平成29年度全国厚生労働関係部局長会議のまとめ(その4) | あおいさんの部屋

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天ぷら。又村です。

これはさすがに本気で「純日本語」だと思っていましたが、なんと語源はポルトガル語という説も有力なんだとか。マジかあ・・このシリーズは奥が深いなあ。

・・という、奥が深いのか知識が浅いのか判然としないネタはさておき、

今回も、1月18日に開催された厚労省の「平成29年度全国厚生労働関係部局長会議」の内容を取り上げていきます。

【資料はこちらから】
http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/tp0115-1.html
※ この中から取り上げる資料は、そのつどご案内します

今回は虐待防止、発達障害者支援、文化芸術分野などがテーマです。

【今回の資料はこちらから】
http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-02-04.pdf

障害者虐待の防止については、すでに28年度の実態状況調査の結果が公表されていますが、養護者(家族)からの虐待は高止まり、障害福祉施設従事者等(支援者)からの虐待は認定件数が増加、使用者(雇用主)からの虐待は微減となりました。

【平成28年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)】
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189859.html

具体的には次のとおりです。

養護者 相談・通報 4,606件 → 虐待認定 1,538件
支援者 相談・通報 2,115件 → 虐待認定   401件
使用者 相談・通報 1,316事業所 → 虐待認定 581事業所

こうした状況も踏まえ、国としては平成30年度も虐待防止対策の関連事業を次のとおり実施することを都道府県(市町村)へ求めています。

① 虐待時の対応のための体制整備
 例:24時間・365日の相談窓口の体制整備、虐待が発生した場合の一時保護のための居室の確保等、虐待を受けた障害者等に対するカウンセリング、過去に虐待のあった障害者の家庭等に対する訪問の実施
② 障害者虐待防止・権利擁護に関する研修の実施
 例:障害福祉サービス事業所等の従事者や管理者、相談窓口職員に対する障害者虐待防止に関する研修の実施
③ 専門性の強化
 例:医学的・法的な専門的助言を得る体制を確保するとともに、有識者から構成されるチームを設置し、虐待事例の分析
④ 連携協力体制の整備
 例:地域における関係機関等の協力体制の整備・充実
⑤ 普及啓発
 例:障害者虐待防止法における障害者虐待の通報義務等の広報その他の啓発活動の実施

次に、発達障害者支援については、平成30年度から「発達障害児者及び家族等支援事業」という事業が創設されることになりました。
これは、従来の「発達障害者支援体制整備事業」の中からペアレントメンター(家族の立場で傾聴や相談に対応することができる人材)の養成などを抜き出して強化し、新たに家族支援のメニューを加えるものです。具体的には次の取組みがぶら下がります。

①ペアレントメンター養成等事業
②家族のスキル向上支援事業
③ピアサポート推進事業
④その他本人・家族支援事業

①については、ペアレントメンターに必要な研修の実施、ペアレントメンターの活動費の支援、ペアレントメンター・コーディネーターの配置、②については、保護者に対するペアレントプログラム・ペアレントトレーニングの実施、③については、同じ悩みを持つ本人同士や発達障害児を持つ
保護者同士等の集まる場の提供、集まる場を提供する際の子どもの一時預かり、④については、発達障害児者の適応力向上のためのソーシャルスキルトレーニング(SST)の実施・・などが例示されており、多くの地域で実施されることが期待されます。
なお、このテーマについては、又村もお世話になっている「カイパパ通信blog」に詳しく取り上げられていますので、あわせてご覧ください。カイパパさん、ありがとうございます!

 

【カイパパ通信blog】
http://kaipapa.hatenablog.com/
よく調べるとペアレントメンターなどの補助を市町村まで拡大する予算でした!【平成30年度厚労省予算案】
http://kaipapa.hatenablog.com/entry/2018/02/12/191634

最後の文化芸術分野については、近年では「アール・ブリュット(生の芸術)」という言葉もすっかり定着した感がありますが、平成30年度も、文化芸術分野の支援をより充実させるとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた文化を通じた機運醸成を図る方向が示されています。
具体的には、次のとおりです。

障害者芸術文化活動普及支援事業では、障がいのある人の芸術文化活動(美術、演劇、音楽等)の振興を図るとともに、29年度以降は、美術作品のみならず、演劇、音楽等の舞台作品に対する支援も行っています。
全国障害者芸術・文化祭の開催では、開催経費の補助だけでなく、開催県におけるコーディネーターの配置も行っています。また、障害者芸術・文化祭のサテライト開催(開催地以外の都道府県での開催)についても経費助成をしています。

以上が虐待防止、発達障害者支援、文化芸術分野の振り返りとなります。
次回は、精神障がいのある人への支援を取り上げて終了となります。