白馬岳(その二) | 気ままにアウトドア

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  自然の中を流離う

2024年6月20日

 

 

(その一)からの続きです

 

 

 

 

日差しで緩みだした雪渓を緩々と辿ると

前方に頂上宿舎が見えてきた

稜線はあの上

もうひと頑張りだ

だが、標高は2650mを超えて

呼吸は高まる一方

大きく息を吸い込んでも満足感はない

 

 

 

その息切れを抑えるように

幾度も立ち休みを繰り返し

ゆっくり歩調で登って行けば

漸く夏道部分へと辿り着く

目の前には廃枕木の木階段

そこに腰掛けてエナジー補給しながら

アイゼンを外す

 

 

 

雪が無くなると

途端にじりじりと暑いばかりだが

再び花たちが姿を現して

少しばかり癒しを与えてくれる

 

 

 

頂上宿舎の直ぐ下まで来るとお花畑が現れる

まだどれも咲き始めという感じで

華やかさにはほど遠いが

質素ながらも充分に楽しませてくれる

 

 

 

そのすぐ傍にはシナノキンバイソウ

芽吹きの早い株が蕾を膨らましてました

 

 

 

11:39

その白馬岳頂上宿舎前を通過

小屋からは何か物音も聞こえて

小屋開け作業の真っ最中という雰囲気

 

 

 

そこから稜線へは意外に急登

相変わらずの息苦しさの中

ゆっくり歩調で何とか稜線へと登り上げて

 

 

 

稜線通しに山頂を仰ぎ見ると

何と、ガスが懸かり始めてるではないか

ま、山あるあるだけれど

もう少し待って欲しかった

「ここまでドピーカンだったのに」と

ちょっと悔やまれる

 

緩やかな稜線道はお花畑の中

鮮やかな紫のオヤマノエンドウや

黄色が眩しいミヤマキンバイ

そんな原色の花に混じって咲くのは

渋い色合いのチシマアマナと

むっちり逞しそうなウルップソウ

 

 

 

そして今回の目的の花ツクモグサ

想像していたよりも沢山咲いてる!

八ヶ岳のツクモグサは

険しい岩稜にへばり付くイメージで

中々近付いては見れないが

ここでは緩やかな斜面に

伸び伸びと生えている

それも登山道のすぐ傍に幾つも

何か拍子抜けするほど間近にあって

存分に愛でる事が出来る

緩やかな砂礫の道を辿りながら

一つ一つ花々を巡っていると

本来ツクモグサはこんな場所が

自生地なのかも知れないと思えてくる

氷河期の後退で高山に取り残された植物たち

八ヶ岳の場合は険しい岩場だけが

残された生き場所だったのかもですね

 

 

 

念願の白馬岳のツクモグサを存分に見れて

すっかり満足となったのですが

一応、山頂も踏んでおきましょう

12:25

白馬山荘前を通過

この辺りから頭上を覆う雲が増し始めて

何やら怪しい雰囲気となってくる

 

 

 

そんな空模様の中

ザレザレの砂礫の道を辿って行くと

こちらにもツクモグサがありました

如何やらここでは

ツクモグサが一番早く咲き出す花のよう

他の植物たちは芽吹き出したばかりでした

 

 

 

そこからザレ道をひと登り

12:47

白馬岳山頂へと辿り着く

自身六度目の白馬岳山頂です

 

 

 

で、山頂はすっかり雲の中

辛うじてすぐ傍の旭岳が望めるだけでした

ここで独りランチ休憩をとって

山頂を後にする

直ぐに降り出しそうな雲ではないが

時間も押しているしで

下りの歩調は急ぎ足

 

 

 

白馬山荘前を通過して

お花畑の道まで下りて来ると

目の前に現れたのは

二羽の雄ライチョウ

如何やら縄張り争いの最中で

追いつ追われつで目の前を走るように横切って

その様子を辛うじて一枚カメラに収める

やはり動きの速いものは難しい

 

 

 

13:30

稜線道から頂上宿舎へ下ると

往きには気付かなかった

ウルップソウのお花畑

意外に見ているようで見てないものです

 

 

 

頂上宿舎から夏道をトコトコと下りて

廃枕木の階段でアイゼンを装着

小雪渓を下りだすが

往きでキレイに見えていた杓子岳

今はすっかり雲に覆われてしまってる

 

 

 

避難小屋近くまで下りてくると

雲を背に天狗菱が尖った姿を現す

揺らめく雲底が上昇し出したようで

如何やらこの雲は一時的なものらしい

そう云えば昨日の予報では

「晴れ一時曇り」とあったような気が・・・

とにかく降られなくて良かった

 

 

 

小雪渓は中程から斜度を増す

上から見下ろすと

ほぼ垂直という感じに見える

下りでは更に慎重を期して

一歩一歩を確実に決めながら下って行く

こんな所で滑落だなんて

シャレにならないですからね

 

 

 

何とか夏道の出ている小尾根に下りて

ホッと一息

アイゼンを外して九十九折の夏道を下る

ここでも往きに気付かなかった

シロウマアサツキを見つける

これが葱平(ねぶかっぴら)という

名前の由来となった植物で

花はまだ蕾状態

ネギ坊主になる一歩手前という感じ

 

 

 

そしてその傍にはミヤマアワガエリ

平地で見るネコジャラシや

スズメノテッポウに似ている

 

 

 

更にシナノキンバイソウやシロウマオウギ

上りと下りでは目線が違う為か

同じ道でも違う花を見つけることが出来る

 

 

 

15:00

葱平まで下りて来た

ここで再度アイゼンを装着して

大雪渓を下りだす

先程の小雪渓から比べると

かなりの緩傾斜に感じるが

それなりの斜度はある

標高も落ちたせいか

呼吸もすっかり楽になって

足の運びも快調だ

 

 

 

時折背後を振り返り

落石が無い事を確認しながら

ベンガラの標すラインを辿って

16:03

大雪渓の末端まで下りて来た

登りは2時間20分もかかったが

下りは1時間ほどだった

雪渓歩きは単調だけれど快適な道

登山ルートとして使われるのは納得できる

ここからは緑滴る登山道

辺りはすっかり初夏の装い

再び花々を愛でながら

 

 

 

歩き易い道を下って行けば

 

 

 

タニウツギやキヌガサソウが路傍を飾り

水気を好むオオバミゾホオズキも

足元に群生を見せる

 

 

 

登山道から林道へと下り立つ

背の高いミズキの木に白い花が咲き

蜜を求めて虫たちが集まっている

そのミズキ越に小蓮華山が仰ぎ見れる

先程のあの雲は何だったのかと思うほど

稜線がクッキリ

本当に山の天気は気まぐれだ

今朝は蕾だった道端のヤグルマソウ

花が少しだけ咲き出していた

 

 

 

林道から再度登山道へ

ここでも今朝は気付かなかった

ショウキランを見つける

この花は神出鬼没

見たいと思っても中々出会えない花

ここで出会えてちょっと嬉しい

 

 

 

最後にご褒美を貰った気分で

猿倉荘脇の登山口へ下り立ち

 

17:00

登山者駐車場へと到着です

 

 

 

白馬岳のツクモグサ想像以上に良くて

思いの外楽しむ事が出来ました

 

小屋開け前のこの時期

ルートもまだ手入れ前の状態で

特に小雪渓の登下降には

ピッケルの使用がお勧めです

また、雪道に不慣れな方の入山は

小雪渓の雪が消えるのを

待ってからが良いでしょう

勿論、大雪渓の登下降には

軽アイゼンの装着がマストです