういうコト聞いてない。過去へ飛ぶなら江戸時代の日本でも1970年代中期のニューメキシコでも、ビクター少年合唱隊やライオンズ高知少年合唱団でも良かったはずなのに、何でここへ来たんだろう?」

「そりゃ、ここが僕たちの合唱団だから。」

「でも、何で今?」

「そりゃ、俺ら団員総意でアコガレの時代だからですよ!現に僕はこうして憧れのアオケン先輩の実物に会えて話もしている。忘れてた、握手してくださいっ!」

森村は感情昂って突然右手を差し出した

「これって、もしかして、キミらの思いがこんなタイムスリップを引き起こしたんじゃ…??」

アオケン少年は未来少年の右手を握りしめて大きく手を振った。振られた男の子の腕は八丈島八重根港の桟橋に打ち寄せる黒潮のごとく大きなサインカーブを描いている。

「そうでしょうか?」

「そうでしょ?…全ての原因は、多分、キミたちだ!」

カワイの連弾椅子の左端に、アオケン少年は音をたててベッタリと左掌をつき、ニヤニヤしながら立ち上がって言った。

 

「今、理事会に連絡をとっている。極めて最悪の事態だ。森村君、御堂君、キミたちは今日の6時過ぎまでココでカンヅメだ。しばらくは事務局デスクさんの家へ泊まれるよう、先生が頼んである。団員の家にホームステイは時間規約第2条で未来の情報の漏洩を考えても許可できない。斉藤君たち、ちょっとこの部屋から出ていてくれないか?」

合唱団指導者は本科練習室から現役団員たちを人払いした。グランドピアノのトムソン椅子に腰掛けて、オリオン少年合唱団へ贈る楽譜を選び、付箋をつけて記録しながら続けた。

「森村君、きみはとても少年らしくて良い団員だ。御堂君も友達を思い、すぐ助けにくる勇気を持った団員だ。未来の先生方はさぞや誇りにしていらっしゃることだろう。…そこで単刀直入に言うが、私のお誕生日会をやったらいいと、団員らにけしかけるのは、二人とも止めてくれないか?」

「いや、けしかけてはいないです。」

「そう、この森村くんは、ハロウィーンの仮装で先生のコスプレしたぐらいの大ファンなんですよ。」

「大ファン…?」

「顎のラインまでシリコンモールドで作って、こういう色の背広着て、髪型までかなりのコダワりようだったほどで…」

「じゃあ、私が誕生日会っていうのが大嫌いなのは知ってるだろう?団員の誕生祝いなんてやったことも無いんだよ…」

「えっ!? それは知りませんでした。先生、もちろん、誕生会やっちゃえ!やっちゃえ!なんて、先輩たちには言ってません。でも…」

「でも…?」

「先生はあとご自身の誕生日が数回しか残っていないのかをご存じありません。」

「知ってるよ。」

指揮者は反射的に言葉を返した。

「もうすぐなのかもしれませんよ!」

「それも知っている。」

「じゃあ、何で?残されたみんなはそのとき、先生ともっと合唱を楽しんでおいたら良かったって思うんですよ!」

「実は今の団員の中には、私のその将来のせいでほんの数時間だが過去へ跳んできた者が一人いる。彼も最後に大過去のこの合唱団に来たそうだ。練習日ではなかったらしく、門が閉まっていて入れなかったと聞いた。『希望の虹』という歌を聴き覚えて帰ってきたよ。私が学校で小学5年6年の頃に歌っていた曲だ。」

「その子も会ったんですね?…小学5年か6年の頃の先生に。」

「彼はここへ無事帰ってきて、ニコニコしながら、『先生は、いなくなられてもずっと僕たちの歌を見ていてくださるんです』と心底ホッとしていた。」

「…先生?その子はどうやって未来に戻ってきたんですか?」

「さぁ、わからない。少なくとも君たちみたいにごく普通の電車なんかに乗って戻ってはこなかったよ。」

「普通じゃないです快速です。」

「快速って言っても空飛んだりするわけじゃないだろう?普通に線路の上をガタンゴトンって…いや、今はロングレールだからガタンゴトンはないか…」

「いや、先生、宇宙快速線はマグレブだから、レールなんか無いんですよ…」

森村ブラッド満はここまで言いかけて、突然、憧れの宮村ヒトミを救出するマユツバな作戦を思いついたあばれはっちゃくが「ひらめいた!」と叫ぶ瞬間のごとく目を輝かせた。

「そっかぁ!!先生っ!僕たちの帰り方が分かりました!」

 

 

未来から来た二人は事務室の応接ソファに腰を下ろした大人・団員らを前に、もったいつけてこれから彼らの帰還方法を発表しようとしている。

「僕たち二人がここへ到達した装備は、まず通信モジュール、…これは受信機・アンテナ・増幅器・バッテリーをワンセットにしたものです。それを両足の間に挟み、さらにブレインマシンインタフェイスヘッドセット用のドングルが突き刺さった市販品のタブレットを持っていた。あとは、後頭部にアタッチしたブレイン・インタフェイスを紺ベレーの阿弥陀かぶりでカバー。二人とも同じ先生から借りてきたので、全部同じ装備です。バッテリー切れなどはありません。」

「でも。帰れなかったんだよね?」

斉藤なつきが問うた。

「この装備を持って、宇宙快速線の宙の森中央行きに乗っていた。」

「ここの駅に来る電車じゃないよね?そんな快速線の線路は、この時代には通って無い。」

「その電車と同じような線とか、近くを走っている線じゃダメなの?」

団員たちは次々と思うことを言った。

「宇宙快速の説明をします。」

森村が続けた。

「高速の地下鉄で、リニア推進です。」

「地下鉄12号線とか、横浜市営地下鉄の4号線とかと同じだよね?」

中梅が確かめた。

「…それが、違うんです。12号線や横浜4号線は鉄輪のリニアモーターカー。モーターはリニアだけど、鉄のレールの上を鉄の車輪で普通の電車と同じように走っている。でも、宇宙快速線は、快速だから、加速が終わるとすぐにタイヤが浮いて、日本お得意の高温超伝導の磁気浮上で滑る。」

「そんな鉄道、日本には無いよね?」

「中国とかの妨害で、中央新幹線とかも完成してないし。」

未来少年森村がここでかすかに咳払いをし、胸をはって言った。

「僕は、この高温超伝導の磁気浮上やそれに付随する車内からの直線ファイバ無線にタイムスリップの原因があったと考えた。」

「いや、だから、日本にはまだ高温超伝導磁気浮上式の地下鉄は走っていないんだよ。」

「ジャジャーン!ここで御堂マリオくんから重大なご報告があります!」

「まったく、もったいぶってんな…」

「実は、現在、高温超伝導磁気浮上で走ってるほぼ地下鉄のリニアモーター線が、日本にはたった1ヶ所だけあります!」

「山梨の実験線だろ?それ、どうやって乗るんだよ?一般の子供なんかカネ出しても乗れないだろ?」

「それが、乗れるんです!山梨実験線の『集まれキッズ!リニア体験』乗車会!加賀協太朗先輩にスマホで調べていただきました。1日480席のキャパで、応募すれば子供も乗ることができる!もちろん、僕ら2人もです!」

 

彼らは重そうな装備をかかえ、合唱団練習場のエントランス室で限られた団員たちの送り出しを受けているところだった。指揮者先生が万が一の失敗に備えて同行し、もしもの場合はここまで連れ戻す。彼らは時間規定の縛りで花束もお別れの作文も持たされず、個々の団員たちに記念の品を渡すこともなかった。アオケン少年が森村にお別れの握手を求めたこちら側で、御堂マリオはきょろきょろしながら立っていた中梅煋次朗の前へ進み出て、少しだけ躊躇しながら言葉を発した。

「あのぅ…」

「何か、問題点?」

「あの…、ちょっと、誤解を与えたかもしれないと思って…。森村君のポスターのコトで…」

森村は、急に自分の名前が聞こえ、ぎくりとしてこちらを見た。

「団員募集のポスターなんです。ポスターに6年生ぐらいの頃の中梅先輩がカッコよく写ってて…。ちょっと森村君おいでよ。」

森村ブラッドは走り寄って揉み手しながらようやく中梅をはっきりと見て立った。

「それ、最初から言っといてくんないと!本当のコト?」

「本当です。中梅リーダー!あー、あの…、僕はそのポスターを見て、どうしても、どうしても、どうしても、少年合唱団員になりたくて入団しました。『きみの歌(うた)は必(かなら)ず僕(ぼく)が守(まも)る』って先輩のコトバが…」

「それがポスターに?そりゃ、逆だよ。今までの僕は…丘村先輩とか青畑(兄)先輩たちに守られて可愛がってもらって、相手にしてもらってココまで歌ってきた。僕の歌は先輩たちが必ず守っていてくれた…最後に、リーダーになった?僕は、今度はそれを未来の後輩たちへ…?」

「部屋のベッドに貼ってあるんです。ベッドのとこに貼って毎朝、毎晩見てるんです。合唱団だけじゃなく、辛いときも悲しいことがあったときも、逆に嬉しいことやすばらしいことがあったときにも、先輩のかっこいい合唱団制服姿とそのコトバを見続けて僕は頑張れた。」

中梅煋次朗は数秒間、真摯な表情で未来の後輩たちを見つめた。中梅のそういう表情を今まで合唱団のどの団員も指導者も見たことがなかった。

「きみが僕に話しちゃったことは、とんでもない時間規約第2条の違反のはずだよ。」

「はい、すみません。」

「でも、とっても嬉しかったナ。僕、これからも頑張ってそういう団員になって卒団してみせる。ありがとうね!」

御堂はニヤリとして皆の方へ体を戻した。森村は明らかに安堵したが、まだ10歳の少年へさらに穏やかで甘い憧憬の眼差しを手向けた。微笑まれた中梅煋次朗は元通りのお茶目な「チューくん」に戻り、未来少年に笑ってウィンクした。

「じゃ、大月までの直行バスに遅れないよう、早めに出かけたい。アオケン君、中梅くんたち、留守番をくれぐれも頼むよ。行ってきます。」

指揮者先生は二人の未来少年を連れて玄関の敷居を跨ごうとした。

「それでは、森村君、御堂君、未来に長寿と繁栄を!」

振り向いた彼らの目には、元通り真面目で真剣な団員に戻ったアオケン少年が、右手指を変な形にくっつけてバルカン星人の挨拶をしている姿が映った。森村はゾクゾクして畏怖の目線を返し、指揮者先生はニヤついて前方へ視線を戻した。

 

 

ドアを開けたところに喫驚の表情で立っていたのは、顔色と人相のあまり麗しく見えない男と、ズッコケ三人組…オリオン少年合唱団の一行だった。

「お出かけですか?」

「ええ、山梨の郡内の方へ、この子たちと…」

ちょっと改まった気持ちで玄関を出た未来の子達は軽く頭を下げた。

「とり急ぎではありましたが…お贈りした楽譜の件で、何か、不備などありましたか?」

指揮者先生が先に話を切り出した。気持ちが急いていたからである。

「とんでもない!すばらしい楽譜を何枚もいただいて、心から感謝していますよ。今日は、お礼と心ばかりのお返しをと思いまして楽譜をお持ちしたのですが、出直した方がよろしかったですか?」

先生はオリオンのハカセ君らが、白い浮輪図案が中央に入るネイビーの縦帯という、ひと目見てよくアリの『泉屋のクッキー詰め合わせ缶』の紙袋を両手に一つずつ、重たげにブル下げているのを見て、

「いや、余裕を持って出ようと思っていたので、立ち話で良ければ、かまいませんよ。」

と言葉を返した。ドアの隙間から、この様子を目にしたアオケン君たちは、また一大事かと、ぞろぞろ外へ出てきた。

「ところで、この団員さんたちがお持ちの重そうな手提げは、先日こちらで拝借した機械ではありませんか?これからお仕事に行かれるんですよね?」

アオケン少年はやっぱり来たかと故意に視線を逸らした。

「いや、これは時間を移動するための未来の装備なんです。」

と、先生が応じる。

「音楽や合唱とは全く関係ありません。」と斉藤なつきが念押すように言い添えた。

「で、今日これからこの子達を未来へ返すのに使いたい。見なかったことにしていただけませんか?」

未来の2人は装備がヘビーでオリオンの指導者を見て直立したままわざとらしくニヤッとした。森村が言った、

「お願いします。僕らが帰りたい未来では、オリオン少年合唱団のこと、”海賊”とか”楽譜ドロボウ”って呼ぶのは、失礼っていうかハラスメントにあたります。」

御堂も軽い口調で、

「んでもって、ボクたち2人の少年宇宙研のグループのメンバーが、大親友なんですけど、オリオン少年の団員なんですよ!山本哲平っていう、高い方のメゾソプラノ!”ナチュラル・ピュアなボーイソプラノ”とかなんとか、そいつ、合唱団でキャッチフレーズ付けられてるらしくて…」

「そ、そのキャッチフレーズは…」

オリオン指導者が右手人差し指を子供達に向けて驚いた。

「おじいちゃんもオリオンの団員だったって言ってました。」

「なんだっけか、山本ケンイチだったけ?あいつの、おじいちゃんの名前…」

「”ナチュラル・ピュアなボーイソプラノ”山本健一は、うちの合唱団のソプラノのトップソリストだが、なんであいつのことを知っている?」

「だから、それは…」

「オレら、タイムトラベルしてきたって言ってんじゃん。人の話、聞いてねぇなぁ。」

御堂がラフに話し始めたので、指揮者先生がそれをさえぎった。

「…どうでしょう?今後も私たちの合唱団とおたくの団は楽譜の融通を相互にしあって歌っていくというのは?ステージMCで『オリオン少年合唱団のアーカイブ提供で、何某と言う歌です』といった原稿を入れていってもいい。だから、今日のことは黙っていてもらえませんか?」

「ありがたい。これで望みが一つ叶う。お礼と言ってはなんですが、これ、みなさんでお召し上がりください。それから、当団でコレクションした楽譜をいくつか…。そうだ!この中には…」

ズッコケ三人組がそれぞれ泉屋のホームメードクッキー缶とちょっとしたファイルを入れた無地の紙袋を差し出した。

「”ナチュラル・ピュアなボーイソプラノ”山本健一と、ここにいるアルトのこの子が2重唱をとる『村の道ぶしん』を含んでおきました。」

三人組のモーちゃんがぺこりと頭を下げた。

「市販でネット通販もされている私立学校の歌集に入っている古い楽譜なんですが、岡本敏明の編曲が光ってましてね、最後の2段の掛け声を2部で歌うんですが、子供に歌わせるとかなりキレッキレの明るいフレッシュな音が鳴るんですわ。どうか皆さんで楽しんで歌ってみてください。それでは、私たちはこれでおいとまします。」

 

……………

 

おかあさん

ぼくたちの乗る船は、まだデルタ宇宙域中央部セクターから抜け出ていません。

危険領域内なので、僕たち子供も毎日、退避訓練が欠かせません。

脱出ポッドの中の爆破ボルトの場所も押した時の感触も覚えてしまったくらいです。

この間は、合唱団の練習の最中にアラートが来ました。

中梅君と2人で二重唱を歌っていた最中だったので、悔しくてしかたありません。

おかあさん

ずっと前、中梅君が家に来た時、

「僕、中梅君みたいな弟がほしいよ。おかあさん、作って。」

と頼んだら、おかあさんが

「いいよ。でも、弟ができたら、きみが弟みたいに大切にしてる中梅君の方、どうする?」

と、聞いてきたので、ぼくはとってもつらい気持ちになりました。

もう2度とあんなことは言いません。

僕たちの船を守ってくれる護衛艦、USSジョーディ・ラ=フォージには面白い艦載AIがいます。

こないだは休憩時間にずっと合唱の話をして、いっしょに歌も歌ったんです。

遠い遠いところを航宙する僕たちですが、そういうわけでちっともさびしくありません。

また亜空間通信します。おやすみなさい

 

「こいつ、きっとデルタ宇宙域で中梅先輩と二重唱するんだろなぁ。曲は多分『村の道ぶしん』だぜ。ウラヤマCィー!」

森村ブラッド満は、そう言いながら胸の前で右手を使って「C」の文字を作って見せた。

「ねぇ、前から思ってたんだけど、『道ぶしん』って、ハクビシンの同類?証城寺のタヌキ的な?」

「え”!おめぇ動物と思って歌ってたのかよ?『道ぶしん』って言うのはァ、道路を修理したり、作ったりするコトだよ。限界集落とか、高度経済成長期にできて老朽化で閉鎖されちゃった交通インフラとかを直すボランティア…」

「あー、結構、今っぽい歌なんですねぇ。」

「バカか!」

少年宇宙研の三人組は、あまり明るくはない第8衛星のぶっきらぼうな断崖の画像を見ながら、ウォーターサーバーから作りたての水道水(?)を落として飲んでいるところだった。

 

土をはこび 草を刈りて

われらは励む

われらの村の道ぶしん

村のために 国のために

つくしたるわれらの年寄りの歩みやすかれと

朝な夕な われらは励む

われらの村の道ぶしん

エンヤラホイ ヤレホイ ヤレホイ

エンヤラホイ ヤレホイ ヤレホイ

 

そういうわけで、ここにいる3人とも『村の道ぶしん』を合唱することができるし、二重唱でステージパフォーマンスにのせることも可能だ。森村の唯一の心残りは、この曲のソプラノ側を♪ミファソーラミソー…ファファミ、ミファソーラミソー…と歌いつぐ、中梅煋次朗らしい音吐を目前で聴くことができなかったという贅沢極まりない口惜しさだった。

「ねぇ、山本君。大昔のオリオン少年合唱団は、”海賊”でも”楽譜ドロボウ”でもない、良い子たちだったよ。」

「そうだろう?俺のじいちゃん、コノ曲をソロで歌ってたんだから。会って歌声聞いて帰って来りゃ良かったんだよ。残念!」

時間規約のローカル第4条は「過去の出来事にあまり思い悩まない。」であることを、森村は突然思い出した。

 

 

「先生ぃー、オレらの仕掛けたバースデー・サプライズ・パーティーに、あんまし驚いてなかったですね?」

中梅煋次朗が少しだけ不満そうに、指揮者先生へ向かい、左のゲンコツを体の前へ伸ばして可愛いパンチの真似事をした。

「だいたい事前に知ってたからね。…それに、みんなと一緒に『希望の虹』と『星に願いを』どうしても歌いたくなったんだ。」

タイムスリップを知る団員たちが集まり(つまり、彼らは先生の誕生会の仕掛け人だ…)、事務室の1.5オンス紙コップへ、ウォーターサーバーから水を注いでささやかな乾杯の音頭をあげたところだった。

「次は、『ピノキオ』の映画鑑賞会でもいいですよ。」

加賀協太朗が提案する。

「でも、なっちゃん、まさかオリオンのくれた楽譜の中に『アイアンシャープ』が入ってたなんて、うまく出来すぎじゃねぇ?」

「歌詞を見てビックリ!ウチュウのカイソクセンだなんて!」

「ま、映画で歌ってるのは男の子だけで、上高田少年合唱団がアテレコしたってウワサだから、オリオン少年合唱団のレパートリーに入ってても不思議じゃないでしょ?」

 

僕らの夢が 

朝陽を浴びて 空に描いた

アイアン アイアンシャープ

僕らの夢が こだまする

宇宙を駆ける 快速船

ハヤテのように駆け回り僕らの敵をやっつける

アイアンシャープ アイアンシャープ

アイアン アイアン アイアンシャープ!

 

ニュー東映の『宇宙快速船』のラストシーンは、男の子たちが高らかにこの歌を唄いながら、長沢浄水場配水地・人工地盤の噴水立つ近代庭園で、明朗に行進するというものだそうだ。

『ピノキオ』映画鑑賞会の次の回の上映演目は、おそらく『宇宙快速船』になることだろう。

 

All homages to

Star Trek: Strange New Worlds, 

Season 2 (2023)

 "Those Old Scientists" 

written by Kathryn Lyn & Bill Wolkoff

and adaptation.

 

スタートレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン2『大昔のサイエンティスト』翻案

および

心からの感謝と敬意を込めて

 

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