「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~ -2ページ目

「蒼い月の本棚」~小説とハムスター(ハムちゃん日記はお休み中)~

趣味で小説を書いています。絵を描いたり写真を撮ったり、工作をしたり書道をしたり、趣味たくさんです。古典で人生変わりました。戦国時代&お城好き。百人一首とにかく好き。2016年、夢叶って小説家デビューできました。のんびり更新ですが、どうぞよろしくお願いします。




第1話はこちら↓





2人は互いに頭を下げた。微妙な雰囲気。
「用事は何ですか?」
「いや、別に…」
「じゃあ、もういいですか。俺、続きを描くんで」
カズナは眉毛をピクリと上げる。男の態度が気に入らないようだ。
「あ、うん、ごめんね、邪魔して」
マーサが代わりに答え、カズナの肩を抱いて、そそくさと部屋を出る。対面はあっさり終わった。そのまま向かいの空き部屋に入ると、襖を閉め、向かい合って座る。

「なんだ、あいつの態度」


不満げに言うカズナ。
「きっと不安なんだよ。あいつ、記憶が消されちゃってるから」
マーサが、カズナをなだめるように話し続ける。
「数日前、あいつがここに来たとき、携帯しか持ってなくて、自分の名前すら覚えていなかった。だから…」
「分かってる」
すぐにペナルティだと気づいた。カズナは、トキメカシがトキメクよりも多くときめいてしまうと、ペナルティが与えられるというルールを知っていた。




つづく









第1話はこちら↓





「ただいまー!」
マーサが宿の扉を開けると、廊下の奥から男が2人歩いてくる。
「おかえり」
「おかえり。あ、カズナさん、お久しぶりです」
「ども」
最初に出てきたのがキツメ、その後ろにいるのがウルム。



マーサの宿に住み着いてる2人の男。キツメは経営を、ウルムは食事を手伝っている。
「あいつ、いる?」
マーサが尋ねると、キツメが答えた。
「いるよ、奥の部屋」
続けてウルムが話をつなぐ。
「朝からずっと、メシも食わずにやってる」
「やってるって、何を?」
カズナが聞くと、マーサは見れば分かると"あいつ"のいる奥の部屋に連れていった。襖の前で立ち止まり、マーサが声をかける。
「入るよー」
返事はない。襖を開けて中に入ると、壁に絵を描いている男がいた。2人が部屋に入ってきたことに、気づいていない様子。マーサが近くまで行き、男の肩を叩いた。
「いたのか。気付かなかった」
「だいぶ進んだね」
「うん、でもまだまだ描き足りない」
カズナは、2人の会話を耳の奥で聞きながら、男が壁に描いた絵を見ていた。
「すげえな、マジで」
「だろ?こいつはエース。んで、こっちがカズナ」
マーサは、カズナにエースを、エースにはカズナを紹介した。





つづく









第1話はこちら↓




「やばかったね」

「ああ、危なかった」

2人は早足で森の中を進み、誰もいないことを確かめてから話をはじめた。

「ネズミの話を聞いてどう思う?」

「話を聞いて、確信したよ。うちにいるのが、ネズミちゃんと一緒に来た男だと思う」

それを聞いたカズナは、黙って腕を組み宙の一点を見つめている。それからしばらく経って、両手で顔を洗うような仕草をしてから、マーサに言った。


「会わせてくれ」


マーサは、カズナの気持ちに賛同するように頷く。2人は、マーサの宿屋に向かった。





つづく



★★★★★



こんばんは。
今日はここまでです。
来週からはだんだんと忙しくなってきますので、毎日更新できるかわかりません🙇‍♀️
が、短編なので最後まで書きます。ゆっくりですが、どうぞよろしくお願いします。


ともえ







成人の日。
おめでとうございます。
これから素晴らしい未来が待っていますね✨





 さて、2022年4月1日より、18歳で成人となります。18歳で出来るようになること、18歳ではできないことがあるので、お話を書く時に忘れないためにも、この記事を書いておきます。

 たとえば、女子の結婚年齢が18歳に引き上げられる、親の承諾なくクレカや賃貸などの契約ができるなど、お話に関わることも多いんです。私が書くお話は、18歳ぐらいの登場人物が多いので、間違えないようにしなきゃです💦

民法改正の詳細ページ


 ところで、成人の日は、おとなになったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます趣旨で1948年に設けられたそう。

 昔、貴族や武人の間では、男子は11歳から16歳で元服式を、庶民の間では前髪を剃るように。


女子は12歳から16歳で。現在は20歳。そして、2022年より18歳に。

数字が細かく動いているな、という印象ですが、若いときの年齢って、一歳違うだけで随分ちがいますもんね。


20歳を越えて年齢を重ねていくと、一歳二歳の違いは変わらなくなっていきますが😂




私の好きな和歌です。

与謝野晶子
「その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな」

訳:その娘は今まさに二十歳。髪を櫛で梳かせば流れるようにゆらぐその艶やかな黒髪、誇りに満ちた青春の何と美しいことでしょう。




成人を迎えられた皆さま
輝く青春の日々を謳歌してください✨


ともえ

第1話はこちら↑





こんにちは。

昨日は、更新の順序を間違えてしまって、大変申し訳ありませんでした🙇‍♀️

今日は大丈夫だと思うんですが、お気づきの点がありましたら、コメントからお知らせください。


いつも読んでくださりありがとうございます♪

無理しないで、とお気遣いいただくのですが、ライブ更新で小説を書くのは、皆さんと一緒に走っているみたいで、とても楽しいのです。

だから大丈夫、元気もりもりマンです!


いただくコメントは、並走してもらいながら声をかけてもらっているみたいで、とっても嬉しいです。

もちろん大変な時はちゃんとお休みしますので、読んでくださる方々は、何も考えず、昔みたいに楽しんでくれたら嬉しいです。



感謝感謝💕

ともえ







…………







私がここにきた経緯を話し始めると、2人は特に驚く素振りを見せず、静かに聞いていた。

「それでね、私はトキメクになって、でね、このゲームにはルールがあって、1つ目は…」


「やめろ!もういい!」


頷きながら静かに聞いていたカズナが、ルールの話に差し掛かった途端、強い口調で私を止めた。カズナの鋭く尖った声は、鉄砲の弾みたいに飛んできて私の声を撃ち抜き消し去った。


唖然としている私を見て、いつも冷静なカズナが慌てて話し始めた。

「あ、いや、そ、そろそろマーサが帰る時間だから、な」

「あ、ああ、そう、帰んなきゃ、ネズミちゃん。今日はもう時間ないし、ルールはゲームに参加してない俺たちに言ってもわかんないから」

2人は慌ただしく立ち上がり、扉へ向かって歩き出す。

「送ってくるから、お前は寝てろ」

カズナは向こうを向いたまま、私に言った。

「またね、ネズミちゃん」

マーサは私に手を振ると、2人揃って小屋を出ていった。






つづく











第1話はこちら↓




「それで、ネズミが探してる男のことだけど」

急にサトシの話題になって、思わず座り直してしまう。

「うん、それで」

私が前のめりでたずねると、2人は顔を見合わせ首を振る。

「探したが見つからない」

「そんな男は見なかったなあ」

「そっか…ありがとう」

それでも諦めきれずに、私も探しに行くというと、2人は口を揃えて私を止めた。

「ネズミちゃん、やめといた方がいい」

「また、ヒルに噛まれるぞ」

ううっ、たしかに2人の言う通りだ。森の中は、何があるかわからない。私は携帯を見た。右下の数字は動いている。ということは、サトシはこの森のどこかで生きていると言うことだ。

「そいつとはどういう関係?」

「弟みたいな幼なじみ」

弟みたいな幼なじみと返事をして、ちょっと複雑な心境になる。この森での私たちは、なんていうか、こう、幼なじみ以外の繋がりがあったような気がする。まあ、結局はゲームクリアのために、私の気持ちを弄ぶようなことをしたから、許せないけど。でも、ここで死んだときの家族への連絡方法とか、家庭教師代の返金とか、それはやっぱり会って話しておかないと。






つづく









読んでくださった方、すいません💦
29を更新したつもりか、下書きのままでした💦
30を先に更新しちゃったので、30を一回さげて、29を出しました💦
22時ごろ、また30を更新しなおします。
二度手間でごめんなさい。

頭痛い時に細かいことやっちゃダメですね。
反省しています😢
順番が違っていたのを教えてくださりありがとうございました🙇‍♀️


ともえ




第1話はこちら↓




背が高く、髪も瞳も栗色のマーサ。笑顔は、真夏の抜けるような青空みたいに透き通っている。私を見つめる大きな瞳があまりにキラキラしているので、ちょっと緊張した。

「あ、はい、よ、よろしくお願いします」

「あはは、たしかに面白いね、ネズミちゃん」

「いや、私はネズミじゃなくて…」

「お前ら、メシにするぞ!」

「はあーーい!」

マーサは勢いよく返事して、私の前から離れた。まあいいか、名前なんか後でいくらでも言う機会があるだろうし。

私も小さく返事して、カズナのいる囲炉裏に向かった。


ご飯はとてもおいしい。私は食事をしながら、カズナにたくさん質問した。カズナはマーサがいるとよく話すし、よく笑う。2人は息の合った漫才師のように、会話を楽しんでいた。

「マーサは、この森で合宿所をやってて…」

「いや、ちょっと待て、合宿所じゃなくて、宿泊所。れっきとした宿屋だから」

「でも、金とってないし、あいつらと一緒に生活してるだけだろ?」

ふむふむ。この森には、私たちの他にも人が住んでいる。

「それはさ、それぞれ事情があるからさ、金の代わりに、こうして弁当作ってくれたり、勉強を教えてくれたりさ…」

「それじゃ、生活できないだろ?」

「カズナだって、俺たちのケガや病気を、金をとらずに治してくれただろ」

ふむふむ。ということはつまり、カズナは医者で、ここは病院ってことか。だから私を助けてくれたってわけね。

「だって、お前、金ないじゃん」

「カズナもだろ?」

「俺はあるさ。無謀なお前とは違うんで」

「そうだけどさ。だから、こうしてメシを持ってきたり、掃除したりしてるじゃん」

「はいはい」

まるで、学校の休み時間みたい。私は、終始ニコニコしながら話を聞いていた。






つづく




★★★★★


おはようございます

昨日は午後から頭痛が酷くて、午後はあまり更新できませんでした。

今朝もまだ痛くてお薬飲んで寝ています。

早くおさまれ、頭痛。


さて、新しい登場人物マーサです。

優しくて明るい声で、脳内再生してください。

よろしくお願いします。



ともえ







第1話はこちら↓




「俺のことは、カズナと呼べ。お前のことは、ネズミと呼ぶ」


ね、ネズミ ?


「ちょ、待ってよ、私の名前は…」

私が名前を言おうとしたそのとき、扉が乱暴に開いて、背の高い男が元気よく飛び込んできた。


「カズナ、持ってきたぞ、メシ!」

本当に出前が来た。驚く私の前に、ズカズカやってくる出前の男。

「オメェ、誰だ」

「わ、私は…」

見下ろされて怯む私と出前の男の間に、カズナが割って入って言った。

「話したろ?こいつがネズミだ」

「こいつがネズミ?ネズミって言うから、てっきり男だと思ってた」

出前の男は黙ってアゴに手を添えて、私の頭から爪先まで視線を走らせる。

「女ってことは…それじゃあ…」

「ああ、そのつもりだ」

話が終わって私を見る、物言いたげな出前の男。

「な、なによ」

私は、後退りしながら男を睨んだ。男はニカっと口を開け、懐に手を突っ込んで何かを取り出すと、ずいっと私の前にきて拳をパッと開いた。

「ほれ」

「ぎゃあ!」

でっかいクモ!

「ネズミで遊ぶな、こいつは病み上がりだ」

カズナに言われて、出前の男は、私にペコリと頭を下げる。


ごめんごめん、俺はマーサ。よろしくね」







つづく







第1話はこちら↓




それにしても、私を助けてくれたこの男は、なんなんだろう。銀の髪に白い肌、細いけど筋肉質の体は、まるで朝霧の中を疾走する白馬のようだ。

この男に背中から抱かれながら一晩⁈

意識してしまって、なんだか目のやり場に困ってしまう。

「ふ、服、着ないの?」

「服?今、お前が着てる」

褐色のこの着物のこと?

これは最初に起きた時、私の体に掛かっていた着物だ。あの時、下着の上から羽織ったまま、今に至る。

「い、1枚しか持ってないってわけじゃないでしょう?」

「1枚しか持ってない」

「い、1枚しかないの?汚れたり破れたりしたら」

「そうなったら考える」

「そうなったらって…」

ああ、この人は服に無頓着なんだ。いつも同じ服ばかり着ていたサトシに似ている。思い出したら、可笑しくて吹き出してしまった。

「お前だって、あのネズミだらけの変な服しか持ってないじゃないか」

男は、部屋の隅に置かれた私の部屋着を指差して言った。



「ネズミかわいいじゃない。というか私、服は50枚、いや100枚ぐらいはありますから」

「はっ?100枚?アホか」

「いや、ステテコ1枚で何日も過ごす方が…って、ふふふ」

くだらないことで言い合っているのがさらに可笑しくて、私はケタケタ笑い転げた。

「そんなに可笑しいか?」

「なんか久しぶりに楽しくて。笑ったらスッキリした。ありがとう…えっと、あなたの名前…なんて呼べばいい?」





つづく