2022年11月12日
今年三度目の谷川岳です
今回は南麓の谷川温泉から頂きへ
日の短いこの時期としては
ロングコースになりますが
何せ谷川温泉付近はヤマヒルの生息地
それを避けるにはどうしても
この寒くなったこの時期が
狙い目となってしまいます
往路は谷川から中ゴー尾根へ
復路は天神尾根と奥之院古道で
周回してきました
何時ものように前夜に現地入り
谷川温泉付近の路肩に
空きスペースを見出して車中泊
翌朝、身支度をして
6:15
車を出発
先ずは谷川温泉の温泉街を抜けて
6:25
奥まった谷川沿いの登山口へ
入口にはヤマヒルに対する注意書きと
他にもこんな注意書きが
↓
ま、以前からずっと掲示されているのですが
近年の荒ぶる気象続きで
復旧に手が回らないのでしょう
道は左手に谷川の流れを見下ろして
緩々と伸びている
真新しい落ち葉が積もり
それをサクサクと踏みながら
気持ちの良い道を辿って行く
辺りを彩る樹々はカエデの類
他の樹々は既に葉を落として
主役の座を託してるかのよう
入り口の警告板の表記にあった
崩れた橋までやって来た
前回来た時はまだ辛うじて
床板が保たれていたのだけれど
あれから9年の歳月が経ち
床板はすっかり腐れ落ちてしまっていた
ここは沢床まで下りて涸れた沢を渡る
7:17
このルートの難所の一つ
”牛首”までやって来た
ここは通常、左岸の岩場に付けられた道を
ヘツリながら通過するのだが
なんと、すっかり川床が露になっていて
河原の中を通る事が出来たのだ
あの青々とした淵の水は何処に?
チョット拍子抜けする牛首通過だった
という訳で河原を抜けて
左岸の道へと復帰すれば
大きな樹が目の前に現れる
幹回りは5mはあろうかという大木だ
幹肌を見ると鱗状に樹皮が剝がれて
ケヤキかと思うのだが人里なら兎も角
こんな奥山で出会うとは意外だった
左岸の道は更に緩々と続き
大岩の点在する場所までやって来た
岩屋の中に真新しい仏像を見て
一際巨大な大岩を右側から巻くと
道はそのまま河原の中へと導かれる
河原の中も大岩が点在するゴーロ帯
左岸際にルートの目印が続いていて
これで水流があれば難儀な道なのだけれど
流れはすっかり干上がって涸れ沢状態
河原の中を自由に歩いて行く事が出来る
そんな河原の中を暫し遡上して行けば
厳つい俎嵓山稜が見えて来る
嘗てはこちらが谷川岳という名の山で
現在の谷川岳は二ツ耳と呼ばれていた
だが、明治の陸地測量部の誤記により
二ツ耳が谷川岳と記述され現在に至り
俎嵓の名は平たい岩壁の形状から
後に名付けられたものと言われる
そしてそこに端を発するこの川に
谷川の名が残されているだけ
となってしまった
更に河原通しに遡って行くと
左岸の崩落個所へと辿り着く
ここが問題の登山道崩壊部分
ですが、今回はすっかり河原通しで
通過出来るので問題無しでした
その崩壊部分の前を通過した後
河原の中にベンチ様の大石を見つけて
そこで暫しの休憩タイムをとる
昨日の予報では今日は南風が入り
関東地方は穏やかな晴れとの事
その予報を裏付けるように
こんな谷間の河原の中でも
ポカポカ陽射しが差し込んで
当に小春日和の暖かさ
チョットのんびりと寛ぎたいところだが
今日はロングコース
休憩はそこそこに切り上げなければだ
ルートの目印は河原の中から
左岸上へと這い上がる
やはりゴツゴツの河原の中よりも
良く踏まれた道は歩きやすい
8:24
二俣の分岐点へ到着
ここを中ゴー尾根方面へ向かう
正面には更に俎嵓山稜が
大きく迫ってくる
歩きやすい左岸の道は
再び河原の中へと降ろされる
以前来た時は
道はそのまま左岸に続いたいたのだけれど
近年の豪雨の仕業なのか?
すっかり河岸は削り取られて
その道は消失してしまっていた
そんな道とは程遠い
河原の中を遡って行くと
谷川とヒツゴー沢の出会いで
再び登山道が復活
朽ちかけた「中ゴー尾根入口」の標柱も
確認できたのでした
そこから僅かに歩いて
中ゴー尾根取付き点
ここからが今日の本番
いよいよ急登道の始まりです
道は中ゴー尾根を真っ直ぐに直上
フィックスロープが欲しい程の傾斜に
サポートする人工物は何も無し
ただひたすらに自身の能力を駆使して
登って行くしかない
おまけに落ち葉が積もっていて
滑ること滑ること
もう幾度か来ている中ゴー尾根ですが
懲りずにまた来てしまったと
今更ながら後悔してみたりして
独り自問自答の時が流れる
9:20
ヒメコマツの峰まで登り上げる
(勝手に命名)
ここはこの尾根最初の休憩ポイント
一旦傾斜が途切れて展望も良い
西側には俎嵓山稜が大きく迫り
それを見上げながら暫しの休憩タイム
ヒメコマツの峰から尾根上部を仰ぎ見る
国境稜線はまだ遠いのだろうか
尾根の3分の1程登って来た筈だが
中ゴー尾根に隠されて
稜線ラインはまだ見えない
さて、再び気合を入れて
急斜面の尾根道を登りだす
相変わらず道には落ち葉が積もり
フリクションなどあったものではない
微妙な足裏感覚を頼りに
一歩一歩と歩を進める
そんな道を辛抱強く登って行けば
徐々に樹々の高さも落ちて
道端には褐色に色付いた葉っぱが見られる
ピカピカに照り輝くイワカガミは
葉を枯らすこともなく
このまま雪に守られて春を迎える筈だ
道はいよいよ中ゴー尾根の核心部
岩尾根道へとやって来た
右手には天神尾根が並ぶように見えて
蟻んこのような登山者の姿が確認出来る
左手には相変わらず厳つい俎嵓山稜と
それを美しく繋ぐスカイラインの先に
オジカ沢ノ頭が見えている
その間に伸びる中ゴー尾根を
独り岩場と向き合いながら
黙々と上部を目指す
足元から視線を上げれば
目指す谷川岳も大きく近付いてきた
振り返って
登って来た中ゴー尾根を見下ろせば
幾つもの起伏を繰り返して
谷川へと竜の背のように落ち込んでいる
ここまで来れば国境稜線は間近だ
上部を仰ぎ見れば樹木は既に無く
風に波打つ笹原の先に
稜線のスカイラインが見える
その波打つ風は昨日の予報通りの南風
だがこの高度まで来ると
南風と言えどもかなりの冷たさだ
堪らずにウインドシェルを羽織る
12:22
漸く稜線分岐まで登り上げる
ちょっとCTオーバーだったけれど
何とか登り上げる事が出来た
ここで風除けに笹陰に入って一休み
エナジー補給しながら国境稜線を眺める
俎嵓とオジカ沢ノ頭を繋ぐ線は
いつ見ても美しいカーブを描き
自身お気に入りの山岳風景
そして北側の茂倉岳と一ノ倉岳の姿も
ここから眺めると
中々の山容を魅せてくれる
さて、ここでも長居は禁物
お気に入りの景色を眺めていたいけれど
今日はロングコース故に時間は無いのだ
冷たい南風が容赦なく吹き抜ける稜線を
山頂へ向けて少しばかり重たくなった
脚を踏み出した
(その二)へ続く