2023年2月23日
今年お初の谷川岳
今回も西黒尾根を辿って山頂を目指します
自身の中では
ひと冬に一度は西黒尾根を訪れるのが
恒例のイベント
今冬も期待通り危うくも美しい姿を
随所に魅せてくれました
今回も何時ものように前夜に現地入り
ベースプラザ一階駐車場で車中泊
この夜はこの時期としては珍しく
外気温は+1℃
この時期こんなに暖かい夜は初めてでした
翌朝、身支度をして
6:28
ベースプラザを出発
車道を歩いて谷川岳登山指導センターへ
ここで登山届を投函して
奥の平地でアイゼンを装着
傍らの雪の急斜面に続くトレースに取り付く
登りだしは真っ直ぐに伸びる
サワグルミ林の中
夏道ならば幾度かジグを切って登るのだが
この時期のトレースは直登状態で続いている
まあ、出だしからハイペースで登る事もないと
セーブ気味に登っていると
後から来た数人が足早に追い越して行く
やはり若さには敵わないな
トレースは見覚えのある
大きなトチノキの傍を通って上部へと続き
そこをマイペースで登って行く
7:15
最初の目印ポイント
鉄塔前を通過する
その鉄塔周辺はケーブルを守る為
樹林が切り開かれていて
白毛門を仰ぎ見れる
今朝は生憎の曇り空
まるでモノクロ写真のようだけど
予報では昼頃から晴れるとの事だ
そんな予報を期待しながら
鉄塔前から順調に高度を上げる
尾根は徐々に狭まりだして
南側には樹林内雪庇が発達する
雪の多い脊梁山脈ならではの光景だ
そしてその雪庇の風上側には
ノリウツギの花殻が姿を見せる
強風で雪が飛ばされて
露わになったものだろうか
8:08
1140m地点までやって来た
ここは西黒尾根を登ってきて
初めて山頂が仰ぎ見れる場所
ですが、頂きはまだ雲の色に同化していて
谷川岳はイマイチの見映え
そこからひと登りして
南側が開ける場所に出る
そこからは武尊山
こちらもやはり今一つの眺望だ
更に登ってブナの樹の美しい広尾根に出る
ここまで来れば
ラクダの背手前のクサリ場は近い
9:31
そのクサリ場直下へやって来た
ここでストックをピッケルへと持ち替えて
その斜面に取り付くが
今日は安定した雪が確りと付いていて
登るのは楽勝だった
そのクサリ場を攀じると
その先は瘦せたナイフリッジ
両脇がスッパリと切れ落ちて
南側には雪庇も発達している
そしてここからは
遮る物もなく山頂が仰ぎ見れるのだが
幾分、雲は薄くなったけれど
相変わらず頂きは雲に同化している
青空が覗くのはまだ南西の空のごく一部
早くこちら側へ広がって来ないかな
一方、登って来た尾根を見下ろせば
うねうねと爬虫類の背中のように
湯檜曽川へと雪崩れ込んでいる
そんな風景を眺めていると
ドーン ドドド・・・・
北側のマチガ沢から
雪崩の轟音が聞こえてくる
直ぐさまそちらに目をやると
ちょうど東尾根の雪庇が崩れ落ちて
枝沢を流れ下っているところだった
案の定、今日のこの気温では
雪庇崩壊が起こると思っていたが
現実に目の当たりにすると
この先に続く雪庇上部の通過には
より一層の注意をせねばと
気を引き締めさせられる
アップダウンを繰り返しながら
暫し瘦せた尾根を辿ると
前方にラクダの背が見えてくる
期待通り西の空から青空も広がって来た
9:58
そのラクダの背へ辿り着き
四周の眺望を暫し楽しんでみる
写真は山頂方向から時計回りに掲載
↓
ラクダの背からラクダのコルへ下る
この尾根唯一の楽ちん下り道
だがしかし、雪山はそんなに甘くはない
南側には発達した雪庇の列が続き
至る所にクラックが開いていて
何時、崩落が起きてもおかしくない状態
既に付けられたトレースも
信用出来るとは限らない
ヤバそうと思う部分は
新規にトレースを刻み直しながらの
緊張を強いられた下り道だった
ラクダのコルからは再び登り返し
この尾根一番の急勾配が始まる
ピッケルを突き刺して前爪を蹴り込む
順調に高度を稼げる部分だが
四肢を駆使する為か
これが意外にキツイ
数歩登っては立ち休みして
一頻り登っては呼吸を調える
大分登って来たかな?と振り返れば
ラクダの背がまだ意外に近くにあった
本当にここは手強い壁だ
上部を仰ぎ見れば
雪壁の先に空が見えるだけ
G、レビュファではないけれど
天国への階段を登っているような気分
ここでは辛さは忘れて
能天気に雪壁登攀を楽しまなきゃだ
そんな厳しい雪壁部分を無事に登り切り
緩やか傾斜の尾根に乗る
だが、ここもやっぱり雪庇の列が続く
能天気に眺めてみれば
美しい雪の造形なのだけれど
秘めた危うさは測り知れない
そんな瘦せた尾根を一頻り登ると
安定した尾根に乗り
前方にザンゲ岩が見えてきた
山頂も大分近づいてきたぞ
登って来た尾根を見下ろせば
白く優美な尾根線が美しくて
繁々と眺め入ってしまうが
ここは言わずと知れた
日本三大急登の西黒尾根
そう簡単には
頂きへと到達させてはくれない
一先ず目指すは目前のザンゲ岩か
重たくなりだした脚を振り出せば
目標は一歩一歩近づいてくるものと
半ば修行僧のような心持ちになって
11:30
漸くザンゲ岩に辿り着く
だが、ここは単なる通過点
まだ先がある
しかし、ここまで来れば
後は稜線までひと登りの筈
疲れた身体に喝を入れるべく
大きく深呼吸をして
最後の急登斜面に取付いた
(その二)へ続く





























