裏那須から三本槍岳へ | 気ままにアウトドア

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2024年6月29日

 

 

関東地方も梅雨入りしてから早や10日

連日はっきりしないお天気続きで

この週末の山行は諦めていたのだけれど

運良くこの日は梅雨前線が途切れて

貴重な梅雨の晴れ間となった

急遽、予てから気になっていた那須岳の

鏡ヶ沼ルートを辿ってみました

 

 

 

 

何時ものように前夜に現地入り

会津下郷町の観音沼森林公園駐車場で車中泊

翌朝、林道を通行止め地点まで詰めて

駐車スペースへ車を停車

5:51

身支度をして車を出発

先ずは残りの林道を歩き出し

直ぐにヨロイ沢の橋を渡る

この橋、老巧化の為に渡れるのは歩行者のみ

一見、素人目には何でもなさそうだが

車は通れなくなってしまったようだ

6:18

その林道の終点へと辿り着く

 

 

 

その先にも幅広の道は続くが

如何やら林道ではなく

”松川街道“という古道のよう

その古道を暫く辿ると

6:34

鏡ヶ沼への分岐点へと辿り着く

ここを鏡ヶ沼方面へ

 

 

 

道はカラマツの植林地に付けられた登山道

キレイに刈払いもされて歩き易い

昨夜の雨で草露道を想定して

ゲイターを着けて来たけれど

そんな必要はなかったようだ

 

 

 

真っ直ぐなカラマツの樹々には

幾つものツルアジサイが絡みついて

今がちょうど花の真っ盛り

道々に現れる

背の高い紫陽花ツリーを仰ぎ見ながら

緩々と道を辿って行く

 

 

 

カラマツ林から広葉樹の森へと移ると

道は幾分傾斜を増して

涸れ沢の中へと入って行く

昨夜の雨でしっぽりと濡れ曽ぶれた

大小の岩間に続く踏み跡を辿ると

一本のコケイラン

運良く刈払いを逃れられたのか

貴重な花だった

 

 

 

そんな涸れ沢の道を登り上げると

開けた笹原へと躍り出る

 

 

 

こちらは明るい初夏の日差しが燦々

右手を仰ぎ見れば

下山ルートに使う予定の県界尾根

青空に深緑のスカイラインがうねり

後方へとなだれ落ちて行く

 

 

 

そんな景色を楽しみながら

笹原の道を辿ると

道は緩やかに下りだして

7:29

鏡ヶ沼へと辿り着く

前回、県界尾根から見下ろして

何時かは訪れてみたいと思っていた場所に

遂にやって来た

岸辺に立ち対岸を見やれば

緑の須立山がせり上がり

僅かにさざ波はあるものの

水面に映る景色は神秘的な美しさを見せる

当に鏡の名の如く

山上の池は静かに水を湛えていた

 

 

 

ここで休憩がてらエナジー補給をして

沼の西側へ回り込めば

水面に迫り出す樹々の枝葉には

モリアオガエルの卵塊が幾つも見られる

 

 

 

道はここから稜線へ向かって

急傾斜で登って行く

おまけに刈払いは沼の畔で終わってて

酷い笹被り状態になった

北那須のマイナールートと思えば

珍しい事ではないが

昨夜の雨の雫がたっぷりと纏わり付いて

全身ずぶ濡れになってしまった

 

 

 

気温の高いこの時期

ひんやりとして心地いいなどと

能天気に構えて笹被り道を登り上げると

8:17

稜線の鏡ヶ沼分岐へと辿り着く

 

 

 

分岐点から先程までいた鏡ヶ沼を見下ろせば

当に鏡の如く空を映して

怪しい水色を魅せている

 

 

 

分岐点から須立山へ縦走路を辿る

道は気持ちの良い稜線道

頭上の雲量は少しずつ増し始めてはいるが

まだまだ陽射しが燦々

笹被り道で濡らしてしまったウエアだが

僅かな時間で急速に乾いて行く

今時の吸汗速乾ウエアの性能は

驚くほど優秀だった

 

 

 

8:35

須立山へと辿り着く

標高は1720mと然程でも無いが

ここは中々の展望地

 

 

 

北方にこの冬登った

ピラミダルな甲子旭岳を見て

 

 

 

西には一昨年辿った裏那須の大倉三山

 

 

 

そして南方には

この山塊の雄、三本槍岳が望める

 

 

 

東方には阿武隈の山々が見える筈だが

残念ながら雲量が多くて見えず仕舞い

その代わりと言っては何だが

山頂には可愛いマルバシモツケが

幾つも咲き出して

未踏ルートの踏破に彩りを添えてくれた

 

 

 

山頂から分岐点へと往路を戻る

路傍にはフワフワの玉のような石楠花の花

そして右手には鏡ヶ沼を見下ろして

 

 

 

鏡ヶ沼分岐点へと戻れば

ここから三本槍岳へは登り返し

相変わらず路傍に花を見つけては

カメラを向けながら緩々と登って行く

 

 

 

途中、砂ザレ場に差し掛かると

道は斜度を増しキツイ登りになる

だが、その登りも長くは続かず

直に傾斜を緩めて

右手に大峠への道を分け

正面に山頂が大きく近づいてくる

 

 

 

辺りの樹々はすっかり背丈を落として

ハイマツとドウダンツツジなどの灌木類

そこを舐めるように涼やかに風が渡って

背中を押してくれる

 

 

 

10:02

三本槍岳の山頂へと辿り着く

 

 

 

山頂には多くの登山者たち

流石は人気の百名山だ

ここで何時ものように展望写真をと

想定して登って来たが

雲量がすっかり増して

間近な南那須の峰々も見えぬほど

 

 

という事で展望は諦めて

手短にエナジー補給をして

賑やかな山頂を後にする

下山は大峠コース

山頂から一段下がると

再び静けさが戻ってくる

やっぱり山は静かな方がいい

相変わらず道端に花を見つけては

カメラを向けて

マイペースで下って行く

 

 

 

10:40

大峠への分岐点まで戻って来た

ここを大峠方面へと下る

道は県界尾根上に付けられて

中々見晴らしが良い

右手には先程の鏡ヶ沼と須立山が

ジオラマのように見下ろせて

それを眺めながら

緩々と高度を落として行く

 

 

 

道端の灌木にも花が咲く

 

 

 

県界尾根は幾度かの緩急を繰り返し

更に高度を落として行き

 

 

 

大峠が間近に俯瞰されれば

いよいよ最後の大下り部分

登山地図には花マーク

普通ならお花畑なのだろうが

やはりこの地も鹿の食害で

それは過去のものになりつつある

それでも僅かに残った花を見つけては

カメラを向ける

先程から抜きつ抜かれつのソロ女性

如何やら彼女も花が好きなようで

同じように花を撮っている

訊けば登山は二年目なのだとか

今が一番楽しい時

花を愛する素敵な登山者に

育ってくれたらと思う

 

 

 

11:50

大峠へと下りて来た

ここは裏那須の縦走路と松川街道の交差点

傍らにはお地蔵様が祀られて

古の街道を彷彿とさせる

嘗て会津の入口であった大峠

ここには戊辰戦争時の塹壕や

砲台の跡が残るというが

それがどれなのか?

知る術は無い

 

 

 

先程のソロ女性

ここから三斗小屋経由で

峰の茶屋へ戻るという

見かけに依らず中々健脚な方だった

 

大峠から松川街道を北へと下る

所々荒れてはいるが

今ではガレ道とも思える石畳も随所に残り

概ね歩き易い道が続く

 

 

 

街道の右手にはこんもりとした土饅頭

これは現存する一里塚

こんな風に標石があれば分かり易いですね

 

 

 

その一里塚から僅かに下ると

12:20

今朝通過した鏡ヶ沼入口へと辿り着く

後は往路を戻るだけ

林道終点を過ぎると

道は更に歩き易くなって

12:44

車を置いた通行止め地点へと到着です

 

 

 

自身未踏だった鏡ヶ沼ルートに足跡を記して

今回も充分に楽しめた山旅でした

那須には未踏ルートがまだ幾つか

三斗小屋温泉も魅力的

那須にはまたいつの日か

訪れる事でしょう