会津駒ヶ岳と中門岳 | 気ままにアウトドア

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2024年4月28日

 

 

気温が高めで推移して来た今年の春

一度寒の戻りがあったものの

GWに入ってもその傾向は変わらずで

まだ4月だというのに

この日は真夏日を記録

今年は小雪と嘆きながらも

少なくなった残雪に涼を求めて

山深い福島県南部

奥会津の駒ヶ岳を訪れてみました

 

 

 

 

 

今回も前日に現地入り

GW前半の三連休という事もあり

ゆとりある時間と混雑忌避を考慮して

埼玉から一般道オンリーでアプローチ

群馬県みどり市からR122で日光入りし

更にR121を北上して福島入り

その後はR352に乗り換えて檜枝岐村へ

駒ヶ岳登山口への林道は

一昨日の時点では通行止めでしたが

翌日(27日)には解除されたもよう

難なく登山者駐車場へと

辿り着く事ができました

自宅から実に200㎞のロングドライブ

この日はここで車中泊

 

翌朝、身支度をして

5:20

駐車場を出発

舗装された林道のカーブを二曲がり

見覚えのある階段の登山口へと辿り着く

初めて会津駒ヶ岳へ登ったのは07年9月

今回で四度目になるが

この階段を見ると

あの当時のまだ見ぬ頂きへ向かう

新鮮な心持ちが思い出される 

 

 

 

その登山口の急な階段を上ると

道は傾斜もほぼそのままに

ジグを切りながら斜面に続いている

出だしから息が上がるが

こまめに立ち休みを繰り返して

呼吸を整えながら上部を目指す

 

 

 

朝の早いこの時間

気温はまだ一桁台半ばのはずだけれど

早くも身体が火照りだしてきた

ここで早くもウエア調整

メリノのウエア一枚になる

その間、幾人もの登山者が追い越して行く

ここは人気の百名山

今日は登山者が多そうだ

 

 

 

快適になって登行を再開

だが、一人二人と若者たちが追い越して行く

今さら先を競う気も無いが

歳と共に衰えて行く体力に

切なさを感じないわけではない

こうして好きな山を歩くには

其れなりの体力は必要なものだけれど

自然の移ろいを感じながら

ゆっくりと頂きを目指すのも悪くはない

そんな事を思いながら

マイペースで歩を進めて行けば

冬枯れだった樹々の中に

タムシバが其処かしこに花を開き出して

オオカメノキも蕾を伸ばし始めている

この森にも漸く春がやって来たようだ

 

 

 

6:00

標高1315mまで上ると残雪が現れる

だがそれは森の中の一部のみ

朝日の中に相変わらずの落ち葉道が続く

上るにつれて林相は

ブナの比率が増してくる

 

 

 

残雪がぽつりぽつりと

離れ小島のように存在していたが

6:35

標高1516mまで上がると

漸く雪が繋がった

辺りは相変わらずの美しいブナ林

 

 

 

その樹間を縫うように

緩んだ雪面にトレースは続く

そこを忠実に辿ってはいるのだが

何せ春のザラメ雪

ツボ足登行には少し効率が悪く

ここでアイゼンを装着

序にエナジー補給を済まして

登行を続ければ

7:55

まるで山腹に線を引いたように

辺りはシラビソの森へと切り替わる

植林地なら兎も角ここは天然林

これ程ハッキリと棲み分けるとは

自然の姿には驚かされるばかりだ

 

 

 

そんな樹林の切れ間に

燧ヶ岳が姿を見せる

雲の無い青空を背景に

端正な双耳峰が美しい

 

 

 

シラビソの森はやがて背丈を落として

見通しの良くなった雪原の先に

駒ヶ岳の山頂が見えてくる

 

 

 

更に雪原を登れば

樹林はすっかり姿を消して

左手にスッキリと燧ヶ岳と至仏山を望み

 

 

 

正面の壁のような雪原を登ると

8:51

駒ノ小屋へと辿り着く

 

 

 

小屋前のベンチでは

登山者たちが其々に

休息の時を楽しんでいるが

まだ時間が早いという事もあり

ここでは休まずに山頂を目指す

その山頂は小屋の北方

緩い傾斜の雪面の先に見えている

 

 

 

サクサクと軽快に雪を踏み

ゆっくりとトレースを辿る

無雪期はこの辺りはお花畑だったかな?

微かに残る記憶の扉を開けて

白い雪原をスクリーンに見立て

記憶の絵を投影してみる

幾つもの池塘にはミツガシワが咲き

コザクラやチングルマの花が揺れる

アナログのVARは

リピーターの密かな楽しみでもある

 

直下の幾分傾斜を増した斜面を登ると

9:13

駒ヶ岳の山頂へと辿り着く

頂標は半分ほど露出

例年ならすっぽりと埋没しているのだが

これは小雪ならではの光景だった

ただその分、視点が低くなって

展望には樹木が支障になり気味でしたが

 

 

 

では、その何時もの展望写真を

今回は西方から反時計回りで

 

 

 

樹木を避けて山頂を一回り

何とか展望写真を撮り終えて

まだ時間もある事だし折角ですから

中門岳へと足を伸ばしてみることに

 

山頂から中門岳へは

緩やかなアップダウンを繰り返す

気持ちの良い尾根道

 

 

 

途中、左手に尾瀬の峰々を眺めて

 

 

 

小さな高まりを二つ乗り越えて

緩っと下った雪原に

中門岳の頂標を見つける

無雪期ならばここは池塘の畔

木道とワタスゲと鏡のような水面

記憶の扉は簡単に開いてしまう

 

 

 

そこからひと登り

10:07

中門岳の最高点に辿り着く

目印となる物は何もないが

一番の高まりを最高点として

北方の展望を楽しんでみる

未だに辿り着けていない毛猛山

遠く飯豊連峰も見えている

 

 

 

さて、往路を戻るとしましょう

辿ってきた尾根を緩っと登り返し

二つめの高まりでランチ休憩をとる

正面には平ヶ岳や越後駒ヶ岳

贅沢な景色は

何物にも代えがたいスパイスとなって

惣菜パンも格別な味に変貌する

 

 

 

11:31

駒ヶ岳山頂まで戻ってきた

もう登る事は無く下るのみ

 

 

 

正面に日光の山並みを見据えて

日差しで緩くなりだした

雪の斜面を下って行く

 

 

 

復路では

駒ノ小屋を巻くトレースを選択

膝への負担が少ない雪斜面の下り

面白いように高度が落ちて

気付けば山頂は見上げるほどの位置に

 

 

 

程なくしてトレースは

疎らな樹林帯へと入り込み

 

 

 

更に高度を落としてシラビソの森

頭上の高みに嘗てのルートの目印を見る

雪面から4~5mはあるだろうか?

嘗ては今より

3~4mは積雪があったのだろう

暖冬が続く現代では

要を成さないほどの高さだ

因みに下向きの枝から想像できる

積雪量を写真に線で記してみた

如何に雪が少ないかが分かると思う

 

 

 

林相はシラビソの森からブナ林へ

シャバシャバの腐れ雪の道も

何時しか乾いた落ち葉道へと変わって

今朝は半開きだったタムシバも

花びらをキレイに開いて

 

 

 

九十九折の坂道を下って行けば

遠く微かに沢音が聞こえだして

あの階段の登山口へと

無事に下り立つ事ができた

林道沿いには

今朝は気付かなかった

スミレやエンゴサクの花が咲いて

 

 

 

13:46

登山者駐車場へ到着です

 

 

下界では真夏日を記録したこの日

残雪の山上はさぞや涼しいかと思いきや

風も無く雪面からの照り返しもあって

雪山でも其れなりの暑さでした

夏至まではあと50日あまり

陽射しの強さはかなりのもの

日焼け止めケアは必須事項ですよ